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あとも
2023年1月31日 23:34
いとこの家のトーストは分厚かった。 少食でかなりの痩せっぽちだった私には、一斤を真っ二つに割ったくらいの分厚さに見えていたけれど、実際のところは3枚切りくらいだったのだと思う。たっぷりバターが載せられていて、いつも食べきれなかった。 母の姉であるおばは、小柄で細い人だった。背が高くがっしりした体型の母よりは、祖母によく似ていた。祖母もおばも、子どもだからといって甘やかさず毅然としていると
2023年1月30日 23:52
「おばあちゃん家に行く」が、田舎に行く、と同義の人はどれくらいいるのだろうか。 小説でも映画でもアニメでも、主人公は夏休みに田舎の祖母(祖父でも良いのだが、私の祖父は早くに亡くなっていて顔を知らないので、仮に祖母としておく)の家に遊びに行く。ふだん都会に暮らすその子は、母あるいは父が幼い頃を過ごした家で、夏休みのある期間を過ごす。古びた祖母の家で得難い経験をして、その思い出を絵日記にしたためる
2023年1月29日 10:57
日曜日の朝、目が覚めてあたたかい布団の中でスマートフォンを触っていると、外が賑やかになって来た。 初めは押し殺した、数人で相談するようなひそひそ声。町内の清掃の日だったかな、と一瞬考えるが、そうだ餅つきの日だと思い出した。 父が餅を食べないので、我が家では誰も餅を好んで食べない。砂糖醤油を絡める以外の食べ方をしたこともほとんどないくらいだ。 餅はいらないな、と階下の集合ポストに入っていた