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スコットランドの港湾都市・アバディーンを歩く (初めての海外一人旅でイギリスを縦断した-12)

こんにちは。ゲンキです。
イギリス旅行記第12回は、スコットランド東部・アバディーン街歩き編をお届けします。


~旅の概要~

鉄道が好きな僕は、鉄道の祖国であるイギリスを旅することにした。「果て」の景色を求めて本土最北端の駅「サーソー(Thurso)」から本土最南端の駅「ペンザンス(Penzance)」を目指す旅である。遠く離れた異国の地で、僕は一体何に出会うのだろうか。(2023年3月実施)


↓第1回をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ。



9:00 Aberdeen

おはようございます。イギリス旅5日目の朝。
ここはスコットランド東部の港湾都市、アバディーン。工業都市グラスゴー、首都のエディンバラに次いで、スコットランドで3番目に大きい街として知られている。人口は約20万人で、埼玉の春日部や島根の松江と同じぐらいの規模。

アバディーンの位置 (©OpenStreetMap contributors)

今日の午前中はアバディーン、そして昼からはエディンバラを訪れる予定。エディンバラ行きの列車は11時頃に駅から出発するので、それまでの2時間ほどこのあたりを散歩したいと思う。まずはとりあえず海岸の方へ行ってみる。

道路の向こう側に大きな船が停まっている

昨晩は暗くて気づかなかったが、ホテルから100mぐらいのところに港があったらしい。すぐそこに船が見えるのに、往来の激しい道路を安全に渡れそうな横断歩道がない。どうやら関係者以外は港に立ち入り禁止らしかった。

交通量はかなり多い
写真の右側が港。海岸の近くからいきなり坂になっている


またしばらく港に沿って歩いていると、左手にアバディーン海洋博物館の建物が見えた。港湾都市としてのアバディーンの歴史や、航海、造船、そして北海油田に関連する展示がされているらしい。正直アバディーンで行きたい場所ナンバーワンだったが、今日はあいにく休館日。まあこういうこともよくある。

アバディーン海洋博物館(Aberdeen Maritime Museum)
大型の作業船がいくつも並んで停泊中

突如、頭上に巨大なストリートアートが現れた。アバディーンはストリートアートの街としても有名らしく、毎年「ニュアート・アバディーン(Nuart Aberdeen)」という芸術祭を開催して街中に作品を増やしているそうだ。

ストリートアートといえば、イギリスはあの「バンクシー」の生まれた土地でもある


道の上に道が通っている。左が海側、右が陸側。この辺がかなり高低差のある地形だということがわかる。(ていうか奥のストリートアートの存在感がすごい)

歩道沿いに階段が現れたので、今度はこっちを登ってみる。

階段を登っていくと左手にアパートのようなものが見えた。
かなりの急斜面に建てられており、1階も3階も地面と同じ高さみたいな状態になっている。建物の間には遊歩道を備えた庭もあって、なかなか住み心地良さそうなお家。高低差好きにはたまらない建築物だ。

階段を登り切った先にある道を左へ進む


また少し坂を登っていくと、なんとここで大きな広場に出た。けっこう標高が上がった気がしていたのでここで広場に当たるのはちょっと意外な感じ。しかしこの広場周辺には「キャッスル・ストリート」や「キャッスル・テラス」など、城に関連する地名や通り名が集中している。おそらくこの辺りにかつて城があり、ここを軸にしてアバディーンの街が形成されていったのだろう。

ゴードン・ハイランダーズ(イギリス陸軍の歩兵部隊)の銅像

かつて城へ向かっていた一番の大通りが今もこの街の中心街として賑わっている。バスや車が目まぐるしく走り回って、時々歩行者が急いで道路を渡っていく。広場の前で車道が90度カーブしているので、道の真ん中に立っているような気分でずっと向こうまで見渡せるのが面白い。

バスの行き先表示に注目。「Sorry Not In Service(すみません 回送中です)」と書いてある。謝らんでもいいのに…と思うが、日本でもこういう表示は少なからず見られる。日英の国民性の似ている部分を感じる
もうすぐ10時
やっぱり港の方を見るとかなりの高低差がある

ここで一旦脇道に逸れてみた。表通りよりは人通りも少なく落ち着いた雰囲気。するとここで右側に、なんとも大迫力の白い建築物が現れた。これはマリシャル・カレッジ(Marischal College)と呼ばれる、アバディーン大学所有の施設。現在はアバディーン市議会に貸し出されているため、ここが実質市役所ということになる。

花崗岩による繊細な装飾


正面の建物1階にスタバが入っているが、控えめな主張で完全に溶け込んでいる

向かい側からカップルが歩いてきた。僕は何事もなく素通りしようとしたのだが、ちょうどすれ違うときに彼氏さんが「Nice camera (良いカメラだね)!」と僕の持っている一眼レフを褒めてくれた。以前読んだガイドブックに「イギリスでは街中ですれ違う知らない人に対しても服や靴を褒めてあげる文化がある」と書いてあったことを思い出し、僕もすかさず「Thank you!」とお礼を言う。彼も爽やかな笑顔を返してくれた。
ごく自然なやりとりだったが、こんなの日本では絶対にありえない。しかし相手が誰だろうが褒められて悪い気がしないわけもなく、むしろ自己肯定感と幸福感が爆上がりして笑顔が抑えられなかった。どこからか聞こえてくる明るい音楽に合わせてスキップしそうになるほどの高揚感。今度は僕も誰かを褒めてあげたい。

ショッピングモール
スコティッシュJK。タータンチェックの本場だけあって制服も可愛い

ショッピングモールの入り口で軽快なメロディーを奏でているアコーディオン奏者のおじさん。さっきから聞こえていたのはこの人の演奏だったのか。足元のケースに投げ銭を入れて「最高!!」と伝えてあげた。


ショッピングモールの反対側に出てきた
この写真の奥の方が、さっきいた広場のあたり

ショッピングモールを抜けて表通りに戻ってきた。ここからさらに上り坂。アバディーンは想像以上に起伏の多い街だ。昼時が近くなって、ますます人が増えている。

マクドナルドもある
建物の隙間にある階段。ここを降りると駅に行けるらしい
左:セントマークス教会 中央:ヒズ・マジェスティーズ・シアター
小さく見えている銅像は、スコットランドをイングランドによる支配から脱却させた偉人ウィリアム・ウォレスの像

線路を渡ったところで交差点を曲がり、そろそろ駅に向かうことにした。駅へ向かう道は下り坂になっている。

道路の立体交差が多く、もとの地形がどうも把握できない。それは置いといて素敵な街並み。ちなみに昨晩フィッシュ&チップスを食べたのはこのあたり
線路を越えると、右側に駅がある
駅に接続しているショッピングモール
アバディーン駅

現在時刻は10時50分。これから乗るエディンバラ行きの列車は11時1分発なので、ちょうど発車の10分前だ。いつもギリギリになりがちだから、このぐらい余裕を持って行動できると安心感がある。

昼ご飯を探しにコンビニに寄ってみたが、サンドイッチもお菓子も若干高かったので結局何も買わなかった。エディンバラに着いてから何か食べようと思う。

これから乗るエディンバラ行きの列車

わずか2時間弱の散歩ではあったが、アバディーンはとても楽しかった。次に来ることがあれば、ぜひストリートアートのイベントと海洋博物館を見てみたい。それではこれからエディンバラへ向かいます。


つづく




というわけで、イギリス旅行記第12回は以上になります。

僕はほぼ毎回あとがきで「遅くなってすいません」と謝りまくっていますが、実際かなり遅筆な方だと自覚しています。前回の記事を完成させるのにもじっくり2週間ほどかけてしまいました。が、この第12回はなんとたったの2日ほどで書き上げることができました。あまりに早く出来上がったので自分でも驚いています。
今回は意識的に書き方を変えた部分がいくつかあったので、それが効果あったのかなあと思っています。このまま数本書いてみて今回のスピード執筆がまぐれじゃないと確認できたら、おそらく年内にはイギリス旅シリーズを書き終えられそうです。


次回、第13回はアバディーン→エディンバラの列車旅と、北海を眺める車窓編をお届けします。お楽しみに。


それでは今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!


↓第13回はこちら



(当記事で使用した地図画像は、OpenStreetMapより引用しております)


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