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我が読書迷走微録

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迷走ばかりの我が読書遍歴を微文で紹介する記録。
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2021年8月の記事一覧

「青い花」ノヴァーリス

18世紀、ドイツ初期ロマン主義を代表する夭折の詩人による未完小説。
13歳の婚約者ゾフィーの病死後、神秘主義や無限なるものへ傾倒の末、28歳で病死する。
理想的象徴を追い求め、各地を遍歴の末に様々な人との出会いによって魂の成長を描いた。

函館空港に着陸するときに降りてきたメッセージ

函館空港に着陸するときに降りてきたメッセージ

トップ画像は昨年1月7日に移住してきたときに、函館空港に着陸する直前に飛行機の窓から見えた景色です。まさにこの風景を見ながらふと降りてきたのは、「この場所に光を下ろすためにやってきた。」というメッセージでした。何かわからないけど、ともかく気が引き締まったことを覚えています。

湘南は藤沢から北海道という、経験したことがない長距離の引っ越しで、しかも真冬(笑)
荷を積むときの引っ越し業者さんが、たま

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村上春樹「風の歌を聴け」を巡る心象風景

村上春樹「風の歌を聴け」を巡る心象風景

1979年という日本の分岐点に現れた村上春樹の長編小説デビュー作品であり、いわゆる“鼠三部作”の第1作。

青春の喪失、未成熟の謳歌、成長の拒絶。
取り戻すことの出来ない過去への悔恨を抱いて、青春を取り戻すように再読。

若者の罪とは、輝かしいものへの嫌悪感によって自らの手で葬り去ることなのかもしれない。
それが世界共通の記号ゆえに、作者はまさにポップカルチャーの騎手として軽々と世界を股にかけるこ

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「ソクラテスの弁明・クリトン」プラトン

ギリシア哲学の礎を成した世界の賢人。『無知の知』を語り、善く生きる」意志を貫いた。
私は大いに夢を見る。
陽光が降り注ぐ晩夏の川の畔をゆっくりと散歩しながら、生と死、個人と国家、倫理と法律等、あらゆるテーマをギリシアの哲人に問う夢を…