IT企業で働く弁護士

IT企業で働く弁護士 (法律事務所⇨LL.M.留学⇨ITインハウス) 法律や企業法…

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IT企業で働く弁護士 (法律事務所⇨LL.M.留学⇨ITインハウス) 法律や企業法務・キャリアの話、読書記録、徒然なるままに企業内弁護士として日々考えたことを残していきたいと思います。

最近の記事

ビジネス法務・2024年10月号「ひな形の整備・運用」

ビジネス法務・2024年10月号が発刊されました。 2024年10月号は、11月に施行が迫ったフリーランス法の特集から「公開買付制度に関する令和6年金商法改正と今後の展望」といった最新の法改正といった幅広いトピックが取り上げられています。 今回は、その中から連載『失敗事例から学ぶ「ナレッジ・マネジメント」』第2回「ひな形の整備・運用」について記事にします。 「ひな形の整備・運用」記事の要約ナレッジマネジメントとは、「ある組織において蓄積されている知見(ナレッジ)を管理・活

    • 読書の理解を深めるのにChatGPTが使える

      私はビジネス書、小説、実用書、教養書まで幅広く読書をするのが好きなのですが、読んだ本を身に着けて仕事や日常に生かすことができているかということをずっと悩んできました。 この悩みに対する解決策としてこんな本を読みました。 この本では読んだ本を身に着けるためのアイディアの一つとして、「アウトプットすること」の重要性が説かれています。 具体的には、FacebookやX(旧Twitter)といったSNSで読んだ本の感想を自分の言葉でアウトプットすること。特に、読書当日ではなく翌

      • ビジネス法務 2024年9月号「リモートインハウスとは何か?」

        ビジネス法務・2024年9月号が発刊されました。 今回は、「特集1 リモートインハウスを活用した法務アウトソーシングの実践法」についての感想を記事にします。 リモートインハウスとは?この特集を読むにあたって個人的に感じた疑問は、「『リモートインハウス』ってそもそも何?」というものです。 法律事務所の顧問弁護士や、会社から雇用される社内弁護士(インハウスロイヤー)との違いがどこにあるのか、といった点が私が興味を持ったポイントでした。 この特集の全体を読んだ印象として、リモ

        • ビジネス法務・2024年8月号

          2024年8月号が発刊されたので、興味深かった記事をいくつか紹介します。 特集1 法務実務が「動いた」判例判例は法律やガイドラインと並んで、法務の仕事を進めるうえで拠って立つべき重要な規範の一つです。 今回の特集では、実務家として押さえておくべき重要な判例が幅広く紹介されていましたが、特に着目したのが「ダスキン株主代表訴訟事件」です。 これは、ダスキン(ミスタードーナツ)が販売していった肉まんに無認可添加物の混入がなされていたところ、担当取締役2名がこの事実を知りながら

        ビジネス法務・2024年10月号「ひな形の整備・運用」

          交渉に表れる法務の視点と経営者の視点

          当社の営業担当者が大きなミスをしてしまい、すでに販売したサービスの解約の要望に加え、損害賠償の請求を受けることになりました。具体的には、顧客が要望する機能がついていないのにサービスの機能を誤解させる説明をして、顧客に誤った期待値を与えてしまったのです。これによって、顧客はまた別のサービスを探す負担が生じることになりました。 もっとも、営業担当者のミスによって顧客には大きな迷惑をかけてしまったものの、実際の金額としては大きな損失は幸いにも生じませんでした。 法務の視点当社の

          交渉に表れる法務の視点と経営者の視点

          競わない生き方と法務の仕事

          競争しない生き方自己啓発書でよく言われることだが、幸せに生きるためのコツとして、「人と比べない」「競争しない」というものがある。 人間って本当に比べるのが大好きで、年収から人事評価、飲食店、国に至るまであらゆることに「点数」や「ランキング」がつけられている。 つい人(他社、モノゴト)と比べ、競争してしまう。 しかし、他人と比べることは不幸への第一歩でしかない。 そもそもすべての人に個性があるし、生きてきたバックグラウンドも全然違うのだから、今この瞬間、この場面、特定のポ

          競わない生き方と法務の仕事

          法務の仕事に役立つ「マクロの視点」と「ミクロの視点」

          先日、歴史の勉強に関する話を書きました。 歴史を学ぶ上では「マクロの視点」と「ミクロの視点」を持つことが大切です。 歴史における「マクロの視点」とは、歴史全体を俯瞰して眺めて、国同士の関係や時代の流れを大きな視点でとらえること。例えば、日本史は、中国史との関係を通じて初めてその成り立ちと発展を深く理解することができます(「中国史とつなげて学ぶ日本全史」という本が面白い)。 一方、「ミクロの視点」は、一つの国や時代、さらに一人ひとりの歴史上の人物に焦点を当てること。例えば

          法務の仕事に役立つ「マクロの視点」と「ミクロの視点」

          メルカリ交渉テクニック(値引きを前提に値段をつける)

          メルカリでブランド物のバッグを売る不用品を処分する際にメルカリを利用している方も多いのではないでしょうか。 中古品でもかなりの価値がつくことがあり、私もたまに利用しています。 先日、ブランド物のバッグを売却したのですが、最初の値段を6万9800円としたところ、かなりの「いいね」がつく一方で購入者は現れず、何度か値引き交渉をもちかけられました。 私にとっては不用品のバッグで「少しでも高く売りたい」、という気持ちはなかった一方で、ブランド物ということもあり最初から値引きに応

          メルカリ交渉テクニック(値引きを前提に値段をつける)

          ビジネス法務・2024年7月号

          ビジネス法務・2024年7月号が発刊されたので興味深かった記事をいくつか紹介します。 【特集1】各法令における個人情報保護法のエッセンス2024年7月号では、「各法令における個人情報保護法のエッセンス」という特集で、民法・消費者関連法・会社法・労働法・競争法・刑事法というそれぞれの法分野における個人情報保護法の関連性が解説されています。 特に消費者向けにITサービスを提供する企業にとっては、個人情報保護法に則った個人情報の取扱いは必要不可欠です。 もっとも、ビジネスに適

          ビジネス法務・2024年7月号

          旅をきっかけに歴史の勉強を始める

          旅が好きだ。 国内外問わず、まだ訪れたことのない土地を訪れるの経験には日常では味わえない魅力がある。 名所を巡り、地元の人々との会話を楽しみ、郷土料理を味わうことで、その土地の文化がぐっと身近に感じられるのだ。 旅はさまざまな経験をもたらしてくれるとともに、いろんなことを考えるきっかけになる。 旅を続ける中で、改めて「歴史を勉強したい」と感じ始めた。 旅先の観光名所は歴史上大切な場所であったり、その国の重要人物が何らかの目的を持って建てた建造物だったり、博物館や美術

          旅をきっかけに歴史の勉強を始める

          ビジネス法務・2024年6月号

          ビジネス法務・2024年6月号が出たので、特集の紹介をさせていただきます! 【特集】テーマ別最新「ソフトロー」辞典2024年6月号では、「ソフトロー」辞典として分野別に重要なソフトローがとりあげられており、とても参考になりました。 そもそもソフトローとは? そもそもソフトローとは何でしょうか?これは、対概念であるハードローと併せると理解がしやすいです。 ハードロー(Hard Law): 定義: 明確な法的拘束力を持つ一般的・抽象的法規範のことです。これらは国や地方自

          ビジネス法務・2024年6月号

          ビジネス法務・2024年5月号

          ビジネス法務・2024年5月号が出たので気になった記事を感想とともに簡単に紹介します。 特集1 秘密保持契約のベストプラクティス秘密保持契約(NDA)は、民法では全く言及のない非典型契約でありながら、企業法務の世界では最も目にする契約書のうちの一つです。 今回のビジネス法務の特集では、NDAという企業法務の基本的な契約について整理することができました。 特に、鮫島正洋先生の記事である「秘密保持契約の心得」において、VUCAの時代において「軽くスピーディな」NDAの締結が

          ビジネス法務・2024年5月号

          インハウスを目指す若手弁護士・司法修習生へ訴訟経験のススメ

          修習生や若手弁護士にとって、キャリアにおける弁護士としての訴訟経験はインハウスロイヤーとしてのキャリア発展に重要な要素になります。 今回はその理由を掘り下げていきます。 訴訟経験が企業内弁護士のキャリアにもたらす価値契約書は訴訟における裁判規範 組織内弁護士としての仕事は多岐にわたりますが、もっとも典型的かつ時間を割かれる仕事は契約業務(契約書の作成・チェック)です。 言うまでもなく、契約書の究極的な目的は紛争の予防にあります。 すなわち、契約後の争いの発生に備えて

          インハウスを目指す若手弁護士・司法修習生へ訴訟経験のススメ

          ビジネス法務・2024年4月号

          ビジネス法務・2024年4月号が発刊されました。 この記事では、IT企業の法務部員として、いくつか気になった記事を紹介します。 【特集1】独禁法・競争法の最重要テーマ20独禁法の下でこれまで法執行の対象となりやすかったのは、大規模小売業をはじめとする伝統的なビジネスです。 もっとも、最近では、「食べログ事件」において独禁法違反が争点とされるなど、IT企業においても独禁法コンプライアンスは重要な法分野となっています。 この記事のサブタイトルにもある、「苦手意識を克服!」とい

          ビジネス法務・2024年4月号

          契約書作成におけるChatGPTの活用法

          売買契約のようなひな形がそのまま利用できない新たな取引について、契約書の作成を依頼された場合におけるChatGPTをはじめとするAIツールの活用方法について記事にします。 当事者間の権利・義務の整理ChatGPTは、複雑な取引についてに当事者の権利・義務を項目ごとに分類することがとても得意です。 契約書作成の基本は、取引における各当事者の役割を法的に有効な形で書面に落とし込むことです。 その前提として、契約書作成のもとになる当事者間の権利・義務の整理にChatGPTは非常

          契約書作成におけるChatGPTの活用法

          人材紹介契約書レビューのポイント

          昨今の人材不足からか、職業紹介事業者との間の人材紹介契約書(「職業紹介サービス契約」、「人材紹介コンサルティング契約」等と名称は様々ですが、職業紹介サービスの提供に関する契約を意味します)のレビュー依頼が増えています。 そこで、この記事では、人材紹介契約書のレビューに関してまとめたいと思います。 人材紹介契約の基礎知識適用業法:職業安定法 人材紹介契約の適用業法は職業安定法です。 職業安定法は、人材紹介業者や求人企業の職業紹介事業や求人行為を規制しています。 具体的には

          人材紹介契約書レビューのポイント