リマウチ

今は主にショートショートを書いています。小説やエッセイにも興味あり。作品を形としてこの…

リマウチ

今は主にショートショートを書いています。小説やエッセイにも興味あり。作品を形としてこの世に残すこと。週3投稿予定。

最近の記事

死ねない男【ショートショート】

ホテルの一室。下っぱの俺は上からの依頼で中学生位のませたガキと一緒にいた。「ねえおじさん。明日はどこへ行くの?」「さあな。おじさんじゃねえから分かんねえ」「なにそれ」このガキは人をやたらめったらおじさん扱いし、下らないことを一日中聞いてきた。だから今日はめっきり疲れた。そんな悪いわけでもなかったが。 プシュー 突如、部屋の隅から異音が聞こえた。振り替えるとそこから毒々しい色のついた煙が流れ込んできた。すぐに部屋から逃げ出そうとしたが間に合わず俺の意識は飛んでいった。気がつくと

    • ミステリー

      「だから犯人は貴方です」先ほど旅館に着いたばかりの私に探偵姿の男が語る。 実際に私は嫌いなあいつを殺そうと準備していた。しかしそのトリックや動機も全て探偵が述べた通りに違わなかった。私が動揺しているのを察してか探偵はゆっくりと話始めた。 「世の中の探偵は人が死んでから鬼の首を掲げたいが為に推理をし、犯人を見つける。要はただの自己満足に他ならない。しかし私は殺される前にそれを止めた方が良いではないかと思っている」 探偵は少し寂しそうな顔をして続ける。「しかし、それによって犯人に

      • 全力で推したいダジャレ【#毎週ショートショートnote】

        「ついにこの時が来たな!」 緊張している私にマネージャーが意気揚々と話しかけてきた。 「ずっとみんなに知ってもらいたいって言ってたからな!本当いいチャンスに恵まれたよ!」 しかし、私は不安を拭えずにいた。 「マネージャー、もしこれがみんなに受け入れて貰えなかったら…」 「心配することはない!あれだけお前が好きならきっとみんなも好きになってくれるさ!何しろその為に全力で頑張ってきたのを一番近くにいた俺が知らないわけないだろ!」 「マネージャー…」 私はパンッと頬を叩き気合いを入

        • 音声燻製【#毎時ショートショートnote】

          ある日、モクモクと町中に謎の煙が発生した。次第に煙は街を包んでいった。煙不思議と吸っても苦しくなく、人々はそのまま普通に生活を送っていた。 異変に人々が気付いたのは煙が街に充満してから一日に経ってからであった。 相手が何を言っているか分からない。街の人々は口々にそう言っていた。曰く、相手が喋っている言葉がまるで異星人の言葉のように感じられ、理解が出来ないみたいだ。 字は変化がないようなので人々は皆筆談を行った。 街の博士はすぐ煙を採取し、研究を始めた。 結論は三日足らずで出た

        死ねない男【ショートショート】

          毒吐く南瓜【#毎週ショートショート】

          「うるせぇ!うるせぇ!」 畑から怒鳴り声が聞こえてくる。 農家が何事かと鍬持ってやってきた。 そこにあるのは1つの南瓜。 どこから声が出ているのか。南瓜の周りを見渡したけど穴らしき穴は見つからない。 なんて不思議な南瓜なのだろう。農家はカラス避けになると思い、この南瓜を保管することにした。 農家は納屋に南瓜を置いておくことにした。 「うるせぇ!うるせぇ!」 怒鳴り声一晩中外へ響いていた。 農家は納屋から十分離れた家でスヤスヤと眠っている。翌朝、農家は珍しい南瓜を自慢するため街

          毒吐く南瓜【#毎週ショートショート】

          告白雨雲【#毎時ショートショートnote】

          雨が降る。 それはあの日と同じ寒雨だった。 学校の帰り道での出来事だった。私はふと段ボールに入れられた子猫を見つけた。子猫は段ボールの中で弱々しくミャンミャン鳴いていた。子猫にとってそれは悲鳴であり、哀願だったのだろう。 ふいに子猫と目が合う。いつもならとても可愛らしく思うはずなのに、その目からはぐにゃぐにゃとした恐怖を感じた。 理由は簡単だ。うちでは動物を飼うことが出来ない。だから私は目の前の小さな命を今から見捨てなければならない。なぜか私は蛇に睨まれた蛙のようにその場か

          告白雨雲【#毎時ショートショートnote】

          首絞め地蔵【ショートショート】

          「あぁ、私めをお救いくださいませ…」 真っ暗闇の中、みすぼらしい女が祈りを捧げているのは神様でも仏様でもなく苔むした一体の地蔵であった。 女は手を合わせ狂ったように同じ言葉をぼそぼそと呟く。 「あぁ、お助け下さい、あぁ、お助け下さい…」 地蔵は女をじっと見ているようだった。 あの世で苦しまないように。地蔵は地獄に落ちた人を救う存在である。 しかし、この地蔵は少し違う。この世は生き地獄である。この生き地獄から人々救い出さねばならない。そのような思想を込めてこの地蔵は

          首絞め地蔵【ショートショート】

          生きているか死んでいるか【ショートショート】

          「生き返ったのか…?」 つい先日、自分の大がかりな葬式を空から見下ろしていたと思ったらいつの間にか寝室にいた。俺はハッとして急いで洗面台に向かった。 「なんだこの顔は…」 自分の体には間違えない。しかし、鏡に映ったソレは目が飛び出ており、口は裂けている。心臓に手を当ててみる。そこにはあるはずの鼓動がなかった。自分はゾンビになってしまったのだろうか。また生きられるのは望ましいことなのに、私の感情は恐怖に支配されていた。どうしたらいい。一度死んでいるからといってまた死ぬ勇気

          生きているか死んでいるか【ショートショート】

          みなさんと仲良くなりたいので毎日5作品位にコメント残していこうと思います。習慣になればいいな。

          みなさんと仲良くなりたいので毎日5作品位にコメント残していこうと思います。習慣になればいいな。

          みなさんのショートショートに気軽にコメントしていいのでしょうか、大丈夫な人教えて貰いたいです

          みなさんのショートショートに気軽にコメントしていいのでしょうか、大丈夫な人教えて貰いたいです

          子供の特権【ショートショート】

          「ほら、君もおいでよ」 目の前の男の子が僕に手を差し出した。男の子は自身が乗っている雲と同じ真っ白な髪色だった。 「む、無理だよ。雲なんか乗れっこない!」 僕には目の前の状況が絵空事にしか見えなかった。 「大丈夫。なぜなら僕達には子供の特権があるから」 「特権?」 僕には聞き馴染みのない言葉であった。 「そう。子供の特権。これがあればこうやって雲に乗れたり、あのお月様にだってぶら下がれるのさ!」 男の子は空を指差した。その先にあるお月様は不思議といつもより大き

          子供の特権【ショートショート】

          棒アイドル【#毎週ショートショートnote 】

          「なんでこんなことになったのよ…」 ステージの上に立つ私の目の前には無数の棒が広がっていた。 たまに特になにもしていないのに生き物に自然と好かれる人間がいる。目の前の光景は理屈としてそれと同じらしい。 …なにいってるんだバカめが。 私はこの光景を見るためにアイドルになったのではない。まわりにチヤホヤされて最終的に実業家や社長みたいなお金持ちと結婚するためだ。 こんな黒一色の棒畑は望んでいない。 ただ、これでライブを中止するわけにはいかない。私は一曲目を流すようにスタッフに

          棒アイドル【#毎週ショートショートnote 】

          別サイトで書いたお気に入りショートショート3選②

          お久しぶりでございます。そうでない方は初めまして。リマウチです。 今回も私が別サイトで書いたショートショートを3つ紹介する。 文字数は多くないが煮詰まっているはずである。おでんの時期なのでちくわぶでも食べながらどうぞ。 4.ぬるくなった缶ビール コンビニから出る。ビニール袋の中には一本の缶ビールが入っていた。毎年、この日に買う缶ビールだけはなぜか習慣で有料化されたビニール袋ごともらってしまう。 こういった所から節約しないとな。 私はこの小さな反省が恒例になっていた。 少し

          別サイトで書いたお気に入りショートショート3選②

          献立【超ショートショート】

          ハハッハッハハッハッハ! ンッンッンーンッンンッンー! ババババッババッバババー! グッグックーグッググッグー! ゴゴゴゴゴーゴー! ハハハハハーハー! ンンンンーンッンンー! 僕は額の汗を拭った。 完璧だ。どうだと言わんばかりに母親の顔を見つめる。 「あんた食べいたいものあんなら普通に言いなさい」

          献立【超ショートショート】

          C-3POとドクが日本に来るって話

          皆さんはコミコンを知っているか。恥ずかしながら私は二日前まで知らなかった。 コミコンとはコミックコンベンションの略でアメリカのニューヨークから始まった漫画を中心としたポップカルチャーのイベントである。主に海外の作品が中心で現在はフランスやイギリス、中国でも開催されている。 安心していただきたい。日本でも行われている。しかも今年でなんと6回目にもなる。コロナの影響で何年間か中止になっていたものの、今年は久しぶりに幕張メッセで開催するそうだ。 ファンとしたら発狂→卒倒モノだろう。

          C-3POとドクが日本に来るって話

          ジュリエット釣り【#毎週ショートショートnote 】

          「まだやってるのか」 呆れながら俺は友達である沙翁に声をかける。 「いやーなかなか難しいね」 沙翁は釣竿を海辺から引き上げた。先端には西洋風の男のルアーがついていた。 「エサも上質で死なない毒薬を使ってるんだけどな。なかなかこっちに食いついてくれやしない」 沙翁はルアーを俺に見せつけてきた。 「ん?おい、よく見てみろよ。これロミオじゃないぞ」 俺の言葉に沙翁は目を丸くした。 「これハムレットだろ。この顔見てみろよ」 「うわぁ、本当だ。毒使ったから嫌そうな顔してるわ」 沙翁はガ

          ジュリエット釣り【#毎週ショートショートnote 】