見出し画像

棒アイドル【#毎週ショートショートnote 】

「なんでこんなことになったのよ…」
ステージの上に立つ私の目の前には無数の棒が広がっていた。

たまに特になにもしていないのに生き物に自然と好かれる人間がいる。目の前の光景は理屈としてそれと同じらしい。

…なにいってるんだバカめが。
私はこの光景を見るためにアイドルになったのではない。まわりにチヤホヤされて最終的に実業家や社長みたいなお金持ちと結婚するためだ。
こんな黒一色の棒畑は望んでいない。
ただ、これでライブを中止するわけにはいかない。私は一曲目を流すようにスタッフに目配せした。
そして曲が流れ始めると同時に目の前に様々な色の光が溢れる。
なんと、黒一色だった棒が赤や青や黄色。無数の色で輝き始めたのであった。

これは…サイリウム?
私は歌い踊りながらも目の前の景色に目を奪われていた。
次の日ネットニュースでこのライブが紹介された。

【棒アイドル!異様な光景で時代に乗っていく!】

「私は棒じゃなくて玉の輿に乗りたいんだけどな…」
ただあの光景をまた見られるならいいか。
私は次のステージを待ちわびていた。(444)

今回はみなさんがアイドルが棒になることにフォーカスしていることが多かったのであえて棒を他のところに置いてみました。

私もサイリウムを使うライブに死ぬまでの一回くらいいってみたいですね。

お毎度たらはかにさんお疲れ様です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?