ストレス対処の重要なポイント「リラックス活動の作り方!!」
1:リラックスやクールダウンが上手くいかない理由???
今回の記事は「リラックス活動の作り方」について書いていきます。
発達障害のあるお子さんなどの「リラックスやクールダウン」はコンサルテーションや研修で質問をいただくのが多い内容です。
まず、どんな質問をいただいたり、課題として考えている場面に遭遇するかというと、
<よくいただく質問など>
・リラックス活動がない、少ない、特定の場所でしか、特定の人としかできない
・落ち着かない時にリラックス活動やクールダウンを提供しても、その場所に行ってくれなかったり、グッズを投げて使うことができない(上手くいかない)
・リラックス活動やクールダウン活動のつもりで設定するといつの間にか、本来の活動に戻って来れない(リラックスやクールダウンが本来の活動になってしまう)
などいくつか課題にあげて質問やケース検討のテーマとしていただく場合があります。
「リラックス」は以前アップした記事
<「好き」の要素を探す???余暇時間の攻略アイディア!!>
の中でも説明した、
「4つの余暇の種類」
の中の1つにもなっているので、とても重要なポイントになります。
詳しくは↓リンクより
そこで今回は
・どのようにリラックス活動を作る?
・どのようにリラックス活動を実施する?
・どんなものや活動が良いの?
などリラックスやクールダウンにまつわることがらをまとめていきます。
2:リラックス活動の増やし方(考え方編)
リラックスやクールダウンの活動を増やす時に上手く行かないことが多く見られるアプローチの一つとしては、
「落ち着かなくなって、パニックや泣いている時にリラックスやクールダウンの活動やグッズを提供する」というやり方です。
この部分で上手くいきにくい要素としては、提供するグッズや活動が
「慣れ親しんで日頃使えているもの」だと上手くいくことが多いのですが、その場で思いついて、
・新しいグッズ
・新しいリラックスやクールダウン場所
を設定しても、その場所にいかなかったり、物を投げたりしてしまってよけいに落ち着かなくなるという経験をしたことはありませんか???
(僕もよくやってた気がしました、、、)
これは良くあることだと思います。
この場合だと、そもそも経験したことない物を落ち着かない状態の時に渡すので
・余計にパニックになってしまったり
・こちらの意味や意図が伝わりきらなかったり
・好きな物ではまると、泣いたり暴れると好きなものがもらえると思ってしまう場合もあります。
なので、重要なポイントは、
・そうなる前に「通常の状態に戻す」
・なってしまったら「日頃慣れ親しんだリラックスやクールダウンの活動で落ち着く」
ということが重要になります。
(※クールダウンやリラックスが使えないくらいのパニックなどは落ち着くのを待ってから、提供する必要があります。)
・状態毎のアプローチを考える
・日頃からリラックスの活動を考え、いざという時に使える慣れ親しんだ武器を作る
がポイントになります。
スライドを見ながら確認してみましょう。
スライドは「リラックスを活かす三段階のアプローチ」の説明になります。
※記入されている内容は例になります。
ポイントの一つ目は、状態を三段階にわけることです。
・通常の状態
・落ち着かない状態
・パニック等の状態
それぞれの状態に分けて、それぞれの本人の行動を書き込むことで、現在の状態がわかり、アプローチしやすくなります。
ポイントの二つ目は、状態毎のアプローチを整理することです。
ここで重要になるのが、スライドの
「通常の状態」になります。
リラックスの活用では、この状態の時に、本人に色々とリラックスやクールダウン活動を提供し、使える活動を増やしておくことが重要なポイントになります。
上記にもありますが、
・落ち着かない状態
・パニック等の状態
では新しいことの学習が難しかったり、誤学習が生まれる場合があるので、
「通常の状態」の時に日頃から取り組むことが重要なポイントになります。
他にもこの状態の時には本人の良い行動を拾ってフィードバックし、適応行動を増やす取り組みなどを行うのも重要になります。(これについてはまた別の記事を書きたいと思います。)
リラックス活動を増やす、導入する時は落ち着いている状態の時に試しながら、本人の活動の中に入れ込んでいくことが重要になります。
活用の仕方は次項で説明していきます。
3:リラックスの使い方(実践編)
ここからは、上記の視点を入れて実際にリラックス活動やクールダウン活動をどう設定していくのかいくつか考え方のヒントになることを書いていきたいと思います。
●日常生活の中に意図的にリラックス活動を設定する
リラックス活動は疲れた時や、ストレスが溜まった時に設定して癒されるということも重要ですが、普段の生活の合間合間に意図的にリラックスやクールダウンの活動を設定して、日頃のストレス値を下げる取り組みもとても重要です。
僕らも、息抜きにコーヒータイムやおやつを食べるなどしますよね???
もちろん疲れたからする人もいるかもしれませんが、時間でとる人もいます。
そういう形で日々の活動にリラックスやクールダウンの活動を盛り込むことで、
・落ち着かない状態
・パニック等の状態
にいきにくい状態を作ります。
●早期リラックス導入で爆発を減らす
・落ち着かない状態
・パニック等の状態
では、リラックスの効果にも違いが出てきます。
・パニック等の状態
よりは、
・落ち着かない状態
の方が「通常の状態」に戻りやすいですし、
・落ち着かない状態の中でも終盤よりも序盤の方が
「通常の状態」に戻りやすい場合が多いと思います。
早めのアプローチが重要になるので、それぞれの状態の行動を知っておく必要があります。
●リラックス活動の見極め(息抜きなのか活動の補填なのか?)
リラックス活動として設定して、中々本来の活動に戻れなくなっている場合に良くあるのですが、リラックスよりも新しい余暇活動になってしまっている場合があります。
リラックスやクールダウンとして使うなら、あくまでも気持ちを沈めるのが重要な役割になるので、
・時間
・できること
・場所
などをある程度枠組みを設定しておくと良いかもしれません。
特に学校のコンサルテーションで話を聞くことが多いのですが、クールダウンとして保健室や図書室を使っている時に
・図書室→自分の好きな本をいつまでも読める
・保健室→先生が良く話を聞いてくれるなど(→これが悪いわけではありません!!)
になっていて、本来の活動(教室での活動)に戻りにくくなっている状態の時があります。
クールダウンとしての活用なのか、勉強の合間の活動として設定するのかでは大きく意味合いが違ってくるので、どちらにせよ、活動にはしっかりと枠組みを作っておく必要があります。
●自分でor周囲から???
自分で上記のスライドの状態に気がつくことができれば、周りの大人とも確認しながら、自分でリラックス活動ができることが望ましいのですが、自分で把握しにくいタイプの人もいます。その場合は周りの大人や支援者が上記のスライドの状態に合わせた形で提供していくことが望ましいかもしれません
●リラックスグッズは人それぞれ
リラックスグッズについての質問をいただく場合もありますが、グッズの効果や好みは人それぞれなので、子ども等に合わせたものや活動を考えておく必要があります。
一般的にみて疲れるようなこと、
例えばジグソーパズルをつくるなども人によってはカチッとハマる爽快感でリラックスになる人もいます。本人目線で考えていく必要があります。
●同じリラックスグッズでも時間の経過や内容によってリラックスにならない?
同じグッズや活動でも時間や場所などの要因によってリラックスにならない場合もあります。
例えばゲームが気分転換になるお子さんがいたとしても、
・勝ち負けが着くようなゲームはストレスに繋がりやすい
・長時間やると疲れてきてストレスを感じやすくなったり怒りっぽくなってしまう
など、
勝ち負け→気分の高揚→パニックになりやすい
疲れ→ストレスになりやすい要因になる
他にも、ゆっくりするのが好きな人でも
ひま→色々考える→ストレスになりやすい
のようになる場合もあります。
●余暇の3つの性質や要素にも注目する
リラックスやクールダウンも1種類、2種類だけでは、上手く行かないことが出てくるので、長期的に継続的に増やしていったり、またはより強いリラックス活動を作っていくことも重要なポイントになります。
その時は余暇の記事にも書いたように(6関連する記事参照)
・いくつかのバリエーションでリラックス活動を作っておく
・見直しの視点を持つ
・強化/探求の視点を持って活動に深みを持たせたり、強くする
・好みのリラックス要素を合体させて新しいリラックス活動を作る
などもヒントになるかもしれません。
4まとめ
以上ながながとリラックスについての記事を書いてきましたが、
ここで書いているのはこういう支援が良いという、決めつけではなく、考え方の一つだと思ってください。
僕が実践で取り組んだことや関連機関と取り組んで上手くいった事例の要素を抜き出した内容になっています。
ヒントや考え方の一つにでもなればと思っています。
余暇シリーズとしては次は待ち時間についての記事を書きたいと思っております。
5リラックス役立ちグッズ
6:関連する記事
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?