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【オススメ本】鳥飼玖美子『歴史をかえた誤訳』


第二次世界大戦末期、連合国側はポツダム宣言を発表し、日本への無条件降伏を要求する。それに対し、当時の日本の首相である鈴木貫太郎は「黙殺する」と記者会見で言明。この「黙殺」の語が " ignore " (無視する)と翻訳されたことがきっかけで、連合国側は日本への原爆投下に舵を切ることとなる――。


平成16年初版発行の鳥飼玖美子氏の著書『歴史をかえた誤訳』では、このポツダム宣言を巡る日本の応対と連合国側の反応を、鈴木首相の「黙殺する」という発言を軸に、誰が翻訳したのか、どうしてこの訳語になったのか、他に訳しようはなかったのか、といった様々な観点から分析し、歴史の転換点であったことを明らかにしています。

この他にもアメリカとの経済摩擦や首脳会談の失敗をはじめとする、翻訳や通訳における誤訳がきっかけで起きた様々な出来事や、その背後にある文化の違い、言葉を訳すことの難しさなど、外国語を介したコミュニケーションについての興味深い話が数多く紹介されています。

歴史、外交問題、言語、異文化コミュニケーションなど、どれか一つでも興味のある方には非常にオススメの一冊です!

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