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『しらなみのかげ』

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こは、日々つらつらと念ひしことのとみに濫れてはすぎゆくに、浦によする沖つ白波の八重をりて、ささなみの下にあまたうたかたの浮かぶがごとく、そのかたちの成りては千々に消ゆるさまを、よ…
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2022年6月の記事一覧

【しらなみのかげ】思想としての保守主義とは何か #28

【しらなみのかげ】思想としての保守主義とは何か #28

よく言われる話がある。
それは、保守主義には固有の理想や理念がない、ということである。


例えば、その対極である共産主義には、私有財産を廃止し、生産手段を社会化することで「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」社会を実現するという、これ以上無い程の明確な理想がある。それよりは広義に用いられる概念である社会主義も又、私有財産の廃止乃至は制限により多かれ少なかれ生産手段の社会的共有を実現すると

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【しらなみのかげ】誕生日あたりのことども #27

毎日更新を始めると言いつつ、三日も更新をサボってしまった。
というのも、三日はかなりイレギュラーな日程を送っていたのである。


六月四日、僕は三十二歳の誕生日を迎え、ビストロとバーに行って親しい友人達に祝って頂いたのだが、その日は何と昼下がりから夕方に二、三時間しか寝ていなかった。というのも、その前日の夜からずっとTwitterのスペースにて、十五、六時間位、次々とやってくる人達と徹夜で喋り

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【しらなみのかげ】日本近代の正統としてのキリスト教 #26

【しらなみのかげ】日本近代の正統としてのキリスト教 #26

河上徹太郎の『日本のアウトサイダー』(中公文庫、1978)を読んだ。何でこの書をもっと前に読まなかったのか、と後悔させられた。蓋し、魂を震わせてくれた本物の名著である。この書の周囲を巡って、再び様々なことを考える機会があるだろう。そう思わせられた。


併し今や、河上徹太郎という名前を識っている人も少なくなってしまったのではないか。今では読まれたり参照されたりすることも少なくなってしまったが、

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【しらなみのかげ】皆もすなる日記といふものも、私もしてみむとてするなり #25

【しらなみのかげ】皆もすなる日記といふものも、私もしてみむとてするなり #25

今日は六月の一日である。更新するのは日付が変わって二日になるが、その様な厳密な時刻に関係無く、私は眠りに就いて起きた時に初めて日付が変わるという認識で生きている。大凡は、朝になり太陽が完全に上ってしまう時刻位まではその日の内であると見ている。抑も零時よりも前に寝ることなど千に一つ程で、後は勉強に勤しんだり一人酒を飲んだり酒場で歓談していたりするのだから、こうした認識の方が生活に合っている。だから、

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