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アメリカの「共同親権」制度 - ダディ、もう日本人でいちゃ、ダメなの? / NYCで「実子連れ去り」の被害にあった子供たち: WEEK 6

CHAPTER 16: RAINY DAY

 2024年〇月〇〇日(水曜日)

 この日は大雨でした。
 長男の傘を持ち、学校まで子供二人を引き取りに行きました。 
 ピックアップの4時間ほど前に、母親からメール。
 「明日はプレイデートがあるから、これをもってきてください」
 箇条書きで、子供たちのスクーター2台、ヘルメット2つ、そして恐竜柄のグローブ片方だけがそっちにある。
 そのメールに気づいた時はもう家を出ていたんで、持っていけませんでした。
 子供を受け取るときに「スクーターは?どうやって明日のプレイデートに行ったら良いの!?」と母親に聞かれました。
 わたしは「明日のプレイデートは誰とどこ?」と聞きました。
 どうせ近所の子なんだから、わたしがその子の家に持っていけばいいだけでしょ、と思ったからです。
 案の定、家から歩いて20秒ぐらいのところに住んでいる子とのプレイデートでした。
 「明日、その子に家に持っていく」とだけ言いました。
 母親は何も言わずに、それならといった感じで、雨の中を大きめの傘を差し、行ってしまいました。

 その日も、次男は、バガブーではなく安物のベビーストローラーに乗せられていました。
 雨具は無し。
 仕方ないんで、自分の傘を次男の上に置きながら、地下鉄の駅まで長男と小走りで向かいました。
 今にも壊れそうな、両手でしっかりと持たないと真っ直ぐに進まないストローラーなので、かなりてこずりました。
 地下鉄の駅までなんとか辿り着きましたけど、次男のズボンの下半分はずぶ濡れ。

 家に着いてすぐに次男をお風呂に入れました。
 楽しそうにオモチャで遊ぶ次男を洗いながら、長男に聞いてみました。
 「あのストローラーは、よく使うの?」
 「ノー。ウェンズデー・オンリー」
 「誰かに貰ったのかなか?」
 「ノー。アマゾンで買った」
 他の日はいつものバガブーのストローラーを使っているのに、水曜日だけか。
 「いつものストローラーはまだあるの?」とわたしが聞いたら、長男は「うん。けど前の車輪が壊れた」と答えました。

 2024年〇月〇〇日(木曜日)

 そして午前10時頃、長男の友達の家にスクーター2台とヘルメット2つを届けました。

 夕方、久しぶりに、母親の国選弁護士からわたしの弁護士に連絡がありました。
 昨日スクーターを持ってきてくれとリクエストしたのに父親は持ってこなかった。なんとかならないか?
 こちらの提案は片っ端からノー。けど自分のリクエストが通らないとクレームする。問題にする。
 4時間前に突然メールでリクエストしてきたことでも、そんなのはお構いなし。
 「もう既にスクーターは届けたとあちら側には返答しました。次の相談に入りましょう」
 夕方、わたしの弁護士から電話があり、すぐにそう言われました。
 「相手の国選弁護士はまだフロリダにいるそうです。けど30分ほど話しました。こちらの提案は、予想通り、断ってきました。それとあなたが次男を抱えながら、母親を叱責している動画を送ってきて、DVだから週1以上は会わせたくないと言っているそうです」
 これも、全て想定内でした。
 母親がDVだという「叱責」に関しては、その理由が問題でありそれを裏付ける動画、そして母親の問題点を証明するものもこちらはあるので、わたしの弁護士は「あっちが動画を出すゲームをしたいのなら、こちらからも出してもいいですけど。動画というのはプライバシーの問題もあるので、そんなに簡単に裁判所に証拠として提出できるものではないので、あくまでも交渉の中で使うツールにしかならないんです」。
 けどそれよりもと前置きして、もっと大切な相談をしないといけません、とわたしの弁護士は言いました。
 「あなたに対する保護命令を取り下げない。次の心理ではそうリクエストするそうです。ここは譲らないということですけど、こちらも母親に対しての保護命令を出しているので、こちらも取り下げない訳ですから、これは悪いことではないです。子供たちに対しての保護命令は解けて、あなたは今、自分に子供たちに会えるのですから。既に離婚と親権に関しては、家裁ではなく最高裁という判断は下されています。となると、月曜日の口頭審理で、〇〇(長男)の弁護士も出廷しますから、どうなるかわからないけど、最悪のシナリオは、裁判官が母親に一泊だけではダメだからと説明しても、頑なに水曜日だけと言い張る可能性もあるということです。その場合、親権に関しては最高裁で争うことなっているので、家裁の裁判官が子供たちを週に何日か会わせろと命令を下すことはないと思う。そのために、それも想定して、最高裁での次の手を今から打っておいた方がいいです」

 2024年〇月〇〇日(金曜日)

 今まで何度か家裁に行ってみてわかったことは、どの審理もそんなに長くない、ということです。
 他の人たちを見ていても、呼ばれて法廷の中に入り、出てくるまでの平均時間はだいたい15分ぐらい。
 審理スケジュールに沿って関係者しかこないんで、家裁の法廷のある階はびっくりするぐらい閑散として、とても静かなんです。
 ただ審理の後に、揉めて喧嘩になることがちょくちょくあります。
 特に取り巻きが多いと。
 「お前がいけないんだろ!子供のこと考えろ!」と誰か一人が怒鳴り、大乱闘になるか?という状況になると、あっという間に警察官が15人ぐらい出てきて仲裁に入ります。
 このフロアに、何人の警察官が常に待機しているんだろ?と思うぐらい、すぐに出動するんです。

 さて、そうなると、審理はどうせ15分ぐらい。
 でも一番気になるのは、この家裁が指定した長男の弁護士です。
 1時間ぐらい長男と面接するだけだと思うけど、色々と言ってくるのでは?
 もしもそんなに父親に会わせなくてもいいとか言い出したら、どうするのか? 
 だいたい6歳の子供に弁護士なんて馬鹿げてないか?
 いきなり父親から引き離されて、やっと一週間に一回しか会えない。そんな状況下で色々と子供に聞いても、真実なんてわかる訳ないし、そんなことする自体が子供に対しての虐待ではないのか?

 弁護士に色々と聞きましたけど、ほとんどの答えは「わかりません」でした。
 審理人が子供に弁護士をつけたのはおかしいとは思うけど、裁判所の決めたことには従わないといけないし、長男の弁護士がなんと言うかは、月曜日の審理まで待たないとわからない。
 確かにそうなんだけど、色々と弁護士に聞かないと、落ち着かないんです。
 でもその答えが「わかりません」だと、何をどうしていいのかわからず、もう仕方ないから、来週の審理まで待つしかない。
 このモヤモヤした気持ちを抱えながら、週末を過ごす。

 その選択肢しかない。
 なんとかく分かってはいたんですけど、弁護士とは話したくなるんです。

 そして、話した後に気づくんです。
 あ、そうか、わたしの弁護士のレートは1時間600ドルだ、と….

To be continued…..(続く)
 
 

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