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速効性で小銭を稼ぎ、遅効性で本質を育てる

経営の崖っぷち、売り上げの低迷や債務超過。悠長に模索している場合じゃない、という話

自室の整理をしていたところ、数年前に記していたノートを発見した。

当時の心境や学んでいることをまとめていたノートになるが、状況が状況だっただけに愚痴にも似たホンネが散見していた。

この当時は未だ会社の状態は芳しくなく、多額の負債の返済に追われる中、売上げも低空飛行状態。本やセミナーなどの勉強会で学んだことを実践するも空振りばかりしていた頃である。

なけなしのお金を投じて実行した新規プロジェクトもクレームにより投じた金額を回収する前に断念したり、これは、と思った施策がことごとく空振りしたりと不安や焦りは募るばかりで、早朝の学びの時間にまとめるはずのノートには思わず漏れた苦しい言葉が学びとは無関係にノートに記録されていた。

ホンネはいつも「いつになったらラクになるなるんだろう」という心境ではあるが、今の私が俯瞰した視点で振り返るならば、その不安や焦りの最高潮のその時が夜明け前に値するということだ。

しかしながら、何もせず頭を抱えているのでは夜は明けない。それまでの営みがあってこそとなるが、そうした状況にあると思わず簡単に儲かる方法に手を伸ばしたくなるが、本来手にしたい実力はもっと本質的な実力であることは心のどこかで理解していると思う。

ところが状況は悪化の一途だ。売り上げを伸ばし浮上するまでなど待ってはくれない。銀行の融資のリスケなどで時間の猶予を手に入れるということも有効かもしれないが、わずかな延命処置として捉えなければならない。何も打開策が無ければ再び崖っぷちに逆戻りということになる。

ではどうしたものか。

売上げの内容をふたつに分けて考える必要がある。当面の経営を持ち応えさせるための売上げと、将来的に柱となる本質的な売上げ。前者が速効性の売上げで後者は遅効性ということになるのだが、速効性の売上げというのは金額面こそ小さいが確実性が高く、少し工夫すればすぐに売上げが立つ商品(製品やサービス)を基盤ができるまで売りまくることで、会社の売上げがマイナスになることを防ぎながら時間稼ぎをするのだ。

時間稼ぎと定義する意味は、それらの方法はほとんどの場合、薄利多売モデルであって、体力勝負になる。そもそも小さな会社が一番とってはならない方法だが限定的に会社を潰さない為に当面の間の急場しのぎとして実行し、小銭を稼ぐのだ。

このとき、少し精神的に余裕があるのならば速効性の商品をフロントエンド商品(商品設計の導入部、顧客に認知してもらう為の商品)として設計し、小銭を稼ぎ延命しながら遅効性の将来の柱となる商品を育てる。

遅効性の商品の効力を発揮するのは会社が扱うものによって様々だが、小さな会社であれば3年から5年が相場ではないかと思うのだ。それだけの時間を持ち応える精神力も必要になってくるが、時間の感覚として認識しておけば出口の見えないトンネルの中にいるような絶望感を抱えることはない。

ここまで書いたことをそのまま当時の自分に伝えてやりたいが、ノートを記していた頃がまさに夜明け前というタイミングであったということで、その後浮上しつつそのサイクルを理解することに至るのである。

何かをやればやるだけ成果の蜃気楼に振り回されがちだが、その蜃気楼に輪郭が浮かび上がるのは時間の問題だ。3年から5年が経過していればその輪郭は本物と捉えていいのではないだろうか。

延命の為の行動と本質を育む行動の両輪を回す。方向性が間違っていなければ成果は必ずあらわれる

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