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【読書遍歴】ライターの本棚 | 10代・20代に熱心に読んでいた作品(米文学・日本文学・仏文・絵本など幅広く)

2022年8月7日のこちらの投稿。本棚をシェアしたものです。

私は約10年ライターの仕事をしているのですが、その間に「ライターはどんな本を読んできたらなれるんですか?」と質問をいただくことが何度かあったのを思い出し、実家に帰った時に本棚の写真を撮ってツイートしました。

現役のライターさん、読書好きの方などコメント以外でも多方面から反響がありましたので、noteにもまとめておこうと思います。

これらの作品は10代・20代の頃に手に取ったものということもあって、当時の私が興味を持っていた「海外の文化への憧れ」や「若干のサブカル臭」を感じるセレクトかもしれません。

しかし、日本の素晴らしい作品や人生を変えるような素晴らしい作品もありますので、気になるものがありましたらぜひ読んでみてくださいね。

少年時代から文学一筋。熊本の南関や福岡の柳川にルーツを持ち、大学では英米文学を専攻されていたと知り、著者に親近感が湧いて手に取った。

父と父を取り巻く女性たち──複雑な大人たちの恋模様を少女目線で描いたセンセーショナルな作品。サガンの代表作。多くの国でベストセラー。映画化も。

フランス革命後のバスティーユ牢獄の中で書かれたという作品。作者の名前「サド」はSMのSの語源らしい。すすめられて読んだけど、不気味で後味悪めだった印象(笑)

平安時代後期に書かれた説話集。当時は西洋思想に興味があったけれど、東洋思想についても知りたいなと思っていて、そのタイミングで手に取ったもの。インド・中国・日本の三部構成。仏教(仏法説話)に興味がある方に読んでほしい。

児童書・冒険物語というカテゴリーで図書館に置かれているのをよく見ますが、大人が読んでも楽しめる作品。海賊に興味がある方に特におすすめ。

300年生きた主人公がその間「男性」から「女性」になる。ジェンダーを扱うヴァージニア・ウルフの代表作。某有名ブランドのファッションショーのテーマで取り上げられたことでも有名。

ヘンテコでおかしくてちょっぴりメルヘン。「大人向けの童謡」という言葉が似合う作品集。読んでもよく分からないけれど、それがまたいいなと思える。ショート・ショートが好きな方に響くはず。

洗練された大人になるためのエッセンスや美学が詰まった作品。ちょっぴり偏屈でエッジが効いた伊丹節満載。”粋”ってこういうことなのかなと考えさせられた。

自由を夢見てアメリカの荒野へ──
ビート・ジェネレーションを代表する作家ケルアックの長編旅小説。

ビート・ジェネレーション
打ちひしがれた世代、ジャズのビートなどの意味がある言葉。「のちのヒッピー文化に多大な影響を与えた」という第二次世界大戦後(1950年代頃)のアメリカで異彩を放っていた作家グループ。ケルアック、ブコウスキー、バロウズなどがそれに当たる。

ビート・ジェネレーションの作家ブコウスキーの作品。ロックスターがインタビューで好きと言っているのをよく聞く。描かれているのはどこまでもファンキーで退廃的な生活。「ダメなやつ、無理」と思う派と「かっこいいな」と思う派に分かれると思う。

「死」や「エロス」をテーマに数多くの作品を残したフランス思想家・作家の作品。精神世界、性、情緒不安定さなど、人が持つ心の”ゆらぎ”を感じながら、そこにどっぷりハマっていく──没入感満載。

見合い結婚した2人。それぞれに秘密があり、彼らを取り巻く人々の心情が複雑に絡んでいく様が描かれた作品。結婚生活、夫婦、パートナーシップなどの相談をいただくことがあったので、色々な家族のカタチを知っておきたいなと思って手に取った。

同名のアパレルショップを検索していた時に出会った。はみ出し者(=アウトロー)の目線で描かれた作品だからシュールでブラックな部分が多いが、文体の美しさが故に”美”が宿っているから不思議。「正しさって一体何なんだろう……」「人によって、立場によって異なるのでは?」と考えさせられた。と

雲に包まれているような不思議な気持ちになる作品。お酒を飲みながら、眠たい夜、曇天の日にブランケットに包まれてまったり読むのも◎

ロマネスク小説というジャンル。発売当初は「(悪い意味で)話題になった」という前衛作家ソレルスのベストセラー作。よく覚えていないので、また読んでみようと思う。

熊本の玉名にある温泉が舞台。夏目漱石は熊本で英語の教師をしていた時期があり、彼の旧邸(家)もいくつかあって観光地にもなっている。熊本にゆかりがある大文豪の作品を読んでおきたいと思って手に取った。

よく分からないタイトル通り。エログロナンセンスな作品。万人にはおすすめできない。

著者は森鴎外の娘。料理家、フードコーディネーター、グルメライターなど食の専門家たちが太鼓判を押す作品。「おいしい」という直接的な表現を使わず、おいしさを表現する方法を学べたのも◎

ひとりの女性(年下で出会った当初は少女)にひたすら翻弄される大人の男性の話。アニメ『文豪ストレイドッグス』のキャラクターの谷崎潤一郎とナオミのモデルとなった作品。

『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店』など幼少期に童話を読んだくらいで、他の作品を知らない。そんな方は宮沢賢治の作品がまとまっているこの本を手に取ってみて。

どこまでも破滅的。自分だけならまだしも、周りまで巻き込んでしまう危なっかしい人。太宰治といえばやっぱり『人間失格』。落ち込んでいる時に読むと、どこまでも引っ張られるあの感覚は危険だけど、彼の弱さと向き合う中でなぜか心が救済された人は多いと思う。

象徴派詩人のバイブルと言われる作品。タイトルが魅力的なのは言うまでもなく、凡人では思いつかないような言葉で退廃的な官能美を表現している。ボードレールは生前エドガー・アラン・ポーの翻訳に精を出していたことでも有名。

ギリシャ出身。熊本で英語教師をしていたこともある小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の作品。

妖艶な女性の表現に長けている谷崎潤一郎。「気に入った女性にしか刺青を施さない」という謎のこだわりがある彫り師の話。印象的だった。

清少納言『枕草子』、鴨長明『方丈記』と並び、日本三大随筆のひとつ。古典の授業で「つれづれなるままに〜」を読んだが、芸を身に付けたい人へのアドバイスがライター駆け出しの頃に刺さった。

漢字の読み方は「いえもりきたん」。『西の魔女が死んだ』を書いた作家の作品。植物が擬人化されていたり、河童やマリア像、鬼が出てくるなど不思議な世界観。

19世紀のフランス文学。平凡な結婚生活に飽きて、欲求のままに行動し不倫や借金をして自滅していく女性の話。はたから見てどうかではなく、本人にしか分からない苦悩ってあるよなぁと思った。

季語や五七五など俳句のルールを無視した「自由律俳句」を詠んだ大正昭和の俳人。大酒飲みで色々問題を起こして出家。九州から中国、四国地方など句を詠みながら放浪。彼が実際に訪れた地(熊本 八代 日奈久温泉)に行く時にこの本を持っていったのがいい思い出。

「神話の地」として知られる宮崎の高千穂に行く前に読んだ本。色々理解した上で観光するとより楽しめそうだなと思って。

国語の教科書に載っていた『山椒魚』。大人になってからもう一度読みたくて購入。「なぜ出られなくなった?」「なぜ嘲笑った?」など、深く考察してみると面白い作品だと思うので、読書好きさんと語りたいな。

某有名テーマパークのアトラクション名にもなっている作品。海に現れた怪物を調査しに行く冒険ファンタジー。ワクワクするし面白い!

簡単に説明すると昔に書かれた怖い話。ただ怖いというより、ちょっぴり切ない気持ちになるのは普遍的な人間心理が描かれているからなのかも。

『賢者の贈り物』は何度読んでも好きだなぁ。愛するもの同士が犠牲を払って、相手のために行動していたというラブストーリー。この作品を読むと、病める時も、健やかなる時も、お金がない時も──「愛を誓えますか?」という言葉が脳裏に浮かぶ。

『汚れちまった悲しみに──』が読みたくて。有名な『サーカス』も収録されている。秋の夜長にぴったりの作品。そういえば、中原中也によく似ていた同級生がいたな。

男女の違いを理解したくて購入した。恋人・夫婦・家族関係だけでなく、仕事上での異性とのやり取りにも役立つと思う。

末期患者の介助を行うケアワーカーの目線で患者とのやり取りが淡々と描かれている。介助する側、される側。それぞれ受け取るもの(=贈り物)があると思うが、それを美談や綺麗事で終わらせていないのが逆に良いなと思った。

同名の映画『イントゥ・ザ・ワイルド』で知っている方も多いかな。ノンフィクション。青年の無計画で無鉄砲とも思える放浪。その結末は──

ベトナム戦争後のPTSDを扱う作品。世界情勢が緊迫している今読んでおくべきだと思って再読中。

念願のホテル経営を果たすも、家族に続々と問題発生。これを読んだ友人が「上下巻で一族の歴史を見守っていくから、親近感が湧いちゃって。もはや他人事のように思えなくなった」って言ってたけど分かる。

アメリカ文学のSF長編小説。科学、戦争、宗教などがテーマ。読み始めてすぐは内容の理解に苦しんだが、そこを抜けると著者の主張が見えてきて気づきが得られる。カート・ヴォネガットの作品は他に『スローターハウス5』『タイタンの妖女』も有名。

1980年代に誕生したSF小説。サイバーパンクというジャンル。マトリックス、ターミネーター、特攻機動隊、ブレードランナーなどが好きな人は脳裏に映像が浮かんでくると思う。

ショート・ショートのジャンルで有名な星新一の作品。ウィットが効いた短編集で個人的には「味ラジオ」の話が好き。

ピュアな美少年が堕落、破滅へと向かっていく過程で肖像画が身代わりに──物語として楽しめるのはもちろん、ヘンリー卿が教訓めいたことを色々言うので人生のヒントが得られるかも。

化学物質による環境汚染がテーマ。映画『不都合な真実』の中でアル・ゴア元副大統領が、この作品を取り上げたことでも有名。環境問題に興味がある方は一読の価値あり。

同性愛(LGBTQ+)がテーマの自伝的作品。三島由紀夫は見た目も行動もいかつくて過激な印象だけれど、文章がとても繊細で揺れ動く心情、迷い、葛藤が描かれている。胸がぎゅっと苦しくなった。

強烈。ついていけない人も多いと思う読み手を選ぶ作品。誰にすすめられて手に取ったのか忘れたけど、フェティッシュな世界観だった。

初老の男性が旅先で出会った美少年に恋い焦がれ、陶酔している様子が丁寧に描写されている。「世界一の美少年」と言われたビョルン・アンドレセンが出演している映画も有名。

青年の叶わぬ恋。私が手に取ったのは20代だったけれど、もっと早く出会いたかった。恋に悩む若者だけでなく、辛い恋をしている大人にもズシンと響くものがあると思う。

阪神淡路大震災にまつわる6つのエピソード。「かえるくん、東京を救う」はアニメ『輪るピングドラム』の元となった作品らしい。

世間一般の価値観からズレている道徳心がない男。自分の思うままに行動し、自分がありすぎるが故に人から理解されない──種類は違えど、孤独を抱えている人なら共感できる部分があると思う。

本屋のスピリチュアルコーナーで見かけた。夢を追いかけることの大切さ、生きていく上で大切なこと、何度も読み返したい言葉が詰まっている。

教科書に載っていて学生の頃に読んだ不思議な話という記憶止まりだったので、再読したくて手に取った。カフカと同じ不条理文学に分類されるそうで、哲学的な作品とも言える。

子供部屋の中で繰り広げられるグニャリと歪んだ兄弟愛。狂気じみた感情が繊細なタッチで描かれている。

旅人のバイブルとして長年愛されてきた作品。主人公は生涯旅をしていて、彼の人生がまるっと描かれている。若干のSF要素があるが読みやすい。著者は『時をかける少女』を書いたことでも有名。

本屋のエピソードは驚いたけれど、檸檬を手に取ったことで主人公の鬱積とした心が少し晴れやかになったのだろうなと感じた。

1988年生まれの私より少し上の世代が「旅のバイブル」と絶賛する作品。この本を読んで世界一周したり、バックパッカーになった若者が多かったらしい。最近は世界情勢的に海外にも気軽に行けなくなったから、再読して旅気分を味わいたいな。

世界中で読まれている冒険物語。無人島に漂流した少年たちのサバイバル生活は子どもだけでなく、大人も楽しめる内容。

女性の解放やフェミニズムなどの分野で語られることも多い作品。家庭内のいざこざや葛藤を経て女性が目覚め、自立へと向かっていく──ずいぶん昔の遠い国の話だけど、共感できるのは人間が持つ普遍的な悩みや苦悩が描かれているからだろう。

好きなことには一直線。寝食も忘れて熱中することで有名な男ジュゼッペ(=トリツカレ男)が夢中になったのは無口な女の子。彼女のために全身全霊で愛を届けるピュアな姿勢に胸キュン。何かで成果を上げているプロってこのくらい熱量高めの人が多い。「好きこそものの上手なれ」ってこういうことなのかな。

村上春樹が翻訳。彼が惚れ込んだカーヴァーの作品を集めた傑作選。学生の頃に読んでラストのシーンが印象的だった『大聖堂』を日本語でも読みたくて購入。

数多くのジブリ作品を世に生み出した宮崎駿作。この物語はチベット民話『犬になった王子』がベース。ストーリー展開は『風のナウシカ』と似た雰囲気。

プライドの高さや承認欲求の強さが故に自ら破滅へと向かう主人公。見栄を張り、虚構の世界から引き返せなくなってしまう。SNS社会でもこういったことが身近に起きているなと思った。

父親が出ていき、残された家族(母・息子・娘)の物語。作者の自伝的な作品で「アメリカ文学の最高峰」と称されている。学生の頃に授業でクラスメイトと熱く議論したのがいい思い出。

『ティファニーで朝食を』『冷血』で有名な早熟の天才作家カポーティの短編集。収録されている「誕生日の子どもたち」が特に印象に残っている。

日常が冒険だったあの頃──子ども時代の記憶や心情が蘇ってきた。世の中の矛盾をついた風刺的な作品として捉えることも。関連で『ハックルベリー・フィンの冒険』もおすすめ。

天涯孤独、波乱万丈な人生を送る主人公の自らのルーツを巡る物語。彼以外の登場人物もみな個性的。後半で全てが繋がる。

人里離れた湖畔の森の中で小さな家を建て、自給自足をして約2年の隠居生活を送っていたソローの回想録。アウトドア好き、シンプルライフに興味がある、ツリーハウスとか建築に興味がある、人間関係に疲れちゃったという方におすすめ。

キューバの老いた漁師が何十日もかけて死闘の末、巨大なカジキ釣り上げるというシンプルな内容だけど、描写力がすごすぎて読者も一緒にグッタリしちゃうで賞をあげたい。アメリカ文学の中ではハードボイルド文学というカテゴリーに分類される。これが好きなら『白鯨』も読んでほしい。

「これってどういう意味なんだろ?」仲間と議論したくなるような文学好きにたまらない作品が収録されている。この中で特に私が好きな話は『バナナフィッシュにうってつけの日』。井伏鱒二『山椒魚』を思い出した。

学生の頃に演劇会で披露した作品。なぜそうなってしまったんだろう。どこでボタンをかけちがってしまったんだろう。そう思わずにはいられないし、誰もが彼のような結末を迎える可能性があるなって思った。中高年の危機を描いた人ごとではない作品。

就職活動が終わり、卒業間際のタイミング(最後の授業)の時に教授が読んでくれたスペインの絵本。”普通ではない牛”とそのお母さんが主人公の話。「個性を大事に生きて欲しい」そんな気持ちでこの本を選んでくれたんだと思う。

アメリカ文学の不朽の名作。全世界でベストセラーの青春小説。社会への反発、葛藤、青年期特有のドロドロとした感情が渦巻く一方で「人を信じたい」「理想を追い求めたい」「無垢なものを大切にしたい」という理想主義的な一面も。『天気の子』の主人公が持ち歩いていたことでも有名。『ナインストーリーズ』とセットで読むのが◎

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以上となります。「そういえばこんな本もよかった!」と思い出したらその都度追記していきます。





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