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薩摩オハラハー DAY3

縦走2日目-九州最高峰の頂へ-

3/26(日)。5:00に起床すると雨はまだ降り続いていました。
軽めの朝食を作り、7:00に淀川小屋を出発。
南の島とはいえ、標高1000m以上の避難小屋は着込んでいても寒いもの。
このまま一日中ここで停滞している方が体を冷やしてしまうし、行動不能なほどの雨ではなかったので途中のピークを一部カットして一旦宮之浦岳のピークを目指すことにしました。

淀川小屋の朝

登山道は雨でぬかるんでおり、場所によっては沢と化しているところも。
スパッツを履いていてもそれなりに靴の中は浸水してしまいました。
幸い、装備一式には沢登りレベルの防水対策を施していたので、ザックの中身はほぼ無事でした。
電子機器はもちろん、濡れてはいけない物はシリカゲルとともにジップロックに入れる徹底ぶりでした。
雨の多い島なので、湿気対策は必須だと改めて気づかされました。

私の場合、登山を始めた高校生の頃から、登山の開始時にはある種の憂鬱が付き纏います。その憂鬱は厳しい山であればあるほど大きくなります。それは、登山が嫌いというよりは、対象となる山を「正しく畏れる」という気持ちの表れなのです。
基本的に、山は危険なところ。雄大な美しい景色とともに人々を包み込み、恵みをもたらすこともあれば、時には人間の力だけでは太刀打ちできないほどの容赦ない仕打ちを与える存在でもあります。
山に対して、常に謙虚にリアリストであること。
そうした山への「畏れ」が、安全登山の第一歩ですし、おそらく、その「畏れ」を正しく知覚できないときに、「遭難」が起きるのだと思います。

ニセコ神仙沼を思わせる高層湿原「花之江河」を8:20過ぎに通過。


北海道では比較的よく見られる風景ですが、ここは九州最南端の離島。
ここにこのような景色を見られることが、屋久島の「垂直分布」を表しているのです。

稜線は風と雨で通過するのがやっとだったので、当初予定していた黒味岳と永田岳はカットして、宮之浦岳のみピークを踏みました。

宮之浦岳ピーク

悪天候の九州最高峰には15分ほどの滞在。
天気が良いときにぜひ再訪したいですが、一応登った事実は作れたので良しとしましょう…。

高塚小屋

途中行程をカットしたため12:00前に宿泊予定だった新高塚小屋に到着。

新高塚小屋にて
行動食を食べながら休憩中


当初はここに宿泊予定でしたが、明日の行程を考えてプラス1時間先の高塚
小屋まで進んでこの日は終了。

おそらく今後の人生において、いくつも旅をすることになるでしょう。
しかし、雨の中歩き続けて冷えた体を休めたこの小屋は、どんな高級ホテルにも勝る場所であり、食べた即席ラーメンと行動食の味はどんな高級料理にも勝る味でした。

高塚小屋
たぶん一生忘れることのない場所になるだろう

3Fの小屋ですが、計4人しか宿泊者がおらず、ほぼ1フロア1人の貸し切り状態。とても快適な小屋泊でした。

4人のうち2人は欧米系のハイカーでまさかの短パン…笑。
ラフな服装で登る欧米ハイカーを見るのは北海道でもよくあること。
日本の登山者は一様なルールに縛られがちですが、登山スタイルは人それぞれ。各々が自分の頭でリスクを考えた上での行動ならば、いちいち重箱の隅をつついて指摘するのも違うな…と最近は思い始めています。
登山は競技ではない以上決まったルールがあるわけではないので、もう少し個人の裁量が求められてもいいのかなと。

高塚小屋は縄文杉まで徒歩5分。

縄文杉と初対面

さすがは、他の屋久杉とは圧倒的に違う存在感。まさに森の主がそこに鎮座していました。はるばる雨の山中を歩いてきた苦労も相まって、とても神秘的な雰囲気を感じる巨樹なのでした。

たまたまそういう予報だっただけなのですが、縄文杉に到着したタイミングで、昨夜から降り続いていたちょうど雨も収まってきました。明日は晴れた森を歩けそうです。



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