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「日本の給食現場を変える。」給食×ITで給食業界をDX!急成長スタートアップ代表インタビュー ほうわ創業・事業承継支援ファンド投資先【PECOFREE】

『食のインフラを変える。』

産業給食の業界は、少子化の影響やコンビニなどの台頭により、厳しい状況が叫ばれている中、昨今の物価上昇もあり、2022年度調査では、6割超の企業が業績悪化していると報告されています。
その影響で学校現場においては、共働き世帯の増加によりお弁当を持参出来ない学生が増えている一方で、不採算から学食事業者の学校からの撤退が相次いでいます。
今回は、高校給食という新市場を開拓し、ITの力で給食業界を盛り上げていくPECOFREEのご紹介です。
中小企業の取締役をしていた川浪代表の変わっていかなければならない企業への想い、そしてPECOFREE立ち上げまでの挑戦と事業について、インタビュー形式でお伺いしました。


PECOFREEについて

(株)PECOFREE(以下、ペコフリー) は、学生の昼食問題に着目した事業を行っており、現在学生向けフードデリバリーアプリ 「PECOFREE」を運営しています。「PECOFREE」導入校の学生は毎日数種類の中から昼食用のお弁当を注文することができ、またその供給は地域の給食会社と提携をすることで、地域の給食産業活性化に取り組んでいます。 学校と給食会社をマッチングすることで学生・保護者・産業給食業者・学校それぞれの課題を解決し、新たな食のインフラとなることを目指しています。

FVCでは、大分県にある(株)豊和銀行と取り組む地方創生ファンド「ほうわ創業・事業承継支援ファンド」より、2024年3月に投資を行い、支援しています。

▼PECOFREE 川浪代表インタビュー


創業のきっかけ

FVC)
創業のきっかけについて教えてください。


川浪代表)
僕は福岡県出身で、高校はコンピューターの情報技術の学科に進学していました。当時から漠然と今後ネットやITなどのデジタル分野が出てくるんだろうなというのは自分なりに思っていたので、その分野の高校に進学したのですが、当時10代の私はそんなに素行がいい人間ではなかったので(苦笑)、1年間で高校を中退してしまいました。
でも何もしないわけにはいかないので、働かなければと飛び込んだのが飲食業界でした。
イタリアンで修行をして以降、和洋問わず様々な飲食店で経験を積み、店長やエリアマネージャー、それから新規店舗の開発等、色々経験させていただきました。
その中で、24歳の時に前職の給食会社に入社しました。これが今の事業に結びついていったきっかけですね。

「一皿の料理で目の前の人を喜ばせたい」料理人から2万5000人に向けて提供する産業給食の世界へ

前職の給食会社は、福岡県で2万5000食を配給する給食会社なのですが、元々僕はそれまで飲食業界で料理を提供してきていた経験があるので、料理人として、自分が作った一皿の料理を目の前のお客様に提供して、それで美味しいと喜ばれるのが嬉しい。そういった考えをずっと持っていたのですが、給食会社での面接で、「君が考えた献立があったとして、その献立を提供できる人数は2万5000人いる。幼稚園の子ども達や中学校の子ども達、企業で働いてる人たちが、君が考えた料理を食べてくれるんですよ。」と言われて、飲食店では確かにそれは経験できない、純粋にやってみたいと思い入社しました。
そこからバイトで入社し、数年後社員になって、その後工場長になりました。工場なので仕入れや献立も全部やっていましたね。最終的には、取締役として、本部の経営なども関わるようになりました。
現在は、ペコフリーを立ち上げて丸々3年程経ちますが、この業界には14年間います。

FVC)
この創業までのエピソードやこれまでの人生観も含めて、どういう経緯で、この事業に行き着いたのかを教えてもらっていいですか

川浪代表)
僕が働いていた給食会社は、家族経営の給食会社で、現在の社長が2代目で外部からの人間では僕が3番手みたいなところにいて、当時から社長は創業期から何か変えていきたいというのはよく議論していました。産業給食の世界は歴史ある伝統産業であり、何か新しいことをしていかないとこの会社もこの産業も成り立っていかないと課題感は抱えているんですよね。これは今の日本では大手企業でも中小企業でも一緒で、同様な課題感は持っていると思います。

レガシー産業での課題

その中で、家族経営だからこその部分もあるかもしれませんが、父から受け継いだ会社を守らなければという責任を持っている社長や経営陣は、変わらなければという危機感はあるものの、なかなか一歩は踏み出せない。加えて歴史のある伝統産業の業界だからこその慣例や保守的な側面もあります。昨今DXという言葉をよく聞くようになりましたが、業界や社内でもDXが必要という議論はされるものの、実際に何かするというところまで話が進まないんですよね。
その中で第三極の立場で僕がいます。成功法や業界の慣例があるのならば、外部からの人間である僕は、斜め上の考え方を持たなきゃいけないと思っていました。何年も何年も、この業界や会社をどうしたら盛り上げることができるのか考え続けていたんですよね。

既存の枠を超えていきたい
 
例えば福岡の市場として考えてみると、福岡市は人口約150万人、福岡県全体の人口で約510万人の中で、現在約2万5000個のお弁当を食べて下さっている需要層はあるのですが、少子高齢化も進行している中、今後、この市場って広がっていくのは厳しいのではないかと思っていました。じゃあ新しい市場を作っていくよう考えた方が良いじゃないか、ということをずっと考えていたのが創業前の1、2年間だったんですよね。
元々、型を破りたいとか、その枠を超えると自分が思っている課題をどんな風に解決できるんだろうというのを、いつも考えていたし、そういった人生観で生きてきました

中小企業での働き方

FVC)
少し話は変わりますが、今のお話を聞いていて全国の中小企業の中には、変わらなきゃいけないと考えている企業も多く存在すると思います。実際にその中にいた川浪代表から見て、どういうきっかけやポイントがあると思いますか?

 
川浪代表)
中小企業に関わらずかもしれませんが、やはり会社で働くとなるとその会社それぞれのルールや立場、役割がありますよね。多くの人がやらなければいけないことをやっています。その中でやらなければならないこと(=通常業務)に加えて、やれること(=特別業務)をやれる人、というのがいわゆる「できる」と言われる人なんだと思うんです。
自分の通常業務に加えて特別業務で何かができると、もちろんそれだけですごいと思います。
でも、僕は、もう一つ大事だと思っていることがあって、それは、やらなければならないこと、やれることの次にやりたいことがあって、さらにそれを実現できる人がおそらく、今の中小企業に必要になってきているのかなと思っています。

FVC)
そういった部分で言うと特に家族経営だったり歴史の長い産業の中にある企業の場合、内部から変えていくのはなかなか難しい側面もあるかと思うのですが、外部からきた人は必要になってきたりするんでしょうか?

 
川浪代表)
やはり起爆剤にはなると思います。やっぱり仕事の本質って「なんでだろう?」って考えることが重要だと思っていて、例えばこれがこの会社のルールだって言われた時に「どうして?」とか、「こうしたらいいかもしれないな」というような、考える人材を入れていかなきゃいけないかなとは思うんですよね。
でもそれってすごく目の上のタンコブにはなるんですけどね(笑)
ただ、企業としては、足し算引き算割り算かけ算ができるマインドの人を人材として必要とした方がいいと思います。これとこれを掛け合わせたらこうなるかも、というような発想ができる人です。それが、さっき言ったように、外部の人だったり、違う会社の人を入れるだけで全然違う発想につながっていくのではないかなとは思いますね。

イジゲングループとの出会い

FVC)
FVCでは2020年にほうわ創業・事業承継支援ファンドから、イジゲングループという企業に投資をしていました。
イジゲングループは中小企業のDX支援を行っていて、中小企業が元々持っているノウハウとITを掛け合わせて今の時代ニーズに応えられる新規事業を開発し、ジョイントベンチャーを設立するという、とても興味深い事業をされていました。

昨今DXという言葉は浸透してきていますが、実際に事業を作って、地域や社会に貢献していくという取り組みは素晴らしいと思っています。そのイジゲングループが手掛ける取組みから面白いベンチャーが出てきたらぜひ応援したいと思っていて、注目していたところに登場したのが御社でした。

今回我々として嬉しく思っていることが、自分たちの投資先から、新たに投資をしたい先が生まれたところです。

先ほど外部の人との関わりの部分でいえば、ペコフリー、川浪代表にとっては、それがイジゲングループにいた鍋島氏だったとも思うのですが、いかがでしょうか?

川浪代表)
全くその通りですね。僕はいろんなアイディアは浮かんでくる。この業界を盛り上げるためにやりたいことがたくさんある。だがそれを実現するためには、例えばアプリを作るとなると、僕がエンジニアを学んだとしても何年かかるかわかりません。
そこに、イジゲングループという存在があり、アプリを開発できる人材がいて、スケールアップさせるために経験が豊富な鍋島さんがいました。自分が持っていない、足りないスキルがあったとしても、そのスキルがある人と一緒にすれば、必ずクロスオーバーできる。僕は、どういう人たちと出会って、どういう人たちと一緒に仕事するかというのをいつも心がけています。

イジゲングループ・鍋島氏との出会い

2019年頃にイジゲン(現:イジゲングループ)のAlwaysというサブスクサービス(※1)があったんですね。当時僕はまだ食堂の運営をしていて、Alwaysのサービスを利用しようとしていました。その時コロナ禍に入り、学校は一斉休校、私の学食事業部はずっと閉鎖になってしまって、中学校給食、幼稚園給食もお休み、法人もほぼなくなってしまいました。全く仕事がない状態です。と同時に、Alwaysのサービスも残念ながら、コロナ禍の影響もあり、厳しくなってしまった。
仕事がなくなってしまって、事業縮小するという可能性のことばかりを当時はみんな考えていたのですが、ここを超えて市場を作るという発想を考えられるのは、第三極の僕だけだよなと思って、色んな勉強をしました。
その頃から、イジゲングループが運営しているAlwaysのようなアプリを自分たちのお弁当のサブスクリプションのような形でできないか、それで学校で学生が使うアプリとして使用できないかと考え、企画提案書を作りました。これがペコフリーの原型です。そこで、イジゲングループに相談に行きました。相談に行ったタイミングで、イジゲングループに参画していたのが鍋島さんなんですよ。彼の最初の仕事が僕なんです。

(※1)サブスクサービス「Always」:登録されている飲食店が月額定額で利用出来るサブスクサービス

中小企業の取締役としてではなく、個人としてスタートアップに挑戦したい

その時に、仰ったようにイジゲングループは地方をDXするという事業をしているので、新規事業を一緒に考えませんかと提案いただきました。当時はペコフリーとは違うような発想も色々出してもらっていましたね。

当時はまだ僕は給食会社の取締役として相談に行っていましたが、話していくうちに、僕個人として、こうしていきたい、こういった形で社会課題解決したいんだという気持ちが強くなっていった。やるからにはリスクがある分、自分自身で一度チャレンジしたいし、トライアンドエラーでも、スタートアップだったら挑戦できそうですよね。
その想いを相談していたら、給食×ITという切り口でジョイントベンチャーを立ち上げませんか?という話になりました。
足りない部分のリソースはお互いがトライアングルの形でやっていきましょうという形を言ってもらえて、そこからは決断は早かったです。

FVC)
前職の代表やメンバーからの理解は得られたのでしょうか?

川浪代表)
正直難しい状況ではありますよね。やはりこういった新規の事業の話も僕からの提案でしたし、冒頭話していた通り歴史のある産業で会社自体も歴史のある会社で、こういった新しい取り組みをしたいと思っても社内ですぐに実現するのは容易ではないですし、かといって新しく会社を始めるというのも、彼らからすると受入れ難い部分があることはもちろん理解できます。

ただ、最終的には前職の代表方々も、育ての親でもあるので、
「もう今しかないと思うし、挑戦した方がいいと思う。これからどんどん少子化も進む。この給食産業が目減りしていく中で、産業給食を盛り立てるその未来を作るためにその突破口を切り開いていくのが川浪君だったらすごく嬉しい
と大きな後押しをしてくれ、その時に所属していたメンバーも応援してくれました。

僕は、自分の会社だけが収益が上がればいいという発想ではなくて、僕たちが働いているこの産業の活性化をしていきたいと思っていたので、その想いを理解し、応援してくれたのはありがたかったです。

PECOFREEの事業について

FVC)
ありがとうございます。ここから会社ができて事業が拡大し、今回資金調達に至るんですね。

 
ここから、ペコフリーの事業のお話を伺いたいと思うのですが、「PECOFREE」というサービスが出来上がるまでの苦労した点を教えていただけますか?
 
川浪代表)
そうですね。一番苦労したところでいうと、やっぱり食のソリューションやインフラをつくっていく部分かなと思います。新しいことを始めていくということは、学校や教育機関も変わっていただかないといけないところもあるので、その理解を得ていく部分は一番大変だったと思います。どの業界もそうだと思いますが、やはり新しいことを始める際のロビー活動の部分は、苦労した点ですね。

「前例がない」厳しい現実:100校中99校不検討

実証実験ではないですが、「PECOFREE」というサービスを考えていて、是非学校でさせてもらえませんか?というのをまずは福岡県で、約100校程一人で営業しました。でも、もちろんですがどの学校も首を縦に振ることはなかったんですよね。

そして断られる理由の90%以上が、前例、他の事例がないからなんです。
産業給食の世界も歴史ある伝統産業ですが、教育機関も前例主義でもあり行政や自治体のような保守的な機関でもあるので仕方のない部分だと思います。
みなさん興味はあるけど、前例がないので難しい。
ただ、99校断られていた中で、1校だけ、ファーストペンギンになってくださった校長先生がいて、第1校目を決めることができました。 

FVC)
その決まった第1校目は、御社のどういうところを評価して、実際やってみようかという話になったのですか?

 
川浪代表)
僕がこの事業を始めようとした大きな要因の一つに、コロナ禍になったことがあります。このことによって学校現場では、ICT教育が盛んになって、学校にwi-fiが繋がりタブレットを導入する動きが加速した。エドテックのような分野も追い風になったところがあると思います。
その中でアプリケーションでモバイルオーダーというのを絶対できるようになるだろうというのは想定していたので、需要としては必ずあると思っていた。

「日本で一番スクールバックの軽い学校」を目指す方針に合致

その1校目に決めてくださった学校は、日本で一番スクールバックの軽い学校を作ろうという方針を掲げていて、教材はICT教育だから教科書やノートをなくしてタブレットとペン、これだけで済むようにすると仰っていた。
そういう方針を掲げているのだから、お弁当もなくすべきだねという話をしてくださいました。究極な話、お弁当もなくして水筒もなくなったら本当にタブレットだけになる。
現代社会は、共働きが増えているし、手作りのお弁当を作るのが大変なのも目に見えてわかっている。じゃあそれを変えるために、うちの学校が一番最初にやるってすごくいいじゃないかといってくださった。
そういったご縁で、1校目が決まり、すごくありがたかったですし、その先進的な取り組みという部分を後押ししてもらえたのが、継続的な成長に繋がったと思っています。
 
FVC)
すごくチャレンジ精神を持たれている校長先生がいらっしゃったんですね。見ている方向性というのが近かったからこそということもあるのでしょうか。

 
川浪代表)
そうですね。学校一つ一つに特色がありますが、どこを向いているのかがすごく重要だと思っています。それは本来やはり生徒であって、またその保護者に向けられているべきだと思います。そこにしっかり目が向いていると、生徒が困っている部分であったり、保護者が助かるだろうというのを考えてくれる。
そういった学校ほど、やっぱりより豊かだったりとか、人気な学校だったりしますよね。
今我々の導入先は、高校でいうと約160校ありますが、どの学校も他人事ではなく、学生のことや、保護者のことを考えている学校がすごく多いです。この3年間で僕も大変勉強になっています。

三方よしのサービス展開

FVC)
ペコフリーのサービスは一見すると、シンプルなサービスでありながら、その裏では川浪代表の経験やたくさんの方からもらったフィードバックというのが、しっかりと反映された、すごく計算されたサービスだなと思っています。

サービス作りの中で意識されていること、特に「PECOFREE」のユーザーである学生、保護者、あるいは弁当事業者、配給事業者、学校それぞれにとって良いサービスだと思ってもらうための取り組みや、こだわりがあればぜひ教えてください。

川浪代表)
そうですね。僕たちは、しっかり三方よしという形を心がけてサービス展開を行っています。

『三方よし』のサービス

この三方というのは、ユーザーである生徒・保護者と、学校とサプライヤーです。

①ユーザー=生徒・保護者
ユーザーである生徒にはやっぱり美味しい、楽しい食事という部分と、学校の中で手軽に食べられる、というところを提供します。
保護者の方たちには、今共働き世帯が多い中で、お弁当という負担が軽減できるということはもちろんですが、子供たちへの健康管理・栄養管理という部分も必要であると思うので、そこも僕たちが肩代わりができるよう、そういった商品を提供するといったところを心がけています。

②学校・教育機関
次に、学校にとってはその学校の魅力の最大化という部分を引き出せる一助になりたいなと考えています。昨今少子化も叫ばれている中で、学校の存続や維持も厳しい状況になってきています。
まず最初に食のインフラを整備できること、全校生徒に健康的な食事が行き渡るといった形が取れることで、学校の魅力にも繋げられるようにしたい。
そのため、我々はもっと学校全体を巻き込んで、例えば生徒会を巻き込んだり、学生手腕でそういったお弁当の部分を考えてみたり、食育の授業をやったりというような取組を作っていきたいとも思っています。
そうすることによって、学校にとっても一つの授業になったり、企業との連携が取れていくことによって、最近活発化している学校と企業のコラボ商品というような、そういった魅力度の最大化といったことを学校でやっていきたいなと思っています。
このような取組みに関しては今少しずつ始めてはいるので、どんどん広げていきたい。これが三方よしを目指すため、学校に向けて考えていることです。

③サプライヤー=給食会社・お弁当事業者
そして、サプライヤーというのは、給食会社やお弁当事業者です。コンビニといった業態が台頭し始めたことによって、オフィスランチなどの部分が少しずつ減っていっていたり、少子高齢化という流れの中で、給食という部分も少しずつ目減りしている。そこで、私たちは、新しい未開拓市場として高校給食という市場や学童の食事などを作ることによって、収益の最大化をサポートするということを考えています。

DX=効率化して活人化すること」

ここで最初の中小企業のDXという話につながるのですが、僕たちは今給食DXという形でやっていますが、なかなかこの産業でいうと業界的にもITを取り入れにくかった業界なんですよね。

元々僕もその産業にいたので、DXで効率化をどんどん加速していきたい。そしてここで勘違いしてほしくないのが、僕は、この業界やその中で頑張る給食会社をITで効率化して、活人化したくてやっています。人を減らしましょうとか、削減化しましょうっていう考え方は絶対にない。
活人化というのは、例えばDXによって業務が効率化するとして、その担当だった人の業務が減ったとする。するとこの業界でいうと、本来の業務であるはずのお弁当作りの部分に考える時間が取れますよねと思うんです。産業給食の業界って、本来本当にしたいことはより良い商品をつくって喜んでもらいたいというのが発想なはずなんです。
なのに、今どの産業でも効率化というとすぐ経費削減とか○○時間の削減、働き方改革みたいなこと言っていますよね。
それは僕からすると本末転倒だと思っています。DXは本来、効率化して考える時間を増やして、その働いてる会社をより良くするための時間をちょっと作りましょう。そのためにITのシステムやアプリでそれを解決しますというものだと思います。
それをサプライヤーである給食会社やお弁当事業者に提供していく。
僕は前職の給食会社を離れてしまいましたけど、この事業を通じて、前職含めこの業界に貢献できると思っていて、さらに中小企業のDXの一助になると考えています。
この三方良しで「PECOFREE」が喜ばれるサービスになるのかなと僕は考えています。

今後の事業拡大について

FVC)
今回の資金調達を経て、さらに事業を拡大していかれると思いますが、今思っていることをお聞かせください。

川浪代表)
そうですね。僕たちはものすごく恵まれてると思います。
僕の周りのスタートアップでも目標調達額に及ばずに資金調達をクローズしてしまったスタートアップもすごく多いです。その中で、僕たちはありがたいことに協力をお願いしたかったVCからの応援を得ることができた。とても恵まれている環境に置いていただいてるし、こうやってVCさんの協力があって、ペコフリーは伸びていくんだなと思うと本当に感謝でしかないですね。

地元大分県を盛り上げていきたい
 
僕は元々の生まれは大分県なので、地元の大分県をどんどん盛り上げていける存在になりたいと思っています。今回豊和銀行、大分銀行との繋がりができたことで、大分県庁からも声をかけていただけたり、大分県の方たちとの交流がとても増えました。また、初の大分県での高校の導入も進めることができています。
今回の資金調達を経て繋がることのできた地域に根差したネットワークを大事にし、日本全国の地域に、僕たちのこのサービスをもっと広げていきたいなと思っています。

全47都道府県に「PECOFREE」導入を目指す

現在僕たちのサービスは31都道府県に導入が進んでいます。まずは主要都市エリアを中心として戦略的に広げていこうとは思っていますが、必ず、近いうちに47都道府県全てに「PECOFREE」導入を目指し、そこに課題を抱えている学校や、ユーザーである生徒・保護者の方々のところに、いち早くこのサービスを届けることができるよう僕たちは努力して頑張っていきたいと思っています。ありがとうございます。

FVC)
貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。

FVC投資担当者コメント

同社の「PECOFREE」は学校・学生・保護者・産業給食業者それぞれの課題を的確に捉えて設計された、今の時代に必要なサービスです。質の高いサービスが提供出来ているのは当然のことながら、代表者である川浪氏の気さくな人柄と、強い信念を持ち熱量高く課題解決に取組む姿勢が共感を呼び、周囲を巻き込みながらここまで規模を拡大してきたのだと、今回のインタビューを通して改めて感じました。
川浪氏が率いる同社だからこそ実現できる事業だと考えております。
現在投資させて頂いている大分県のほうわ創業・事業承継支援ファンドをはじめ、FVCでは様々な地域で地方創生ファンドを運営しています。地域の活性化に繋がる事業だと考えておりますので、FVCとしても精一杯ご支援させて頂きます!

ほうわ創業・事業承継支援ファンドについて

ほうわ創業・事業承継支援ファンドは、大分県の地域活性化を目的とし、地域金融機関である豊和銀行と共に設立した、九州地域で初の地方創生ファンドです。2020 年の設立以降 4 年間で12社に対する新規投資を実行、モニタリング支援を行っています。豊和銀行の支援専門部署であるソリュ ーション支援部を中心とし、ファンドの連携機関である大分県産業創造機構(おおいたスタートアップセンター)や日本政策金融公庫と共に取り組みを推進しています。
2024年3月、これまでの順調な取り組みを更に加速させ、大分県で活躍するスタートアップ支援をより拡大するため、ファンド総額を増額し、ファンド期間延長を行いました。