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ジョニデとアンジェリナのカプ厨が撮った中2映画じゃなかった

ぼくは映画ツーリストを見る前に、配役すんご♡と思ってしまいました。ヘッダ画像をお借りしています。

それはアンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップが主役だから。しかも2010年に撮られたとあれば、なんつーかブランディングの極みみてーな映画やな……ぼくみたいな映画初心者ほいほいやんけ、みたいな印象を受けてしまった。

つまりビッグネームといいますか……見た目のいい俳優を使うことで、男女問わず映画の入場券を買わせる。集客するための映画じゃねーかみたいな、おおよそ失礼な言い分です。

しかもエンディングテーマを唄ってる声に聞き覚えがあり、ものすげー倍速で見てたんですけどこいつらMuseじゃねーのと思ったらまんまと当たってしまった。Museあんま聴いたことなかったんすけど

ここまで来たら、俳優の見た目・華やかさで客引いて水の都ヴィネツィアでスパイ風恋愛ラブロマンスで頭痛が痛くなり、サブカル野郎も満足な現代UKロックの代名詞Museでぼくみたいな知ったか野郎も恐れおののく。

ここまで来たら(本日ぶり2回目)、もうこんなの『金だけ持ってる豪族の中二病サブカルドラ息子が親の権力なり遺産にものを言わせて造った、ジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーが見目麗しい町のど真ん中を追いかけっ子して、あんあんうふふ言い合うなろう系転生こばなしとかも裸足で逃げ出す成金映画』でしかないんじゃないか、と思ってしまうわけです。

この屈折した感想を抱くためには、その裏付けとなる背景も必要だ。脚本が至って普通だった。

犯罪者がいる→犯罪者と密通する女がいる→女が警察とマフィアに追いかけられる→女が変な男と知り合ったから男が怪しい→男は別に怪しくなかった→女は意外な立場にいたらしい→女はまた犯罪者と密通する→全員がその現場を抑えようとする→マフィア壊滅→犯罪者が見つかるけどお咎めなし

これ全部(女の正体以外)その……凡人でも想像できちゃう結果がそのまま提示される感じなんです。スピッツのシングルのB面に恋する凡人という歌がありますがA面にすべきいい歌で勿体ないと思う。

俳優が稀代の熟練者で金がかかる、ロケ地が一等地で金かかる、ロケ地の面積が広くて美品も壊れまくるし金かかる、Museに歌わせて金かかる、話の中身が平凡、なんらかの陰謀すら感じてしまいそうだ。

だけどちょっと調べたら、ツーリストの企画が持ち上がってから主演がやめるわ監督まで消えるわとんでもないことになっていたらしい。

これを考えると「中2が撮った平均的映画」という感想が得られただけまだマシだったことがわかる。ミステリーだかサスペンスなのに、ゴールデングローブ賞でコメディにエントリさせられたのはもうなんかアメ公のHigh Schoolなんかでありそうなカースト制度風いじめを感じさせる。

この映画って最後がどんでん返しみたいに言われることがあるみたいなんだけど……想像通りなものについてどんでん返しということがぼくにはできなかった。

確かに、アレクサンダー・ピアース自身も純粋にかつては敵だった恋人のことをずっと一途に思っていて、折角の機会だからとその愛情の深さを試したくなった。そしてこの映画で大半がそう割かれたようにこのシナリオを思いつき、やった。したらその愛は割と本物っぽかった……みたいに、日本のくそバラエティにありそうな女が男が現在の相手の気持ちを確かめるために別の顔立ちが整った人間をぶつけてやらせようとする、みたいな無礼かつ非道かつ失礼極まりない動機みたいに見えないこともない……けど、もしガチでそうなんだったら余計観客が冷めそうな気もするわけで………ぼくは一生懸命ツーリストを褒めようとしているんだけど、やろうと思えば思うほどだめになる。

そういう面白い経験がこの映画ではできる。でももちろんコメディではない。

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