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北乃利人
2021年9月24日 21:48
この時期おれは、ちょっとしたセンチメンタルなジャーニーを密かに楽しんだりしている。それというのも、お手軽な方法があるのだ。センチメンタルジャーニーといっても、なにも雨の中を駆け出すような恋に破れたわけではない。そう、ジャーニーといっても、つかの間のセンチメンタルタイムのことをそう呼んでいるのだ。いや、タイムって何のことだ。それは、ふとした瞬間の胸を締めつける甘酸っぱい一瞬のことだ。
2021年7月5日 22:06
電車待ちのホーム。今日は、晴天なれど思いのほか風が強い。着ているシャツが、パタパタとはためく。バタバタといってもいいくらいだ。電車到着までは、まだ時間があるようだ。そこでおれは、目をつむり思考を飛ばしてみる。目の前に広がるのは、広大な海だ。ここは日本海か。海風が容赦なくおれを洗う。あいにくの曇空。じきに一雨くるだろう。人影も無く、猫の子一匹見当たらない。ただただ、白浪
2019年6月29日 15:47
「雨が降ってるのか…」目覚めた時、なんとなくすぐに分かった。だってかすかに、アスファルトが濡れている音が遠くで聞こえているから。「朝から雨か」今日が休日で良かった。これが平日、これから仕事といった朝なら、きっとげんなりしたはずだ。雨の日は、煩わしいことがやたら増える。着て行く服になやみ。履いて行く靴を気にかけ。なにより、傘というまあまあの荷物が一つ増えるから。「けっこう降