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殺戮の狂詩曲/中山七里(2023/03/29)【読書ノート】

【偽善という言葉から、これほど遠い小説はない】
高級老人ホームで発生した、令和最悪の凶悪殺人事件。好人物を装っていた介護職員の心中に渦巻く邪悪。最低な被疑者への弁護を名乗り出た悪評塗れの弁護士・御子柴礼司が、胸に秘める驚愕の企みとは?
ミステリーという技法を用いることによってのみ可能な、命あるものへの賛歌である。―杉江松恋(文芸評論家)
ドラマ「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲」原作「御子柴弁護士」シリーズ、第6弾。

あらすじ(ネタバレあり)

本作は2016年に起こった「相模原障害者施設殺傷事件」を連想させる。被害者人数や実際の事件の酷さ、夜間の侵入、結束バンドでの拘束、柳刃包丁を使った犯行、優生思想に基づく動機、被害者実名報道の論争など、事件の詳細が作品に色濃く反映されている。
物語では犯人・忍野忠泰の視点での殺害が70ページにわたって描かれ、その描写の連続が読者を疲れさせる。主人公御子柴の登場までが長く、彼のキャラクターがこのシリーズの魅力であるにも関わらず、その部分にページが割かれていない。
物語が進むと、御子柴がなぜこの事件に関わったのかが疑問視され、弁護士やヤクザ、事務員などから追及される。被害者遺族の訪問や裁判所での意見陳述が繰り返され、物語は単調に感じられるが、御子柴の行動とどんでん返しによって物語は結末を迎える。シリーズが持つ「贖罪」のテーマは今作でも変わらず描かれており、それが新鮮な切り口を提供している。



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