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リピート(2004/10/23)/乾くるみ【読書ノート】

もし、現在の記憶を持ったまま十ヵ月前の自分に戻れるとしたら?ある日突然の電話で持ちかけられた、夢のような「リピート」の誘いに乗って、疑いつつも人生のやり直しに臨んだ十人の男女。ところが彼らは一人、また一人と不審な死を遂げて……。なぜ、犯人は「リピート」した者を狙うのか? 犯人は十人の中にいるのか? あの『イニシエーション・ラブ』の鬼才が、『リプレイ』+『そして誰もいなくなった』に挑んだ仰天の傑作。驚愕のラストは絶対に見逃せない!

登場人物

  • 風間(かざま):リピートの主催者。ヘリコプターの操縦士。小柄だががっしりとした体格。

  • 毛利 圭介(もうり けいすけ):大学4年生。3月に彼女の由子と別れた。

  • 篠崎 鮎美(しのざき あゆみ):23歳。小柄で清楚な女性会社員。

  • 天童 太郎(てんどう たろう):20代。シナリオライター。株式会社天童企画の代表。長身で全身黒スーツ。

  • 池田 信高(いけだ のぶたか):30代。ゴルフのレッスンプロ。体格のいいスポーツマンタイプ。

  • 大森 雅志(おおもり まさし):ガリガリの食品科学会社の研究者。

  • 郷原 俊樹(ごうはら としき):60代。上場企業社長。

  • 横沢 洋(よこさわ ひろし):40代。小太りな会社員。

  • 坪井 要(つぼい かなめ):小柄で金髪の受験に失敗した浪人生。

  • 高橋 和彦(たかはし かずひこ):20代。ヤンキー風のトラックの運転手。

  • 町田 由子(まちだ ゆうこ):圭介の元彼女。ワガママな性格で、3月にこっぴどく圭介を振った。

ヨビノリたくみ先生:怪しい「過去への時間旅行」の誘いにあなたなら乗る?乗らない?


『リピート』というタイトルから、時間を戻す系のミステリーだと直感できます。時間を戻せるとしたら、過去に戻りたい瞬間はありますか?そんな想像を掻き立てる作品です。
物語の主人公は毛利という男性です。ある日、風間と名乗る人物から衝撃の電話がかかってきます。「1時間後に地震が起こる」という予言が、実際に起こります。風間は自分が「リピート」という現象を経験していると説明します。そして、毛利を含む10人の「リピーター」が集められ、10ヶ月前に一斉に時間を戻します。しかし、この時間旅行は予想外の結果を招きます。次々とリピーターが亡くなっていく中、毛利たちは真相を追求します。
本作の最大の特徴は、複数人による「リピート」です。一般的なタイムトラベルものでは、主に1人か2人が時間を移動しますが、この作品では10人が同時に時間を戻します。この大胆な設定を乾くるみさんは見事に構築し、物語を成立させています。
この物語のもう一つの特徴は、登場人物に対する感情です。多くの物語では、読者は主人公や他のキャラクターに感情移入し、応援したくなります。しかし、『リピート』では、登場人物たちに対して必ずしも好感を持てるわけではありません。それが、このミステリーをよりユニークなものにしています。
『リピート』は、時間を戻すという設定を複数人で体験するというユニークなアプローチを取り入れた作品です。読み進める中で、登場人物たちに対する複雑な感情を抱くことになるでしょう。異色のミステリーに興味がある方は、ぜひ読んでみてください。そして、内容が気になった方は、この動画をリピートしてみるのも良いでしょう。


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