家族のルール
スマホお持ちですか?
日本の普及率は9割だそうです。
そして、マイナンバーカードは7割。
人というものは、
便利さとお金には勝てないようです。
現代はとても便利な世の中になりました。
便利だから幸せかと問われると、
どうなんでしょう?
昭和レトロというのが、
流行ってると小耳に挟みましたが、
現代人に昭和はどう映ってるんでしょう。
スマホがない時代…
一家にテレビが一台しかない時代。
考えられますか?
レコーダーなどない時代は、
見たい番組があっても、
裏番組が見たいという人がいれば、
チャンネル争いという、
家庭内戦争になったそうです。
そしてその戦いに敗れた者は、
二度とその番組を見ることができない。
考えられます?
次の回を見たら、
主人公死んじゃってたとかあったら、
トラウマものでしょ?
昔はTVerなどありませんから。
この争いはほぼ家主である、
父親が勝つことが多かったそうです。
昔の子供はどうしてたんでしょうね?
今のように父親ウザい!とか、
ネットに書き込めませんからね。
よく聞くお話だと、
雨が降れば子供が喜んだらしいです。
父親が好きな野球中継が、
中止になるからだそうで。
ドーム球場も当時はありませんから。
だから昔の子は、
学校帰りに雨乞いの祈祷を、
したとかしないとか…。
人気番組となれば、
子供にとっては死活問題だったそうです。
なぜなら、クラスの話題に、
乗り遅れてしまうから。
だから昔の子供は、
テレビを見るのに必死だったとか。
家によっては食事中のテレビも、
禁止の家もあったらしく、
子供がテレビを見るのが、
とても困難な時代…それが昭和です。
「父ちゃん。
テレビ点けていい?」
「ダメだ…まだ食事中だ」
「僕、もうすぐ食べ終わるよ」
「まだ、みんな終わってないだろ。
それまで我慢しなさい」
「そんなことしてたら、
最初から見れなくなっちゃうよ~!」
「ダメって言ったらダメだ。
ご飯が終わってからにしな!」
「…わかったよ」
「ご飯を食べられるってのは、
ありがたいことなんだぞ。
テレビ見ながら食べるなんて、
バチが当たるぞ」
「ごちそうさま。
テレビ点けていい?」
「ちょ、ちょっと待て。
もう食べ終わったのか?
早いな…でもダメだ。
みんな食べ終わるまで待ちなさい」
「え~。
みんな待ってたら番組終わっちゃうよ」
「それがうちのルールだ。
家のルールというのは、
みんなで守るものなんだ。
お前が守るということは父ちゃんも…
おい!俺のおかずを食うな!
ああ~それは俺のとっておきの~!」
「ふぁって遅ひんだもお。
今日は野球中止でしょ?
これ見ないと、
クラスで仲間外れになっちゃう」
「同じものを見ないと友達じゃないって、
それは友達じゃないだろ」
「父ちゃん。
今はそれを友達って言うんだよ」
「ウソだろ?!
母さん……えっ!ほんとに?
そうなの?世の中変わったなあ。
でもな…ルールはルール。
ご飯食べ終わるまで待ちな!
それが嫌ならよその家の子になりな」
「父ちゃんのイジワル!
ハゲ親父!
もういいよ。ふん!」
そう言うと子供は二階へ、
タッタタタっと駆け上がり、
自分の部屋へ行ってしまいました。
「ふう。
なんで子供は聞き分けが悪いのかね。
俺が子供の頃はもうちょっと、
親の言うこと聞いてたけどな」
そして翌日の夕飯時。
「今日はハンバーグか。
美味そうだな。
あれ?あいつどこいった?
え?隣の友達の家?
どうして?
テレビを、見せにもらいに?
あいつ本気で、
よその子になろうとしてるじゃねえか!」
すると小一時間ほどで、
嬉しそうに子供が帰ってきました。
「ただいま~」
「あっ!帰ってきたな。
おい!
人様の家でご飯食べた上に、
テレビ見てくるとはどういうことだ?!
晩ご飯は家族みんな揃って、
食べるってのが決まりだろ!」
「だってここじゃあ、
食事中にテレビ見れないもん。
友達の家はみんなでテレビを見ながら、
楽しくご飯を食べてたよ」
「よその家はよその家だ。
それにあっちの家にも迷惑だろうが。
ご飯までご馳走になって」
「そんなことないよ。
だって僕、弁当持って行ったから」
「弁当?お前が?」
「母ちゃんが作ってくれた」
「おい!何で弁当持たせた!?
俺には作ってくれたことないのに…
ん…んん…まあその話はいいか…。
あっちの家も迷惑だろうが」
「友達のお母さん、
いいよって言ってくれたよ」
「だからってお前、夕飯時に行くか?
世間体ってもんがあるだろ」
「世間体って何?
子供だからわかんない」
「世間体ってのはあれだ…
人様の目ってやつだ」
「人の目を気にしないといけないの?
家の中なのに?」
「そうではないけど・・・なあ」
「みんなテレビ見て笑ったり、
たくさんおしゃべりしてるんだよ。
うちみたいに…
課長がああだ…
係長はこうだ…なんて言わないよ」
「お前、父ちゃんをバカにしてるのか!」
「フンだっ!
父ちゃんの考えは古いんだよ!
お隣と養子縁組しないだけ、
ありがたいと思ってよね。フン!」
「おい!待て!
まだ話は終わってねえぞ!
…あいつ、いつの間に…
養子縁組なんて言葉覚えやがって。
しかも口ばっかり達者になって、
誰に似たんだか…。
・・・でも、ルールはルール!
ビシッと言っておかないとな。
親の威厳ってもんがあるからな!
よし!
明日、俺がお隣さんとこ行って、
ビシッと言ってやるよ!」
そして次の日の夕時。
「ただいま。
あれ?あいつは?
もう隣に行ったのか。
鉄砲玉みてえな奴だな。
母さん、俺もお隣行ってくるよ」
ピンポーン。
「こんばんは。
どうもどうも。
息子がいつもお世話になって…。
いますか?
じゃあ…
ちょっとお邪魔させてもらって…」
「あっ、父ちゃん」
「あっ、父ちゃんじゃないぞ!
すっかりお隣さんに馴染みやがって。
一緒にご飯?
いえいえ、大丈夫です。
家に帰ればありますから」
「父ちゃんダメだよ」
「何が?」
「いま僕、食事中で、
楽しい時間なんだから。
父ちゃんは話しかけちゃダメだよ」
「何でだよ」
「その家に行けば、
その家のルールに従わないと、
ダメでしょ」
「また上手いこと考えたな…。
まあ…確かにそうだな。
わかった…さっさとご飯食え」
仕方なく子供が食べ終わるまで、
一緒にテレビを見ることに。
「父ちゃん、ちょっと。
父ちゃんがそこにいると、
テレビが見にくいんだけど」
「うるせえなあ…
あれ?この俳優懐かしいなあ」
「…父ちゃんテレビ見えないよ」
「ダハハハハ!
ん?黙ってろ!
今、いいとこなんだよ!
ブワッハハハハハ!!」
「ほんと父ちゃん、何しに来たの?」
ピンポーン。
……。
「私に?弁当?
うちのが?
そうですか。
じゃあ、せっかくですから、
ここで息子と一緒に頂こうかな?
いいですねえ~
テレビを囲む食卓ってのも。
おい、明日も一緒にお邪魔するか?」
「父ちゃん…
ほんとに何しに来たの?」
お疲れ様でした。