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怪談

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これが何になるかより、ただアウトプットしたくて始めた実話怪談。
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2022年4月の記事一覧

怪談07  狸

怪談07 狸

あれは、少し前のこと。

絵の題材のため、私は、訪ねたことがある土地の不思議な歴史を調べ直していました。特に憑き物についての話題が目に付きましたので、生き物についての言われや伝承について掘り下げていこうとしていました。

その中で、急に食欲が増した期間があったのです。

普段も食べることが好きなタイプですが、明らかに自分でも無茶とわかるぐらいで。1日に6食ほど食べる日が、数日続きました。

体はパ

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怪談06  母

怪談06 母

母は、六感がある人でした。

平成も初めの頃。当時はまだ携帯電話もなく、ディスプレイ付きの電話が出たか出ないか…ぐらいの時だったと思います。

我が家にもディスプレイ付きの電話がやってきて、近しい親族から電話がかかってくると、登録した番号が表示されるように設定していたのですが

ある日、プルルル!と電話が鳴ると、表示された名前を見る前に「多分、○○のおばちゃんからやわ。キエゾー、私用事してるからち

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怪談05  テレビ

怪談05 テレビ

今回は、短めのお話を一つ。

これは、私が小さい頃のお話です。

夜中に喉が渇き、布団から起き出したときのこと。

冷蔵庫で冷えていたお茶を入れて、豆球がついた部屋で飲んでいました。

その部屋には、当時まだブラウン管だったテレビが置いてあり、電源のついていない画面には、襖を開けた隣の部屋が写っていました。

人が眠っていない部屋だったので、そちらの電球は点けていなかったのですが、なんとなくこちら

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怪談04  写真と情

怪談04 写真と情

今日のお話は、知人のOさんの体験談を、表現含めて許可を得て書いています。

彼女は現在、会社にお勤めされているのですが、10年ほど前・当時のOさんはフリーランスでデザイン関係のお仕事をしていました。

最初は四苦八苦しながらも、いろんな方の紹介や、直接営業をかけていくなかで、一人分は食べて行ける状況にはなっていたそうです。

そのお客様の中に、彼女が独立してから数年に渡って、依頼をくださっている女

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怪談03 山

今から数年前のこと。

空気も冷たくなった、秋の暮れ。

巨石と自然信仰のことを調べていた私は、その日、一本の老木を山で探していました。

そこは古くからの歴史がある場所で、樹齢数百年から千年の木々が祀られている場所。探していたのは、その中の一本でした。

麓から車で1時間以上山を登る場所にあり、ガードレールはあるものの、建物のほとんどは空き家。ぽつりぽつりと民家や商店が並んでいて、寂れてはいるけ

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怪談02 幼い頃、その2

怪談02 幼い頃、その2

私が住んでいたのは、小さな家がポツポツと集まった場所でした。周りを低い塀に囲まれ、裏には物置。家の壁と塀の間には、人が一人通れるほどの隙間があり、よくそこで近所の子供たちと鬼ごっこをしていました。

これは、小学校低学年のときのお話。

その頃、親は仕事で夜遅くに帰ってくることが多く、歳の離れた兄弟も家を出ていたため、私は家で一人眠るようになっていました。

近所に住む祖母が眠る時まで居てくれるこ

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怪談01 幼い頃の話

幼い頃、不思議なことをよく体験する子供でした。

近くにあった鉄塔が、カッチッコッチッとメトロノームのように揺れる夢を見たり。おーい…という呼び声がするので外を覗くと、誰もいなかったり。

あーん、あーんと泣いている自分をベッドの上から見ていて、気がつくと同じようにベッド泣いている自分のところに母親が駆けつけてくるところだったとか。

そんなことが、ちらりほらりとある子供でした。

ある日のこと。

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