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怪談02 幼い頃、その2
私が住んでいたのは、小さな家がポツポツと集まった場所でした。周りを低い塀に囲まれ、裏には物置。家の壁と塀の間には、人が一人通れるほどの隙間があり、よくそこで近所の子供たちと鬼ごっこをしていました。
これは、小学校低学年のときのお話。
その頃、親は仕事で夜遅くに帰ってくることが多く、歳の離れた兄弟も家を出ていたため、私は家で一人眠るようになっていました。
近所に住む祖母が眠る時まで居てくれることもあったのですが、好きなドラマがかかる日は「今日は一人で寝ぇよ」と帰っていく人で
その夜も、誰も居なくなった台所から、玄関を出て鍵をかけ帰っていく祖母を見送り、渋々布団に入っていたことを覚えています。
いつものように電気を消して、辺りもシーンと静まり返ったころでした。
布団の中で、もう眠れそうだと目を瞑っていたときになり、家の裏をザッザッザッと誰かが歩く音がします。
祖母が用事を思い出して、物置に何かを取りにきたのかと思ったのですが、足音はそのまま家の裏を通り抜けて消えていきます。
そのまま、祖母の声がすることもなく「知らん人が来たんかな、こわい」と思って、その日は布団を頭まで深く被って眠りました。
結局その夜は何事もなく、そのうちにそんなことは頭の奥に忘れていきました。
そのうち、私も大きくなり、遊びに泡立たしい日々を過ごしていくのですが
知人と怪談番組の話をしていたときに、ふとあの日のことを思い出したのです。
私の家は、最初に書いたとおり裏に物置があり、周りを人が一人通れる隙間があります。しかし、裏を通って物置を過ぎた先には壁があり、そのまま通り抜けることはできません。
もしも敷地に入りそこから出るなら、引き返すか、家の周りをぐるりと歩いて表に出なければいけません。壁を乗り越えるにしても、大人の肩より高い壁でしたので、物音を立てずに上り降りするのは難しいのです。
しかし、あの日聞いた足音は、家の裏をそのまままっすぐに進み、遠くへ消えて行ったのです。
果たして、あの足音は何だったのか…
今思い出しても、不思議な体験でした。
このお話は、ノンフィクションとフィクションの隙間で制作しています。非日常を感じるお楽しみとして、ご覧ください。
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