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怪談05 テレビ

今回は、短めのお話を一つ。

これは、私が小さい頃のお話です。

夜中に喉が渇き、布団から起き出したときのこと。

冷蔵庫で冷えていたお茶を入れて、豆球がついた部屋で飲んでいました。

その部屋には、当時まだブラウン管だったテレビが置いてあり、電源のついていない画面には、襖を開けた隣の部屋が写っていました。

人が眠っていない部屋だったので、そちらの電球は点けていなかったのですが、なんとなくこちらの部屋からの灯りが漏れて、画面越しでもぼんやりと見えるかな…という様子。

しばらくすると、テレビに映る隣の部屋に、フワリと光のようなものが浮かんでくるのが見え始めます。

はじめは見間違いかと思っていたのですが、それが少しずつ縦長く伸びていくことに気付きました。

え?と思い、振り返って直接その部屋を見るのですが、そこには何もありません。

更に、え??と思い、もう一度テレビに目をやると、その光が段々と頭が尖った人間の形に近づいているではありませんか。

急に気持ちがヒヤリとして、急いでコップも放ったらかしにしたまま、親の眠る布団に潜り込んで眠ったものの、未だにあれが何だったのかは分からないというお話です。


幼い頃の私は、ちびまるこちゃんに出てくるナガサワ君の頭を引き伸ばしたような姿に、あれは絶対に宇宙人だ!ストレッチマンだ!と思っていました。

大人になってからは、寝ぼけていたのでは?とも思うのですが

最近になり、都市ボーイズの早瀬さんが「山の中で段々と人型になった煙に追われた話」をしているのを見て、あれはお化けでもあったのかもな…とぼんやり余白を作って受け止めるようにしています。



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