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怪談

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これが何になるかより、ただアウトプットしたくて始めた実話怪談。
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怪談:20 おまじないの人形

怪談:20 おまじないの人形

その昔。オカルトやスピリチュアルに興味のない知人が、幸運のおまじない人形の写真をSNSにあげているのを見つけました。

そもそも優等生であった彼女。精神的なことに一切興味はなく、学生時代は教師からの信頼も厚く、社会に出てからは地域の役員をするなど、与えられた仕事を律儀にこなしているような人でした。

また、子育てなど一切の苦にならない・子供を邪険にする人のことは理解しかねると言い、いわゆる潔癖なと

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怪談18:供養と夢の女の子

怪談18:供養と夢の女の子

今日は、少し不思議な夢のお話。

つい最近のことですが、憑き物について調べ物をするなか、ご先祖さまの供養をしようと思うようになりました。

きっかけは餓鬼。言葉としては知っていたけれど、実際に興味を持ってみると、餓鬼の中にも色々な種類があり、何故餓鬼になったのか・どのような苦しみを持っているのか・どのような食べ物ならば届くのかなど、それぞれのようで興味深い。

何故餓鬼になったのか?の理由がとても

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怪談17  石

怪談17 石

石が好きだ。世の中には色々な石との付き合い方があるけれど、地中から出た神秘の雫として鉱物が好きな人間として、あまり危険なものを除けるために使いたくはない。

けれど、時には起こることから守ってくれるチカラがあるもの…それもまた、真実だと思っている。

ある日のこと。その日は山の怪について調べていました。間で怪談を聞きつつ、日本の山々で起こる奇妙な出来事や事件に思いを馳せるなか

ふと、日本各地にい

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怪談14  死霊と子ダヌキ

怪談14 死霊と子ダヌキ

死霊に生霊、呪いにモノノケ。

怪談と言っても、色んなものに因んだ話があります。

私には、死霊の顔は見えません。生霊は、頭の中で感じたものがホログラムのような色で見えます。やたら神経が立ったような夜に、瞼を閉じて変な人形の顔が浮かんでは消えてを繰り返すようなときは、呪いの類だと思っていて。モノノケは…今のところ肉眼で遭遇したことはありません。

ただ一度、夜中に目が覚めたと思ったら、白黒の写真の

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怪談13 囲炉裏

怪談13 囲炉裏

その日は、知人に誘われて、あるアート系のイベントに参加していました。

ほんの少し山を登ったところ。いわゆる自然派嗜好の人たちの集まりで、大きな会場で火を焚き、最後にとある民族の儀式を模して、神に祈りを捧げるというものでした。

イベントと言っても、その地域の人や身内の人の手伝いも多く、やることもなかった私は、ただプラプラと参加者との会話を楽しみました。

そして、そろそろ陽が傾きだすかなという頃

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怪談12  海

怪談12 海

ある日の夕暮れ。友人と浜辺を歩いていました。

落ちている流木を拾ったり。鳥の羽を探したり。

少しずつ暗くなる浜辺で、のんびりと話をしながら過ごしていました。

夕日が段々と沈み、海の向こうに落ちていく。そして、プツッと小さな陽が姿を消した瞬間、海の向こうから何かがやってくるのを感じ始めます。

姿は見えません。波の音だけが当たりを包んでいます。しかし、真っ暗になりきる海の向こうから波の上を進み

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怪談11  島

怪談11 島

山を登っていました。

それは、徒歩30分ほどで登れる小さな山で、石英や長石の塊を探しながらシダ茂る道を歩いていました。

途中までは何とか普通に登れるものの、山頂付近になると途端に道はなくなり、張られたロープだけを頼りに落ち葉の滑る道をなんとか進むようなところでした。

山頂に着くと、そこには古いお城の跡と、小さなお社があります。手を合わせてふと横に目をやると、そこからは海と、海岸に続く茂った森

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怪談10  人神

怪談10 人神

優秀な行いをした人物を祀るため、または、怨みより祟りをなす人物を鎮めるため、神として信仰するようになったもの。これを人神(ひとがみ)と言う。

昔々、まだ20代だったころ。一人の女性がおりました。溌剌とした、私より一回りほど年上の方でした。

もともと不思議なものが好きな方で、初めはいろいろな神社を巡りながら御朱印を集めるのが趣味というほどの穏やかなものでしたが、ある時期を境に言動がおかしくなって

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怪談09  女子高生

怪談09 女子高生

ある日の夕方。

妊娠していた私は眠気に耐えられず、昼寝をしていました。主人が帰ってくる時間が近づき、そろそろ夕飯を作らなければと起きあがろうとしたときのこと。

ふとベッド横のドアに目をやると、一人の女の子が立っていました。

薄暗い部屋の中に、特徴的なリボンをした、ブレザー姿の女子高生。陰っているような、心ばかり透けたような色合いで、顔は見えない。

それまでも、気配を感じたり、頭の中の映像を

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怪談08  かんの虫

怪談08 かんの虫

昔々、まだテレビがブラウン管だった頃、樋屋奇応丸のCMが流れていた。

赤ちゃんの夜泣きや「かん=疳の虫」を穏やかにする玉薬だそうで、ひやひやっひやのひやーきおうがん♪というキャッチーなメロディーと共に紹介されていたのを今でも覚えている。

時が経ち、私が二十歳を超えたときだった。

若い親戚の女性と、そもそもあの疳の虫ってなんのことやろね?という話になった。なまじオカルト好きだった私は、中国の三

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怪談07  狸

怪談07 狸

あれは、少し前のこと。

絵の題材のため、私は、訪ねたことがある土地の不思議な歴史を調べ直していました。特に憑き物についての話題が目に付きましたので、生き物についての言われや伝承について掘り下げていこうとしていました。

その中で、急に食欲が増した期間があったのです。

普段も食べることが好きなタイプですが、明らかに自分でも無茶とわかるぐらいで。1日に6食ほど食べる日が、数日続きました。

体はパ

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怪談06  母

怪談06 母

母は、六感がある人でした。

平成も初めの頃。当時はまだ携帯電話もなく、ディスプレイ付きの電話が出たか出ないか…ぐらいの時だったと思います。

我が家にもディスプレイ付きの電話がやってきて、近しい親族から電話がかかってくると、登録した番号が表示されるように設定していたのですが

ある日、プルルル!と電話が鳴ると、表示された名前を見る前に「多分、○○のおばちゃんからやわ。キエゾー、私用事してるからち

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怪談05  テレビ

怪談05 テレビ

今回は、短めのお話を一つ。

これは、私が小さい頃のお話です。

夜中に喉が渇き、布団から起き出したときのこと。

冷蔵庫で冷えていたお茶を入れて、豆球がついた部屋で飲んでいました。

その部屋には、当時まだブラウン管だったテレビが置いてあり、電源のついていない画面には、襖を開けた隣の部屋が写っていました。

人が眠っていない部屋だったので、そちらの電球は点けていなかったのですが、なんとなくこちら

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怪談04  写真と情

怪談04 写真と情

今日のお話は、知人のOさんの体験談を、表現含めて許可を得て書いています。

彼女は現在、会社にお勤めされているのですが、10年ほど前・当時のOさんはフリーランスでデザイン関係のお仕事をしていました。

最初は四苦八苦しながらも、いろんな方の紹介や、直接営業をかけていくなかで、一人分は食べて行ける状況にはなっていたそうです。

そのお客様の中に、彼女が独立してから数年に渡って、依頼をくださっている女

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