見出し画像

〜第1章 営業成績がトップになっても、 なんで給料が上がらないんですか?〜▷商品の原価を知ってびっくり!

ーーーーーーー
この本を最初から読みたい方はこちら
【前回までのお話】
〜第1章 営業成績がトップになっても、なんで給料が上がらないんですか?〜
値引きをしたら、いきなり売れました
ーーーーーーー

▷▷原価って、そんなに安いんですか!


「おい、古屋! おまえ、いきなり2台売れたんだってな。すげーじゃん」

毎月10台以上の車を売っている、うちの営業所のトップセールスマンの黒木先輩が声をかけてくれました。
黒木先輩は、よく所長に怒られていました。「たくさん売っているのに、なんで怒られているんだろう?」と聞き耳を立てていると、どうやら値引きをしすぎて怒られているようです。
僕ら営業マンには、「○○は30万円まで」というような車種ごとの値引きの条件が 決まっていて、それを守って販売することが義務づけられていました。数字がのコピー-21

しかし以前、黒木先輩に飲みに誘われてついて行ったときに、こんなことを教てくれました。

「なあ、車の原価って知ってるか?」
「いえ、わからないです」 
「あのな。たとえば300万円の車だったら、だいたい20万~30万円が原価だ
よ」
「え!?そんなに安いんですか?」
「あぁ。だから、値引きなんてのはいくらでもできる。値引きを客は望んでいるし、値引きすれば車を買う。それが俺らの仕事だ」
「あ、はい。わかりました!」

300万円の車の原価が20万~30万円だとは驚きました。そして同時に、それを300万円で販売会社は売っているので、自動車メーカーはボッタクリだと思いました。

画像2


黒木先輩は続けて、言いました。

「この100円ライターの原価知ってるか?」
「え? このライターですか?」
「あぁ。このライター。原価は7円50銭だよ。でも俺たちは100円で買うよ
な? 世の中こんなもんだよ」

画像3

▷▷じゃあ原価が安いぶん、だれが儲けているのか ?


黒木先輩は遠くのほうをぼんやりと見つめながら、コップに残っていたビールを飲み干しました。僕があわてて先輩のグラスにビールを注ぐと、僕の顔を見てニヤリと笑いながら言いました。

「いいこと教えてやるよ。うちの会社ってな、3月になるとたっぷりと車を仕 入れるんだよ。なぜだかわかるか?」
「え! 車がたくさん売れる時期だからですか? 決算のときは売れるって聞 きました」
「バーカ、違うよ。売ってんのは俺たちなんだから、売れるんじゃなくて、売るの。死ぬほど車売るんだよ。で、なんで売らなきゃならないか、わかる か?」
「あ、いや、なんでですか?」
 「あのな。ある一定台数以上、車を仕入れると、メーカーから奨励金っていう金がな、販売店であるうちの会社にたっぷり振り込まれるしくみになってんだよ。年間で何台以上仕入れたらボーナスって感じでな。それを目当てにバカみたいな台数を仕入れるんだよ」

画像4

「それって、ふだんから、安く仕入れて、ボッタクリですごい儲かっているのに、さらに会社はメーカーからお金をたくさんもらえるって話ですか!?」
「そうだよ。会社は儲かるよな~。だからさ、少々、規定の値引き額をオーバ ーしたくらいじゃ、どーってことないんだよ。売ってくりゃいいの。俺らは」

そうか! これか!

トップセールスマンの黒木先輩が言うことなんだから、これは間違いない情報だと思いました。
会社は僕らを利用して儲けている。300万円の車を1台売っても、僕に入ってくる歩合は5000円程度。ってことは、社長や所長の懐に儲かったお金がジャブジャブと流れ込んでいるに違いない。
くそ! 社長や所長がうらやましい反面、憎くも思えてきました。
よし、ガンガン値引きして車を売ろう。それでお客様が喜ぶなら、そのほうがいいに決まっている。僕はそう確信しました。

画像5

ーーーーーーー
▼次回
第1章 営業成績がトップになっても、なんで給料が上がらないんですか?
待ちに待った「ボーナス」だけど、思っていた額と違う
ーーーーーーー

【この本のもくじ】

まえがき●2020/1/6配信●
第1章 営業成績がトップになっても、 なんで給料が上がらないんですか?
給料払ってんだから、もっと仕事しろよ ●2020/1/7配信●
研修中も給料をもらえるなんてラッキー! ●2020/1/8配信●
初任給をもらったけれど、いろいろ引かれて手元に残ったのは●2020/1/9配信●
値引きをしたら、いきなり売れました●2020/1/10配信●
▷商品の原価を知ってびっくり!●2020/1/13配信●
▷待ちに待った「ボーナス」だけど、思っていた額と違う
▷営業成績はトップなのに、なんで給料が上がらないんですか?
▷給料が安いので、辞めることにしました

第2章 売れば売るほど給料が もらえるなんて最高です!
▷偶然見つけた社員募集のチラシ
▷「歩合制」って最高!
▷がんばっても売れません ~会社のブランド力にはお金がかかっている~
▷何度目かのアポイントではじめての契約 ~会社は社員に先行投資をしている~
▷もっと給料を上げてもらうには、どうすればいいんですか?
▷会社に貢献したら、出世しました
▷「僕の稼ぎでみんなを養っているんだ」という錯覚 ~損益分岐点売上を超えないと会社にお金は残らない~
▷決算書で「ここだけは見ておくべきところ」
▷まさか自宅が火事で全焼するとは

第3章 落ちるところまで落ちたら、見えてくること
▷お金がないので借金をしました
▷給料は安くても安定している会社 vs 稼げば稼ぐほど給料が上がる会社
▷「自分の足で歩く」という生き方
▷給料はだれが決めている?
▷社員の給料を上げたくても、上げられないワケ
▷一番実績を出している社員が、給料が不満で辞めてしまいました

第4章 「お金」が原因で失敗した 過去の自分のために書いたノート未来から 来た僕から、過去の僕へ
▷1 会社は、給料以外にも社員に還元している
▷2 「数字の読み方」を知ると、世界が変わる
▷3 「給料が上がるしくみ」は、業界や会社によっても違う
▷4 「どんな稼ぎ方をしたいか」という自分の軸を持つこと
▷5 お金で解決できることも多いが、「劣等感」はお金で解決できない
▷これから新しい未来をつくり上げるキミへ

▷あとがき 古屋悟司

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?