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これからテクノロジーとどう向き合い、どう生きていくか / PR3.0 Conference[ TECHNOLOGY ]のイベントレポート


こんばんは、ふりかけです。

今日は、PR3.0 Conference[ TECHNOLOGY ]というカンファレンスに参加させていただきました。

これからのテクノロジーや生き方について考えるきっかけになるようなお話を聞くことができたので、そこで話されていた内容を整理しまとめてみました。


1.テクノロジー時代に不可欠な「哲学と宗教」

出口 治明さん(立命館アジア太平洋大学 学長)

・PRのターゲットはコンテンツ全体

PRの概念は、企業(法人)も個(個人)も同じ。これからは、全方位的に自分は何者であるか、どういう夢を持っているのか発信して必要がある。

いままでは、うまくいっているところを宣伝することがPRだったが、これからはそのコンテンツ全体がPRのターゲットになってくる。

・テクノロジーの進化と人間の成長

文字が発明され、知識の蓄積ができるようになったことで、テクノロジーは加速度的に進化してきた。一方で、その時間は人間の進化という点ではとても短く、人間の脳は昔から進化していない。そのため、テクノロジーを使いこなすためには、上手にインターフェースを設計する必要がある。

・テクノロジーは哲学から生まれた

人間の頭が考えたことは自分の周囲のこと、世界を理解したいという欲求を持つようになった。それは宗教や哲学。はじめは自分の目で見て考えていたが、それには限界がある。もっと小さなものが見たい、遠くのものが見たいと、虫めがねや望遠鏡が作り出されていったように、テクノロジーは哲学から生み出されていった。そして、それによって世界をまるごと理解したいという欲求を満たしていった。

・”we can”から”we should”へ

これからの課題は、テクノロジーの進化に人間の脳が追いついていかないこと。人間には理解できない処理能力を持ったテクノロジーをどのようにコントロールしていくか。できることは広がった、それを人間がどう使うかが大切になってくるだろう。



2.テクノロジーで変わる、未来の「個」と社会の関係構築

岡島 礼奈さん(株式会社ALE 代表取締役社長 / CEO )
上田 岳弘さん(小説家)
濱田 優貴さん(株式会社メルカリ 取締役CINO )
岩佐 文夫さん(プロデューサー/ 編集者)

コロナ危機を経てどんなテクノロジーが当たり前になるのか

リモートワークの普及など、すでにあるテクノロジーの普及が進むだろう。インタラクティブでないものは、編集した動画の方がいいなど、新しいコミュニケーションの形が生まれるかもしれない。またコロナは人間が地球上の生き物の一つであることを痛感させられる機会になった、これからはナチュラルに自然と結びつくテクノロジーが生まれてくるかもしれない。

・新しいテクノロジーが実装された世界で人はどう変わるのか

テクノロジーにより選択肢が増えるだろう。行きたい大学に通える、住みたいところに住めるなど、自由に選べるようになる。これからは自分がどういう人間で、どういう適性があるのかなど、自分自身が研ぎ澄まされていくのではないだろうか。

一方で、選択肢が増え自由になることは、考えることが増え、苦しみを生み出すことかもしれない。自由と規制のバランスが必要になるのかもしれない。

・さらにその先の未来予想図

環境の変化が社会に変化を与え、それにより人間も変わる。

環境はコモディティ化して配られ、平等なものになっていくだろう。社会はより公平なものになっていく。大体のことに最適解が用意されると、ここはこうしたいというこだわりが、その人の個性になってくる。こだわりの根底にあるのは哲学。自分の内面から湧き出してくるようなものが大切になってくるかもしれない。

テクノロジーの面では、自然と共有できるようなものが増え、インターフェースがやわらかくなっていくのではないだろうか。またテクノロジーの進化により、余暇時間が増えるだろう。暇になると人間は何を考えるのか、それが個性になり、また環境や社会の変化へとつながっていくだろう。



3. テクノロジーを活かしきるために。これからのパブリックアフェアーズを考える 

石山アンジュさん(Public Meets Innovation 代表理事 / 一般社団法人シェアリングエコノミー協会 事務局長)
南 知果さん(法律事務所ZeLo・外国法共同事業 弁護士)
山口 琢也さん(ByteDance株式会社 執行役員 公共政策本部長)
尾上 玲円奈さん(株式会社井之上パブリックリレーションズ 執行役員)

・新型コロナ危機によって「ルール作り」はアップデートされるのか

実際にコロナ危機の影響で、オンライン診察などルール自体が変わる例が出てきている。すでに検討されてはいたが、見えない壁により動いていなかったものが、可視化され始めたことで、ルール作りは進むだろう。また生活に身近なところの制度が変わることは、人々が関心を持つきっかけにもなり、そこで意見を集めることができれば、この動きはさらに進んでいくだろう。

・これからのパブリックアフェアーズ

自分たちの業界の利益獲得のために政治と行政へ働きかけるもの(ロビング1.0=陳情)から、1つ上の理念(公益)を掲げ、PR、全てのステークホルダーを巻き込んで社会全体に働きかけるもの(ロビング2.0=ファンづくり)へと変わるだろう。また、利害なく個人の立場を超えてフラットに議論できる場(NEW PABLIC)、既存の手法にとらわれない、パブリックに景色を変える手段や方法・イノベーションが求めれるだろう。

小さな違和感をそのままにせず、ひとりひとりが声を上げて発信してみることが、ルールメイキングにつながる。行政もチャレンジしていこうとしている。いまは社会を新しく変えていくチャンス、みんなで変えていくことが大切。



4.5G時代の到来ーー企業コミュニケーションの最適解は変わるのか?

森永 真弓さん(株式会社博報堂 メディア環境研究所 上席研究員)
嶋野 裕介さん(株式会社電通 CDC クリエーティブ・ディレクター/PRディレクター)
長谷川 リョーさん(株式会社モメンタム・ホース 代表取締役 / 編集者)

・5Gの現実

これまで、3Gのときはネットバンキングが流行るかなと思ったらSNSが、4GのときはYouTubeが流行るかなと思ったらソーシャルゲームがと、想定とは少しずれて普及してきた。5Gの普及にも10年程度かかると予想され、いまはまだ過渡期。まずは落ち着いて構えるべき。

一方で、TOYOTAの街づくりなどは10年後を見据えた動き。来たるべく未来に向けて、楽しく考えていくことも大切。

・5Gによる産業の変化

単独の産業がなくなり、よりつながっていくのではないだろうか。例えば、自動車とランドセルがIoTでコネクティングされ、近づいたらアラートが出るなど。

またルールチェンジも起こるのではないだろうか。例えば、自動運転も完全に普及すると、今度は一番危ないのは人間が運転する車になる。そうするとどうしても自分で運転したいという人の保険料をアップしたりすることになるだろう。

・広告の変化

広告の役割は、認知させることから、利用を促進することに変わっていくだろう。ドラマの合間にCMを流すというかたちから、ドラマの中に入っていき、そこからすぐに買えるようなかたちへと変わっていくかもしれない。

また5Gによって本当にIoTが普及し、あらゆるデータが取得されるようになった場合、レコメンド機能の制度がとても高くなるだろう。そのような環境に身を置くと、思考回路がレコメンド機能によって形づくられ、偶然の出会いがなくなってしまうかもしれない。そうなるとこれまで出会っていない情報を、意図的にあえて流すというようなことも生まれるかもしれない。

・PRパーソンの居場所

コミュニケーションとはどういうものかゼロベースで考え、テクノロジーを掛け合わせていく。ひとつ先の未来を見据えて、仮説を持って動いていくことが大切。ロールモデルを探して追随していくようでは、取り残されてしまうだろう。自分の視点を持って、導いていける人が必要になってくる。



5.人事のテクノロジー活用は、ホントに従業員を幸せにできるの?

大成 弘子さん(ピープルアナリスト / エンジェル投資家)
松本 紹圭さん(僧侶・未来の住職塾塾長)
丸吉 香織さん(ソニー株式会社 HR Tech推進室)

・従業員を取り巻くテクノロジーにはどのような変化が起こっているか

静的なデータだけでなく、アンケートの結果や心拍数の変化など、動きのあるフローのデータを取得し、従業員のエンゲージメントを調べることができるようになってきた。人と人とのつながりにポイントをあてたテクノロジーが生まれてきている。

・人を幸せにするつながり

どうやったら幸せになれるかを考えるときには、”私”ではなく”私たち”で考えていく必要がある。個人は静的なものとしてではなく、つながりとしてみる。実際につながった方が幸せになれるという研究結果もある。

つながった方が幸福になる
幸福な人と一次のつながり → 自分も15%幸せになる
幸福な人と二次のつながり → 自分も10%幸せになる
幸福な人と三次のつながり → 自分も6%幸せになる
(つながり:ニコラス・A・クリスタキス他)
つながった方が幸福になる
幸福な人と新しくつながる → 自分が幸福になる可能性15%↑
不幸な人と新しくつながる → 自分が幸福になる可能性7%↓
(つながり:ニコラス・A・クリスタキス他)


また、似たもの同士の村社会よりも、自分が思いもしない幸せの感じ方を持っているような人とつながり、幸せのキャパシティを増やしていくことが大事。

・つながりを目的にした従業員データの活用

職場のコミュニケーションを可視化することで、退職リスクの高い人や、もっと活躍できるはずなのに、つながりが弱くなってしまっている人などを見つけ出すことができる。

また、キーパーソン(橋渡し役)を見つけ出すこともでき、キーパーソンがいるところにイノベーションが生まれやすいということもわかっている。これは横断してつながることで、似た者同士だけでは入ってこない情報が得られていることからかもしれない。

・withコロナにおけるつながりの提供

言葉のつながりを可視化したところ、エンゲージメントが高い人は、色々な言葉を添えて具体的にありがとうと感謝を伝えているのに対し、エンゲージメントが低い人はありがとうと一言で返してしまっていることがわかった。

自立とはたくさんの依存先を持つこと。脅威ではなく、チャンスと捉えて健康的につながっていくことが大切。

・テクノロジーを使う側のマインドの重要性

テクノロジーは使う側の人間観(哲学)が大切になってくる。同じテクノロジーであっても、従業員を監視しようとして導入するのと、従業員とのコミュニケーションを促進しようとして導入するのでは全く異なったものになる。従業員の幸せのために活用することが大切。

またショートタームでしか考えられていないと、どうすれば辞めないでもらえるかなど短期的なことしか考えられない。人間の一生は長い。視野を高く、広く持ち、人間そのものを信頼して、その人の人生、そこに関わる人の幸せにつながるようにロングタームで考えていくべきだろう。



〜Fin〜

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