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もやもやモラトリアムが文系院進を決めた話

夏ですね。

私の記事に目を向けてくださった皆様はいかがお過ごしでしょうか。

こちらは1Kマンションに缶詰め、今1番怖いものは電気代の明細書です。これまでの夏は帰省やキャンプ、ドライブ等にちょくちょく行っていましたが、なかなかそのような楽しみもなく少し気が滅入ります。

そんな中今回地道に書き進めてきた記事のテーマは、私が大学院への進学を決めた経緯です。

今年の3月まで、私は文系大学生でした。周囲のほとんどが新卒として就職していく中、悩みに悩みに悩み抜いて決めた院進。その決定をした過程について言葉に記してみようかと思います。

自分のために書いている側面も少なからずありますが、大学院への進学に少しでも興味を持っている方のご参考になることができればすごく嬉しいです。ただ、内容はあくまでも私の主観ですのでご注意ください。

大学院の進学率って?

私の話に入る前に、少しだけ数字的なところをご紹介します。

文部科学省の学校基本統計によると、2016年度における学士課程修了者の大学院への進学率は11%。近年のデータは基本的に横ばいだそうです。

ちなみに、同年度最も進学率が高いのは理学系で41.8%、工学系が36.4%と続き、農学系が23.4%。全体の平均進学率である11%を上回る進学率となったのは、全て理系分野のようです。

文系科目では、例えば教育系5.1%、人文学系4.7%、社会科学系2.5%といった数字が挙げられていました。

関西大学の紀要論文「大学データの統計分析」でも2018年度の理工学部進学率の平均が34.8%に対して文学部が6.8%、経済学部が2.2%と文系分野は軒並み進学率が低いことが分かります。

私がこの春まで在籍していたのは国際系の学部でした。在籍している学生は基本全員留学をすることになっている感じの。

公開している最新のデータ(2018年度)によると、私の出身学部では当該年度およそ80%が就職をし、10%弱が進学をしたようです。恐らくこの数字はここ直近でも大きな変動はないだろうと思います。

私が個人的に知りうる限りになってしまうのですが、私の同学年(20卒)だと学部全体で大体の在籍数は140人ちょっと。進学を知ってるのが6人くらいです。知り合いに進学する人が全くいないという状況ではないんですけど、やっぱり就職するのが圧倒的に「普通」かなと思います。

なぜ進学を?

私が進学した理由は、
**
①勉強って楽しい**
②就職に踏み切れなかった

簡単に言うとこの2つです。

まず①について。

小学校~高校までも勉強が嫌いということはなくて、得意科目の勉強は好きでした。ただ、そのときの勉強と大学での学びってやっぱり全然違うものでした。

高校までの勉強は、すでに答えがある問題をどれだけ正答できるかが主だったのに対して、大学の学びでは自分の興味や関心を、文献や講義で掘り下げて考えなければなりません。講義や文献の文脈にそって適切な形式を守りつつ、注目するテーマについて自分レベルに落とし込んで考察する必要があります。

一口に文系と言っても、期末試験はレポートが多いのか、マークシート系の筆記試験が多いのかなど学部によってかなり異なるかと思います。私の学部は断然レポートが多く、先行研究を調べつつ自分で問いを設定し、「考える」ことが必須でした。レポート期間はかなりしんどかった記憶がありますが、これは私にとってやりがいのある壁でした。

またひとつ大きかったのが、友人に恵まれたこと。入学時、学部にひとりも知り合いがいない状態で初めてできた友人がすごく真面目で、広い意味で頭が良い人でした。よく一緒に講義をとっていたのですが、大学の帰り道で彼女とその日の講義について話合ったり(人種やジェンダーに関することが多かったかな)、関連する講演会に一緒に行ってみたり、教授とお話したり……が私にとってはすごく楽しかったです。(これ書くと超意識高い系みたいにとられそうですが、一緒に平泉成のモノマネとかもよくやるアホな仲です。)

「私は一度就職をしてお金を貯めて、大学に戻ってきたいなぁ」

確か大学2年生のとき。学校の帰り道にその友人がこんなことを言っていました。このときの会話が、私が初めて大学院というものの存在を意識した瞬間でした。それすごくいいな。そう思いました。

ただこのときは、私も社会人になってからお金を貯めて、自費で進学をしたいな~と漠然と考える程度で。頭の中はまだ卒業=就職でした。

大学院についてもう少し本格的に考えるようになったのが大学3年の秋から大学4年の秋(範囲広)でした。このあたりからは②の内容に関係してきます。

大学3年になると、インターンに周りが行き始めたり、スーツ登校の知り合いがちらほらキャンパスに出現するようになります。波に乗って(?)私も何件かインターンには参加しましたが、「この業界で働きたい!」みたいなもののビジョンが全く見えない。「自分の好きなことを30個書いてみよう」とか、「エントリーシートを書いてみよう」みたいな大学のセミナーにも参加したけれどなんだか本当にピンとこない。

ピンとくるとかこないとか言ってないで就職はしなきゃいけないんだからちゃんとやれよ!と総ツッコミされそうですが、本当に違和感があったんです。シュウカツシュウカツシュウカツっていう空気に。

しかも、インターン>大学の講義という風潮にも疑問を感じていました。インターンがあるから講義を欠席する、インターンの予定に合わせて講義の履修を組む。それってなんで?という疑問です。

(しかもそれを大学側もよしとしていて、「就職活動者には寛容な措置を」という態度。オープンキャンパスでも就職率の高さが推されています。)

私はどちらかというと、興味のある分野の講義を欠席して翌週の講義に臨むのがあまり好きではなかった(し、おもしろい講義は絶対に欠席したくなかった)ので、基本的に4年間とりたい講義をとるスタンスでした。週の登校数をできるだけ少なくするとかではなく。

ただ、お金を貯めて将来自費で進学したいという気持ちがあったので、大学3年の2月くらいから就職試験は受けていました。リクルートスーツに身を固め、ビルからビルへ移動する日々。エントリーシートで落とされた会社は1社もありませんでしたが、緊張しいで面接が本当に苦手でした。結局興味のあった業界では納得のできる内定を得ることができず、大学4年の夏休みが終わるまでに内定をいただいていたのは1社。

就活って終盤になると、リクナビとかマイナビとかのリクルーターさんは入りたい業界や職種よりも、卒業までに内定をとれるかどうかに重点をシフトさせて会社紹介をしてくれるようになります。私がこの頃よく紹介されていたのはいわゆるシステムエンジニアの職が多かったです。しかし紹介を受けて説明会に行ってみても、やっぱりしっくりこない。加えてエントリーシートや面接で本心じゃないことを話すというのが壊滅的にできませんでした。これが本当にネック。就活が終盤に入って「御社が第一志望です!」って面接で言うことも、エントリーシートに志望理由を書くことすらなかなかできませんでした。本当にどうしたらええの私状態。

このときは、システムエンジニア系の会社とかウェブメディア系の会社説明会に行って、「自分はここに興味があるんじゃないか?」って思いこませようとしてる状態でした。上手くいかないのは当然です。毎日毎日スーツ暑いし。ヒールで足は痛いし。あああああああああああ~~~~~~~って感じ。本当に。

しかし変に意地を張って、就職先が決まっていない状態でも体調不良以外でゼミやその他講義を欠席することは1回もしませんでした。大学4年にしてはかなり真面目に講義を受けていた部類だったと思います。私のゼミの教授は、基本的には「理由が就職活動なら休んでもいい」というスタンスでしたけどね。(この就活>講義の図式には今でもやっぱりちょっと疑問)

さて、大学生最後の夏も終わりかけ。志望度がそこまで高くなかった1社のみの内定を持っているという状態で浮かんでいた選択肢は3つ。

①ありがたく内定先に就職させてもらう 
②就職留年or既卒で就活をもう一度 
③学部から直接大学院に進学 

①に関しては内定受諾の連絡期限であった9月半ばまで、③に関しては秋季入試(ラストチャンス)の1月までが選択のタイムリミットでした。

ちなみにストレートマスター(学部卒から直接大学院に進学すること)の進路を考え始めたのが遅かったので、学部と院で大学を変えるという選択肢は考えませんでした。

そしてここから吐くほど悩みました。ほんとうに人生で1番悩みました。ただ、悩んでいるとは言っても、自分の中で進学という答えは見えていて、しかしそれでいいのかと迷っている感じでしたね。

そして、死ぬほど悩んでいた私が助言を仰いだ先が4つありました。

1.家族
まず現実問題として進学が可能なのかを確認する必要がありますね。そこで家族に相談をしました。私は普段から家族には諸々悩みをよく相談する方で、このときは父母・祖父母・姉の家族総動員に相談しました。祖母と母は「よく考えなさい」派、姉と父は比較的最初から背中を押してくれていたと思います。
昔からあまり周りの人間の動向を気にしない姉に関しては、「なんで迷ってるの?意味がわかんない」ぐらいの感じでした。趣味に没頭し大学4年の夏まで全然就活に本腰を入れていなかった我が姉。切実にメンタルの強さを分けてほしい。

2.学校のキャリアセンター
家族以外には、進路相談に乗ってくれる学校のキャリアセンターに相談をしに行きました。進学か既卒就活、希望留年(論文を提出し、卒業要件単位を取り切っていても留年できる制度)で迷っているという内容です。

ここで強調されたのは、
・留年はよっぽど成績が悪かったなどの問題がなく、理由さえ説明できればそんなに珍しくはない
・既卒は学校のキャリアセンターとか使えないから留年よりかはちょっと大変かもね
・進学は専門性を身に着けることになるので留年や既卒就活よりも就職できる業界や職種の範囲が結構狭まる

ということでした。最終的にキャリアセンターでの相談で得られた結論は「進学はリスキーよ」というものでした。

3.教授
深刻な感じではなく雑談の延長という感じでしたが、ゼミの教授には比較的早い段階で進路の悩みを聞いてもらっていました。ゼミに真面目に出席していることもあり、基本的に「向いてると思うよ~」という感じのお答えだったと思います。キャリアセンターで言われた「進学は就職の幅狭まる」については、「日本の就活ってそんなにつまらないのか~…」と。

よく笑う明るい先生で、「私も周りが会社に入っていく中フィールドワークとかしてて悩んだ時期もあったよ」という話を笑いながらしてくれたのを思い出します。

4.ネット記事
「雑なまとめ記事を真に受けるな」

私の人生のモットーです。

しかししかし、、、このときは見てしまっていたんですよね~。「文系進学は就職に不利!?」みたいな誰が書いたかも分からない記事とか全然知らない人のYouTubeとか。

ネット空間では文系大学院生はそこまでポジティブな書かれ方はしていないような印象を受けます。

そしてこれらインターネットの情報って圧倒的に信頼性が低いのに迷ってたり悩んでたりするときに見ると何気にネガティブなダメージが大きいんですよ。恐らく自分の中で意思が固まっていれば無視もできたしそもそも調べもしなかったんでしょう。しかし、これまでの人生であまり進路に悩まず歩んできたので、悩んだうえでの選択をすることに必要以上に慎重になろうとしていました。

今思うことは、自分の進路について情報収集しているように見えて信頼性の低い情報にアクセスし続ける行為は、ただの不安の裏返しとその再生産だったということです。ほんとにこんなん見てひるんでる暇があるならちょっとでも勉強してた方がよかった~と今は思います。

と、話が少し脱線しましたが、このような形で周りの人やらなにやらに相談し、進学するか否かを私はひたすらに悩み、悩み、悩み続けました。否定的陣営と肯定的陣営が毎日毎日闘っている感じ。何回も言いますが、これまでの人生でこんなに悩んだことは初めてでした。

突如降ってきた発想の転換

悩み悩み、悩み、悩み……。悩みに悩んだ私はある日ふとこんな考えに至りました。

「もしかすると…………悩んで結局進学をやめたとしたら、私は文系大学生の進学が超マイナーな社会”を再生産する側にまわるのでは?」

この考えに至ったときに、少しだけ悩んでいたモヤモヤが晴れた気がしました。これはつまり、就職を視野に入れた院進が学部卒でいるよりもリスキーで選択しづらい状況を、私はつくる側にまわるんじゃないかという視点の変化でした。

そっちにまわるぐらいなら、そして後悔するぐらいなら、ここから2年間はもういい!もう研究やめたい!というところまで勉強をしよう。納得のいく論文を書いて学生に区切りをつけよう。そして、修士の2年間でのことを何らかの形で発信できれば、もしかしたら私みたいに迷っている誰かの背中を押すことができるかもしれない。

こう思った時に、脳内で繰り広げられていた否定的陣営と肯定的陣営の戦いが終わり、2年間の決意に変わりました。

12月に卒業論文を提出してからは、急いで院の受験に必要な志望理由書や研究計画書を準備し、めちゃめちゃな緊張の中筆記試験と面接試験を受験しました。そして入学の1か月ちょっと前に合格通知が届き、晴れて入学が決まりました。

長くなりましたが、ここまでが私の大学院進学までのプロセスです。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い学部の卒業式は中止、現在は2年ある修士生活のうち半分がオンライン講義になるという異例の経験をしている最中です。思った以上の課題量と一人暮らしの孤独さで春学期はなかなかに苦しい学期となりましたが、なんとか全ての講義を無事に終えました。少し前までの学期末は、2週間で卒業論文と同等の字数を書く怒涛の時間を過ごしました。

夏休みは先行研究の調査や自主ゼミへの参加に加え、インターンの応募やらnoteの記事やらやっていくぞ~!という所存です。あと車の免許もとりたい。今はNGO団体のボランティアとか、あとライターインターン(できれば有償)とかをちょこちょこ探している最中です。(目をつけていたNGOのインターン、現在募集していないらしくちょっと詰み……)

あと具体的にnoteでひとつやりたいな~と思っているのが、大学院生へのインタビュー記事の作成です。特に文系大学院生ってネットの世界でもそんなにたくさん発信している存在ではないので、その人たちがどうして進学しているのかっていうのをオフラインでつながっている人に取材してみたい、それを記事にしてみたいな~と思っています。

やりたいこと全部やるし、研究もとことんやるぞ~~うお~~ということで、バチバチに文章を書き、学びの夏にしたいです。

長くなりましたが、読んでいただいた方は本当に本当にありがとうございました!

note7本目「もやもやモラトリアムが大学院進学を決めた話」でした。

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