【奄美ロケ】「懐かしい」という最強の多幸感がある奄美大島「龍郷町」
そこに海があるのにゲームしたり、奄美大島きてるのにPCに向かい合って会議してたり。贅沢だなーって思うのは、贅の限りを尽くしている時でも味わっている時でもなくて、それを無駄にしている時こそ感じませんか。
そして世界自然遺産にも選ばれた奄美大島にある「龍郷町」は、ただいるってだけでいいような、それを受け入れてくれるような感性のある町だった。ロケを通して見えた「龍郷町」の話です。
「心の糸をほどいてくれる」町
今年の夏、奄美大島龍郷町のPR動画ロケで1週間ほど同町に滞在しました。制作当初リサーチを始めた時に感じた印象は「歴史と伝統を紡ぐ町」。
1300年以上人と自然が織りなしてきた「大島紬」
世界遺産にもなった固有種を育む豊かな自然
歴史的な背景が生んだ「黒糖焼酎」
珍しい野草や地場の食材を使った島料理(しまじゅうり)
450年以上の歴史がある五穀豊穣を願う伝統行事「平瀬マンカイ」や「ショチョガマ」
など。世界自然遺産に選ばれたこの島は、調べれば調べるほど、それを受け継いできた重みや価値に背筋が伸びてしまう。
でも実際に訪れてみると、どれも圧倒される雰囲気ではなく、柔らかく淡々と日常としてそこにある。途方もない時間をかけ、たくさんの人の想いを紡いできたものを、すっと差し出せてしまうような在り方に、町とそこに暮らす人たちの懐の深さを感じました。
風にたゆたうサトウキビ畑も、海まで続く土の道も、経験したことのないものなのに、なんで懐かしいって感じるんだろう?旅人であってもすんなりと受け入れてくれるって器が大きくないとできないと思うのです。
西日感のある思い出。夏休みに昼寝で起きた時の感覚
今回の撮影では「結の家」というところにクルー一同合宿っぽくお世話になったんだけど、そこでのリモートワーク生活がとにかく最強だった。
宿のおかあさんが台所で仕事されてる穏やかなカチャカチャ音とか。郵便局の方や宅急便の方が訪れてきてちょっとおしゃべりとか。遠くで聞こえる波の音とか。とにかく龍郷日常SEが、作業用BGMとして気持ち良すぎる。
夕方頃、西日が漏れてくる玄関を見てると「夏休みの夕方」って感じで何故か泣ける。圧倒されるような景色やアートをめぐる刺激的な旅もいいけど、「懐かしい」って感情にしてくれて、いつもと変わらない過ごし方を受け入れてくれるような旅も最高に癒されます。
「懐かしい」に、最強の多幸感があるのは子供時代が幸せだったからなんだろうか。だとしたら、自分は幸せものだったってことですよね。
そんなことまで、思ってしまった土地でした。
「無駄な消費」ってなんであんなに気持ちいいんだ?
ロケ中、深夜早朝の撮影を頑張るクルーを横目に、結構会議だらけだった私。波の音聞きながら会議して、海辺のコンビニ「島人マート笠利店」までちょっと車でお昼ご飯買いに行って、そこでまたスマホぽちぽちやる。。。
やってること東京と変わらないなと思ったけど、PCから顔をあげると透き通る海があり、天の川はすごいし、堤防で見てたスマホから海に視線を移すとカメとかイカとか…!
そもそも昔から「休みに寝てばっかりいた」とか「NYでわざわざガキ使見た」とか人に話すともったいな!と言われることに贅沢を感じてしまう質。
目の覚めるようなブルーの海岸で携帯見てたり、深夜撮影から戻ってきたスタッフが買ってきてくれたモスバーガー食べたり、波の音聞きながら会議ばっかりしたり。さすがに「何やってんだっけ…」と思う瞬間もあったけど、龍郷のあまりの自然さに「それでいいか」という気になってしまうのです。
深呼吸ができる旅
天の川の下でやったBBQとか、撮影で見た早朝の加世間峠とか海とか森とか大島紬とか奄美大島らしいことも、もちろん最高。でも海沿いでする仕事とかスマホゲームとかも、1.3倍くらいいつもより幸せ笑
クライアントもスタッフも、なんか皆んな気持ちいい人だし、今年一番「贅沢だ」って感じた一週間でした。
緊張したり、ぐっと足を踏ん張ることのようなことが多い大人には、日常をばこっと持ってきたような、頑張らないこういう旅が必要なのかもしれないです。
今度は釣りもしたい。
「心の糸をほどいてくれる旅」
「INSIDE TATSUGO - 知れば、旅がもっと深くなる -」
「守るために不便さを受けいれる」、「途絶えさすわけにはいかない」、気負いのない雰囲気なのにやっぱりずっしりと重みを感じる、伝統と歴史を紡ぐ人たちの言葉です。