マガジンのカバー画像

雑記やエッセイ

68
日々暮らしの中で感じたことを書いています。完全に個人的な日記だったりメモだったり。個人の感想に近いです。
運営しているクリエイター

#村上春樹

村上春樹「午後の最後の芝生」と記憶を辿ることについて

村上春樹「午後の最後の芝生」と記憶を辿ることについて

村上春樹のはじめての短編集「中国行きのスロウボート」の中に「午後の最後の芝生」という言わずと知れた人気作品がある。

全体から漂う、夏のはじまりの気配と、
ゆったりと流れるテンポがとても心地よく、
時々、その世界観に浸りたくなる作品だ。

夏の季節の描写に惚れ惚れしてしまう。

記憶というのは小説に似ている、あるいは小説というのは記憶に似ている

これは文中の有名な一説である。

村上春樹作品は、

もっとみる
村上春樹と水曜日の午後のピクニックとの三度目の出会い

村上春樹と水曜日の午後のピクニックとの三度目の出会い

村上春樹の小説を10数年ぶりに読み返している。10代の時には共感してやまなかったのに今読見返すと、自意識が過剰すぎて自分の青春時代を垣間見ているようで、なんだか恥ずかしくなる描写もあるのだが、そんな気持ちになる文章は他の小説を思い返しても見当たらないし、一定層から「嫌い」とまで言われる作家なのだから、やっぱりつくづく唯一無二の作家なのだと感じている。

私は彼の短編にしても長編にしても、「これが彼

もっとみる
かつては村上春樹、今はポールオースターがそばにいる。

かつては村上春樹、今はポールオースターがそばにいる。

私が10代後半の頃、「好きな作家は?」と聞かれたら
必ず村上春樹の名前を上げていた。

彼の作品に最初に出会ったのは、彼の長編1作目である「風の歌を聴け」を読んだ、高校生の時だ。

その後、1973年のピンボール、羊たちの冒険、ダンス・ダンス・ダンスを
読み、ノルウェーの森とハードボイルド・ワンダーランド、海辺のカフカを、読んだ。

それから15年以上たった2020年現在にいたるまで、だいたい村上

もっとみる