#6: 路地裏ワンダーランド ~湊川神社らへん~
このところ、お出かけはもっぱら自転車派だった。
早いし楽だし、停めるのも気軽だ。電動アシストつきなので、神戸の急坂もへっちゃら。
でも、目的地まで一直線の自転車では見逃してしまう景色があることもわかっていた。
「おっと、なんだこれは」と思わず立ち止まるような面白いものは、やっぱり徒歩の方が見つけやすいのだ。
先日の路地裏での出会いが、改めてそう教えてくれた。
ちなみにわたしは昔から路地裏に惹かれている。
味のある看板、擦り切れたシャッターの絵、民家のアジサイ。だれかの生活と隣り合わせに歩くうち、本や映画の中の町にいるような気分になってくる。
この日はつい最近お知り合いになったカフェを目指していた。
カフェがあるのは湊川神社の西隣りの、細い路地が交差する一角。きれいな花壇や銅像が並ぶ神社沿いの道から路地に入ると、急に生活の匂いが漂ってきた。
元からそこにあっただろう民家と、しぶい喫茶店やこじんまりした焼き菓子店が、いっしょになって風景を作っている。
そこの角を曲がると何があるんだろう?
ふと、目のはしにピンクのうさぎが飛び込んできた。
吸い寄せられるように近づくと、それはポップな雑貨屋さんだった。
NARUHESON;S
中を覗くと、ほのぼのとしたイラストの描いてあるTシャツやキャップ、雑貨たちが、こじんまりとした店内にぎゅっと陳列されている。興味しんしんで見つめていると、お店の方がにっこり「どうぞ!」と声をかけてくれた。
お店の方の名前はusabeniさんといって、関東出身のクリエイター。音楽・イラスト・ファッションと、聞けば本当にいろんなものを作っていておどろいた。
ここ「NARUHESON;S」は神戸の拠点で、オープンの日は不定期と言っていたから、偶然通りがかったわたしはとてもラッキーだったみたいだ。
「神戸めちゃくちゃいいです!すごい好きです」
ハツラツと教えてくれた彼女に、わたしも「わかります!」と元気いっぱい応えた。自分もちがう土地から来たからこそ、好きの気持ちにはめいっぱい共感できる。
わたしはうれしくて、”KOBE”の文字が入った、めちゃ可愛いTシャツも手に入れたのだった。
路地裏には、こんな出会いもあるものなのか。
散歩の醍醐味って、こういう思いがけなさにあるのかもしれない。
急いでいない日は自転車は置いて、ちょっと歩こう。またこんなワンダーランドに迷い込みたいな。
ZAKKA AND CAFE GLEAM
そうそう、ちゃんと目的のカフェにも行けました!
奇しくもお店は「GLEAM(グリム)」という、ワンダーな路地歩きにぴったりの名前。
絵本を読みながら、絵本に出てきそうなふっくらマフィンをいただきます。
名前を忘れてしまったけどこのお茶もやさしい香りでおいしかった。歩き回った疲れがほっこりと癒されました。
ああ、良い午後だったなあ。
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