「デザイン経営」を超絶分かりやすく解説してみた ①
デザイン経営って?
「デザイン経営」という言葉を聞いたことありますか?
「聞いたことはあるけど、詳しくは知らない」とか、
「聞いたことない」という人も多いと思います。
デザイン経営とは、一言でいうと「デザインを経営の根幹に取り入れること」
これは今、世界的に広がりつつある経営手法なんです。
こんな統計があります。
(出典:経済産業省・特許庁『「デザイン経営」宣言』)
なかなかすごいことですよね。
つまりデザイン経営を取り入れることで会社はめちゃめちゃ成長できるのです。
現にアップル、ダイソン、良品計画、Airbnbといった世界の有⼒企業がこの手法を取り入れて業績を伸ばしてきました。
それにより、企業の大小問わず、世界的に注目されつつあるのが「デザイン経営」なのです。
しかし、「デザイン経営」宣言(経済産業省・特許庁がデザイン経営の推進を後押しするために出した表明)を読んでもらうと感じると思いますが、
「デザイン経営」の説明って、なんだか抽象的で分かりづらいのです。
今回はそんな疑問を持つ人のために、「デザイン経営」を超絶分かりやすく説明したいと思います。
よくある間違った認識
「デザインを経営に取り入れる」
そう聞いて、どんなことを思い浮かべますか?
残念ながら、これらは全てデザイン経営とは言えません。
(正確にいうとデザイン経営において上記の手法も使いますが、それが本質ではありません。)
経営というものを戦略と戦術に分けて考えてみましょう。
戦略というのは戦術より上位の概念です。戦術をどのように行ったら目的を達成できるか、高い視点で見た方向性のことです。
戦術というのは「具体的な手段」のことです。
先ほど出てきたロゴやホームページをつくったりというのは、この戦術にあたります。
「デザイン経営」というのは、「戦術」でなく、「戦略」にデザインを取り入れよう、ということです。
つまり、ロゴをオシャレにしたり、商品やパッケージのデザインをいい感じにしたり、かっこいいホームページをつくったりに留まらず
もっと根本からデザインの視点を取り入れよう、という事ですね。
「戦略」にデザインを取り入れるってどういうこと?
ちょっと待ってよ。
「戦略にデザインを取り入れる」とか「もっと根本からデザインの視点を取り入れる」って、一体どういうこと?
と思った方、ちょっとこの図を見て下さい。
(出典:特許庁)
ここに書いてあるように、デザイン経営の取組みって大きく2つに分けられます。
ちょっと分かりやすく言い換えると、
①ブランドを構築すること(赤丸のほう)
②イノベーションを起こすこと(青丸のほう)
もっと分かりやすく言い換えると、
①Apple社みたいに、「Appleの製品なら良いもののはずだ」「Appleの世界観が好き」と思われるようなブランドになろう!
②iPhoneみたいに、みんなが本当に求めていた革新的なものをつくろう!
みたいな感じです。
つまり(ちょっと強引ですが)
デザイン経営とは「Apple社みたいなことをやる」って事だと考えれば分かりやすいかもしれませんね。
そう考えると、冒頭で説明したようなめちゃくちゃ大きい効果があるという統計結果も頷ける気がしませんか?
自分の経験としても、
以前デザインを担当しグッドデザイン賞も受賞させていただいた珈琲専門店イルマン堂において、
2時間待ちになったり、口コミだけでinstagramのフォロワーが8000を超えるといった人気店になり、デザインの効果の大きさを肌で感じた経験があります。
(余談ですがこの経験が、自分がデザイン経営を志そうと思ったきっかけでもあります)
デザイン経営の進め方は?
「うわー、ハードル高そう・・」と思った方、大丈夫です。
デザイン経営の大きな2つの取組みである
①ブランドを構築すること
②イノベーションを起こすこと
それぞれどのように進めていけばよいか見ていきましょう。
①「ブランドを構築すること」については、前回書いた記事「結局、ブランディングってなに?」になるべくわかりやすくまとめたので、ぜひ読んでみてください。
②「イノベーションを起こすこと」については、長くなってしまうので、また別の記事(1月頭公開予定)でじっくりと解説していこうと思います。
なぜ「デザイン経営」がこの時代に重要なのか
どの家庭にも車があったり
どの部屋にもエアコンが付いていたり
ほとんど全ての人がケータイを手にしていたり
30・40年前と比べると遙かにモノや機能に満たされた社会になりました。
マズローの欲求5段階説でいうと、
生理的欲求と安全の欲求はもう満足水準に近いところまで満たされているのだと思います。
もう満たされているのだから、この領域でモノを売ってもなかなか売れません。あるいは価格競争で苦しくなっていくだけです。
一方、まだ満たされていないのは精神的欲求の領域。
人々の「心」です。
まだ満たされていない「心」を満たすために、デザインが重要になるのです。
なぜならデザインとは色や形によって人の心を操作する事だと言えます。
デザイナーはそのデザインを見た人使った人の「心」がどうなるかをずーっと考え続けている職種です。
人の「心」を満たす専門家ともいえるデザイナーを、もっと経営の上流に参画させよう!ということなんです。
デザイン経営の認知度はまだまだ低いです。
しかし、爆発的な効果があると共に、前述の社会背景から、
近い将来には当たり前の手法になっていくんじゃないかなと個人的には予想しています。
まとめ
いかがでしたか。内容をまとめると次のようになります。
・デザイン経営とは「戦略」にデザインを取り入れること。単にオシャレなロゴや商品をつくることではない。
・デザイン経営は「ブランドを構築すること」「イノベーションを起こすこと」の取組みに分けられる。これらによって圧倒的な競争力を得られる。
・デザインが有効なのは「モノ」でなく「心」の時代であるため。デザイナーは「心」を満たす専門家と言える。
「デザイン経営」は抽象的でなかなか伝えにくい概念なのですが、
この記事を通して少しでも整理されれば幸いです!
このブログでは経営戦略やデザインに関する記事をアップしていきます。
更新頻度は少ないですが、その分しっかり推敲して、読むに値する良質な内容を提供していきたいと考えています。
次回は今回の続きである、デザイン経営の具体的な進め方を解説していきます。
また読んでいただけると嬉しいです!ぜひフォローお願いいたします!
◯執筆者について
もともとグッドデザイン賞等を受賞した一級建築士・デザイナーだったのですが、
ゼロから経営学を勉強・中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格)を取得し、
今では「デザインに強い経営コンサルタント」として、中小企業をサポートするコンサルティングをしております。
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