チラシは入口に置くな!~銀行の「マーケティング」と「営業企画」の教科書~
ATMコーナーにチラシを設置するとき、どこに置くと効果的でしょうか?
「銀行」の話ではありますが、小売店等のみなさまにも参考になると思いますので、ぜひ最後までお読みください。
昔、「千円札は拾うな(安田佳生)」という本がベストセラーになりましたね。
この本を思い出して、「チラシは入口に置くな!」というタイトルをつけてみました。
ATMコーナー、チラシはどこに置く?
銀行窓口への来店顧客数は、ここ数年間で大きく減少しています。
一方、ATMコーナーは、キャッシュレス化が進んだとはいえ、それほど減少はしていません。
従って、ATMコーナーは、依然として、お客さまとの重要なタッチポイントです。
ここで、みなさんに問題です!
Q ATMコーナーでは、チラシをどこに設置するのが正解でしょうか?
① 入口付近
② ATMの前
③ 出口付近
正解は・・・
「③出口付近」の圧勝でした。
実は、この問いを自分で設定し、自分で答えを導いたすごい行員(Aさん)がいました。
Aさんは、実際にチラシを3ヵ所に設置し、毎日チラシの枚数を数えたのです。こういう小さなPDCAを現場で廻せるのは、手前味噌ながらすばらしいと思います。
なぜ、「出口付近」が効果的なのか?
研修等で銀行員にこの問いを行うと、概ね「②→①→③」の順番で手が多く上がります。
銀行員の考えるイメージと、実際のお客さまの行動には大きな乖離があるのです。
お客さまを観察することで、新たな気づきが得られたよい事例だと考えています。
最近は、スーパーマーケット等で、顧客の回遊や手に取った商品をAIカメラが分析する取り組みも行われていますね。
では、なぜ「出口付近」が最も有効だったのでしょうか。
この答えを導くには、お客さまの深―――い潜在意識を理解する必要があります。
お客さまは、ATMコーナーに、目的を明確に持って来店されます。
つまり、「お金を下ろすぞ!」「振り込みするぞ!」といった意識でATMコーナーに入ってきます。
この点は、「何か素敵な商品はないかなぁ」とウィンドウショッピングする感覚とはまるで違うのです。
明確な目的意識を持って来店されたお客さまが、自分の目的を果たすまで、他のことが頭に入ってくるでしょうか?
実は、多くのお客さまは、まったく頭に入ってこないのです。
一方、出口付近ではどうでしょう。
目的を果たしたことで、他のことを考える心の余裕が生まれます。
「そういえば『NISA』のCMよく見るな。はじめてみよっかなぁ」
「振り込みアプリでできるなら便利かも」
そんな気持ちで、ついでにチラシを持って帰っていただけるのです。
チラシの持ち帰りを劇的に増やす!必殺技
さて、ここで終わらなかったのがAさんのすごいところ。
さらにチラシを多く持って帰っていただくにはどうすればいいか・・・
そして「ドン・キホーテ」で買い物をしているときに思いつきました。
「これだ!!」
そうです。手書きのポップです!
Aさんの予想通り、これでチラシの持ち帰りが2倍に増えました。
ただ、あれ可愛い女の子の字だったら、3倍になったはずなんだけどなぁ(笑)
おわりに
いかがでしたか?
銀行でも、お客さまを観察し、深層心理に迫ることが大切だということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
また、今回はAさんの現場力で新たな気づきを得ることができました。こういった現場レベルのPDCAを後押ししていくことも、企画業務に携わるみなさんには必要なことですね。
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