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怖い話

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#怖い話

思い出の樹の洞(怖・短編小説)

『ここの奥に秘密の場所があるんだ!!』

『すっげぇークワガタ獲れるんだぜー』

『あれ〜ここの木にでっかい《穴》があったのに、、セメントで埋められてる、、』

『あ〜あぁ〜、、がっかり、、』

子供の頃は一人で虫を獲るのが大好きで、公園、墓地、神社、城跡、木の生えている場所をいつもタモを持って歩いていた。

特に山城跡の奥にある大木には大きな人が入れる程のうろがあり、そこから滲み出る樹液にクワガ

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見えなくて、見えていなくて(怖・短編小説)

いつからだろう、、子供の頃、、から、、物心がついた頃から、、人と接する様になった頃から、、

コップの中から虫がウジャウジャ出てくる様になった。

水道の蛇口をひねっても虫が出てくる。

ソースを出しても、

靴を履く時も、

お風呂に入る時も、

勿論それは人の顔も同じで、

目も鼻も口も耳も、漏れなく虫が出てきている。

そんなことには慣れてしまい、見た目虫のコーヒーもお茶も飲めるし、ラーメン

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横断歩道(怖・短編小説)

《あれ、、今日も見ないなぁ〜》

いつも通勤の時に必ず小さな可愛い女の子が、手を上げて横断歩道で待っていた。

僕はいつも横断歩道の手前で車を停車して、女の子が渡るのを見ることが日課になっていた。

同じ時間に同じ行動、、女の子とのシンクロ、、僕のささやかな癒しだった。

しかしある時から女の子は見かけなくなった。

引越したのか、何か世界が変わってしまったのか、、

最近僕も《時空の歪み?》を感

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