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【未来の教育 No.4】生徒の自己効力感を高める 「利他的GIFT」

これまでNo.1のnoteでは、私が実施した授業の概要を。No.2, 3のnoteではその授業における①仕掛け ②エッセンス ③そこで得られた効果を説明してきました。

今日のNo.4の日記はNo.2,3の続きでありその最後であり、授業で達成したかったことに直接つながる仕掛けを書いていきます

私の現在の研究テーマが「自己効力感」です。

自己効力感とは、結果を生み出すための行動を上手く実行できるかという個人の確信のことです。簡単に言うと、何かをやるときに「俺は出来るぜ!」と思える能力のことです。

VUCAと呼ばれる昨今、2,3年後の未来に何が起きているのか、10年後まで使えるスキルとは?を先読みすることは非常に困難です。そんな中で必要となる資質として「自己効力感」があるなと考えました。

自己効力感が上がっていれば、先に何が起きてもまず「まぁ、なんとかなるだろう」と考えることが出来ます。そして腐ることなく「自分なら、こんなことが出来るんじゃ?」と次のステップを考えることが出来ます。交流する人も、同世代だけではないですし、日本人だけでもないです。うるさいオジサンに対しても「この人は、でもこういういい所もあるよね」って見つけることが出来るし、文化が違う外国人に対しても「私達の価値観を押し付けるのではなく、相手の価値観を理解しょう」と、人は人・我は我のスタンスで挑むことが出来るようになります。

最初この「自己効力感」というキーワードを聞いた時に「これだ!」と思ったことがあります。自己肯定感という言葉の方がメジャーかも知れないですが、例えば親が金持ちで何もしなくても生きている子供が「私は親の資産で暮らします。働きません!」と思い込むことも自己肯定感の一つです

それでいいのか?

自己効力感は、自分が何かやるときに「俺は出来る!」と思えることです。
VUCAの時代、人々はその時代に沿った価値観を社会に対し生み出していくことが必要です。
その為には、新たなことにどんどん向かっていける「自己効力感」の方が大事だと、私は考えたわけです。

また前置きが長くなりましたが、その自己効力感を上げる一つの方法が「他人にGIFTを贈る」ことだと、私の論文では書きました。

このシンプルなステップを、授業に入れ込んでいけば、自己効力感が高い生徒が生まれやすくなります。

では、いつも通りに

①仕掛け
②エッセンス
③そこで得られた効果

の順で説明していこうと思います!

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①仕掛け

至ってシンプルで、前回紹介させて頂いたHiNT for 2050のワークを行った後に相手にGIFTを贈るだけです。GIFTとはいえ、モノではありません。気づきや・相手の良い所を褒めてあげること、それをメッセージとして仲間に贈ることです。

授業の後半ではHiNT for 2050を見ての気づきの共有、それを基にした描きたい未来、そしてその中における自分の役割をみんなで話し合います。その時に当然「それいいね!」であったり「そのカードから、そういう発想になるんだ。面白いね!」という言葉を贈りあったりします。それを、授業の最後に少しだけ整理して、1行,2行のメッセージで相手に贈ることです。

仲間に、多くのGIFTを贈れば贈るほど良いので、例えばMicrosoft TEAMS(C) を活用して、授業外の時間にお互いのアイディアを見て「そのアイディア、思いつかなかった!」とか「さっきの〇〇さんの指摘、すごく気づきがあった!」というように贈りあえば、さらに効果は高まります。

②エッセンス

2つあります。
一つは「仲間と深くコミュニケーションし他人と異なる自分に気づく」ことです。他人を褒める時って、自分には思いつかないことであったり、自分より優れているところであったりを褒めませんか?そしてそれは、相手の事をしっかり理解してあげないと贈ることが出来ませんよね。

そのような思考プロセスを経ることで、逆に自分自身の個性に気づくことが出来ます。当然、他人の良さも気づけます。深く考えることで他人の良さに気づき、自分の良さ・個性にも気づくことが出来るのです。

もう一つは「他人に恩を贈ることで自己効力感が高まる」です。
他人に恩を贈ることって、勇気要りませんか?

そもそも日本人は特に相手にモノを贈るときも「ツマラナイものですが」といってへりくだる文化があるかと思います。逆に米国なんかは「これ俺がめっちゃ好きなもの!絶対美味しいから!」と言って贈りますよね。自己効力感の高いこと(笑

学生同士のやり取りでも「これイイね!」とか「こういう所が良かった」とか言ってもひょっとしたら「知っているよ!」とか返されたり、なんとなく恐怖心があるのかもと感じてます。それを克服する為にも、相手を褒めることを習慣化させることで恐怖心を乗り越え、自己効力感を高めることが出来ると考えています。

③そこで得られた効果

効果は下記の4点です。

  • 自分独自の考え、個性を理解する

  • 他人の個性・良さを見つけることが出来る

  • 他人へ、気持ちを伝える自信がつく

  • 自分に正直になることが出来る

正解の無い問いだからこそ、自分の考えを存分にぶつけることが出来ます。
すると「あれ、私が思う幸せとAさんの思う幸せが違うぞ」であったりに気づき、そこで自分固有の考えを発見できます。同時に、他人の良さ、特有の考えなんかも見つけることが出来、他人を尊重できます。

GIFTを贈ることで、他人に気持ちを伝えつつ、恐怖心を乗り越えて相手に自分の想いを伝えます。結果、正直になることが出来ます。正直になれば、社会のしがらみなども気にせず「私、これがやりたいんだから」という発想を持つことにも繋がると考えています。

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以上がGIFTメッセージを贈ることの効果でした。

相手の事を真剣に考えて、相手に贈ってあげること、私はこれを「利他的GIFT」と呼んでいます。GIFTって実は結構複雑な構造をしています(詳しくは、東京工業大学の中島先生の文章もご参考ください)。

相手に押し付けるのではなく、ふと気づいたことを相手に贈ってみる。
日本人独特の思いやりの優しさで、相手にそっとメッセージを贈ることが、利他的GIFTに繋がると思います。ぜひ、グループワークの最後などに、この仕組みを入れてみてください。

最初に申し上げましたが、No.2,3,4を通じ私の未来想像・創造授業におけるトリックはあらかた語ることが出来たと考えています。

これらを授業に入れることが大事なのですが、大切なのはこれらを「説得力を持って、生徒に行うことが出来るかどうか?」です。

時代はVUCAですと先生が言ったとしても「先生、VUCAの波にのまれた経験あります?」であったり「ICTが大事だ」と言ったとして「先生ICTを社会にインストールしたことあります?」と言われても、実際の経験があればそれを基に語ることが出来ますが、無いとなかなか生徒に言い負けてしまうこともあるかと思います。正論をキツく語るのも一つのやり方ですが、生徒に嫌われる可能性もあるのかも知れません。

なので、【未来の教育No.2】でも書いた、社会人のオトナをぜひ巻き込んで貰えればと思います。少なくとも10年以上働いている人であれば、デジタルトランスフォーメーションの波は経験していると思いますし、ビジネス経験を話すことも可能かと思います。説得力のあるタイプのオトナを連れてくることをお勧めします!

今日はここまでです。
もしご意見・ご感想などありましたらぜひよろしくお願いします!
次回は、私が今取り組んでいる内容についても語ろうかと思います。
合掌。

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