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小説

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恋愛小説中心。大人な恋愛を書くぞ!という意気込みで書いています。大体短編。
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記事一覧

【短編小説】悪い夢を待ちわびて

【短編小説】悪い夢を待ちわびて

食べる夜は、今日こそくるだろう。

真夜中に梅干しを食べ、洗濯物を干し、爪を切って口笛を吹いた。
したらいけない、と言われる言い伝えをありったけ破った。
異様なうしろめたさを感じながら願う。
悪い夢を見ますようにと。

私が待つのは獏。夢を食べる獏。
鼻は象のように長く、体は豚のように丸々としている。
たてがみは雄ライオンのように雄大で、人間のように黒目が小さい。
シマウマのような縞模様の足、なぜ

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【短編小説】鍵の温度は36.8℃

【短編小説】鍵の温度は36.8℃

──消えた鍵はたぶん、あそこにあるはずなんだけど。

通勤ラッシュ。地下鉄の中。スーツを着た人たちの頭頂部を視界の端に感じながら、真っ暗な景色に映った自分の顔を見て大きく息を吐いた。
少し、ため息に似ていた。不幸の空気に包まれた気がして反射的に息を吸い込む。
最近あまり眠れないことが原因なのか、窓ガラスに映る私は見るに堪えないほど疲れ果てた顔をしている。
安い照明を上から当てられたせいで、いつもよ

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【短編小説】クジラと一緒に沈む街|#シロクマ文芸部

【短編小説】クジラと一緒に沈む街|#シロクマ文芸部

街クジラの寿命は100年程度だという。

「そろそろ、このクジラともサヨナラかあ」

同じクラスのユキと一緒に、海に繋がるクジラの端に立っていた。
何人かの男子生徒が命綱をしながら海水浴を楽しんでいる。
ユキはそろそろ来るはずの大事件を前にしながらも、のんきにあくびをしながら潮風を浴びていた。

「新しいクジラの上にも、学校あるかな」

ユキが不安そうに言う。一歩前に出て、ぱちゃんと水面を蹴った。

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【短編小説】メロンパンみたいな恋だった

【短編小説】メロンパンみたいな恋だった

ふらりと入ったパン屋さんで、メロンパンを見つけた。
「私には甘すぎる」という理由でいつの間にか遠のいていたメロンパン。小学生のころは毎日のように食べていたのに。

人気NO.3と書かれた赤い札を見たら、自然とトングが動いた。挟むと下のほうだけやわらかくて、沈む。雲をつかんでいるみたいだった。十数年ぶりのメロンパンをトレイに乗せてレジへ向かう。

透明なポリ袋に入れてもらって、ショルダーバッグの一番

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【短編小説】いつか結婚したい男と結婚にこだわらない女の話

【短編小説】いつか結婚したい男と結婚にこだわらない女の話

「無駄ってなんだよ」

さっきまで彼氏だった男が、こちらを睨みつけている。

「だって無駄じゃない? 拓ちゃん、結婚する気ないんでしょ?」
「今は、って話だろ。これからしたくなるかもしれないじゃん」
「でもそれって、したくならないかもしれないでしょ」

カチッ、カチッ。
知らないラブホテルの名前が書かれたライターの、フリントホイールを何度も回す。

つかない。

舌打ちをしようとしたのに、咥えたタ

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ラッキーナンバー(ショートショート)

ラッキーナンバー(ショートショート)

 幼稚園バスから降りる子供たち。手の甲には、皆数字が書いてある。
 一桁の子、二桁の子、三桁まではさすがにいないけど、みんなそれぞれ自分の甲を、誇らしげに母親に見せる。
 この数字は、縄跳びの連続跳躍回数。年少クラスの目標回数は、50回らしい。

 子供たちの中で一番背が高い娘の早紀が、浮かない顔でゆっくりとバスの階段を下りてきた。娘の手の甲を盗み見る。数字は「1」だ。
「おかえり」
 落ち込んで

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ルイ13世(ショートショート)

ルイ13世(ショートショート)

今日はなんだかついてない。

仕事はちょっとしたミスが続き、上司にも怒られて気分が沈む。

大きなミスを1回するより、小さなミスが10回続く方が、落ち込む。

ーーお酒でも飲めたらな。

父親に似てお酒がなかなか飲めない私は、同僚がよく言う”酒で嫌なことを忘れる”なんてことはできなくて。

経済的なのはいいけれど、なんだかちょっと損した気分。

少しならいけるんじゃないか。

そんなよくわからない

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