僕は超高齢社会を肯定的に捉えたい。歳をとることは罪なのか?
僕は超高齢社会をテーマに写真を撮っています。
きっかけは学生時代。ニュースの特集で高齢者が多く、孤独死が多発することで有名な団地が取り上げられていたのを見たことです。
ニュースには住民がひとりも映らず、ただ専門家が淡々とここは高齢者が閉じ込められ、寂しい場所と説明するばかり。
僕はそれを見て、歳をとることが少し怖いなって思ってしまいました。
その団地が気になって、すぐに足を運びました。そこには当たり前ですけど、多くの住民が暮らしていました。
ある日、認知症の老夫婦に甥っ子と勘違いされ、部屋に招かれました。そこには人の営みがあり、人の匂いがあり、温もりがありました。
ニュースでは見えなかった高齢住民のひとりひとりの顔が見えたのです。
少し気持ちが楽になりました。ホッとしました。
僕はニュースなどで高齢者が歳をとることが罪みたいに表現されたり、寂しく伝えられたりすることがとても嫌でした。
僕たちも歳を重ね、いずれは高齢者になります。自分が将来ネガティブに伝えられたら絶対に嫌です。
超高齢社会、長寿化がはある側面では豊かさの現れだと思います。
だからニュースで一部を切り取り、負の側面にばかりフォーカスを当てることに違和感を覚えました。その違和感は新聞記者として報道に携わるようになり、より強くなりました。
新聞記者を辞め、超高齢社会を肯定的に捉えた作品を写真で作り、社会に問いかける挑戦をしたのです。
ひたすらカメラのファインダー越しに、高齢者を撮り続けました。シャッターを切り続け、1万枚以上の写真になっていました。
多くの高齢者に喜ばれました。多くの笑顔をファインダー越しに見て、撮りました。
マスコミは取材し、撮れ高が納められたらすぐに撤収します。そして大抵の場合、次に訪れることはないでしょう。
僕はこの団地の老人会の準会員です。離れることはありません。コロナでイベントは軒並み中止、今は団地へは足を運べていませんが、細々と繋がっています。
超高齢社会を肯定的に捉えることで、歳を重ねることを前向きに捉える。自分の写真を見て1人でもそう思ってくれたら嬉しいです。
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