自分のミッションの明確化(2)

前回の投稿では、自分のミッションの明確化について考えました。
https://note.com/fujimotomasao/n/nca4de105b6c0

10月4日の日経新聞に、「先進国に移民減の危機」という記事が掲載されましたが、同記事が自分のミッションの明確化と関連付けて考えられる内容ではないかと感じました。
同記事の主な内容は、以下の通りです。

・世界的に「反移民」の機運が高まっていたところにコロナ禍が重なった。毎年、新興国から先進国への人の移動(移民)が発生していたが、大きな転機を迎えている。
・その結果、先進国の人口は来年から下り坂に入る可能性がある。
移民の多い国・地域は1人当たりのGDPが高い傾向がある。今後先進国で人手不足が進むと同時に、経済成長の減速が懸念される。

日本や韓国が人口減少に突入したのに対し、カナダや米国などでは現在でも人口が増えていますが、その多くは移民と移民の子孫によるところに依存しています。コロナ禍で人の流れが止まるとなると、遠くない将来人口減少に転じてもおかしくありません。

国内の総生産量であるGDPが、移民が多い=人口が増加するほど増加するのはうなずけますが、「一人当たり」GDPまで高いのはなぜでしょうか。人口減少国であっても、生産性を高めることで「一人当たり」の指標は上げることが可能なはずですが、同記事によるとそうなっていないようです。人口増加国、それも移民により人口が増えている国が、「一人当たり」も上がっているということです。

なぜでしょうか。
様々な要因が想定され安直に結論が出せるものではないですが、私は一つの仮説として、「移民人材のほうが、自分のミッションを明確化できているから」ではないかと考えています。

私は以前、様々な国から来日する外国人人材の受入に関連する仕事をしていたことがあります。その多くは発展途上国から来日してきた人材でしたが、実感値として、いわゆる経済発展をしていない国の出身者ほど来日の目的・学習意欲が高い印象がありました。アジアの中でも、特にラオス・ミャンマーが当てはまりました。

(今ではまた状況が少し異なるかもしれませんが)当時ミャンマーから来日できることができたのはごく限られた人材のみでした。おそらくそのこともあり、当時ご一緒したミャンマー人の、日本で見聞きするものすべてを吸収しようという目の鋭さ、自らの意思・意見を明確に持つ軸の強さ、それでいて助言や学びを柔軟に受け入れる素直さなどの傑出したバイタリティが、今でも忘れられません。

その根底にあるのが、「自分の職業人生におけるミッション(使命、存在意義)」にあると感じていました。自分の職業生活のあるべき姿、ありたい姿が、自分の言葉で明確に語れるのです。「いつか帰国し、○○で国を変えたい」という人もいれば、「とにかく稼いでできれば家族を呼び寄せ、家族の生活レベルを上げる」という人もいました。ミッションは人それぞれで、どれが正解というものではありませんが、確かなのは「非常に力強くて明確なものを持っている人が多かった」ということです。

このような人材が活躍することで高い生産性を実現し、それにつられて国全体の一人当たりGDPの値が上振れする、そのボリュームが移民受入大国では大きい、というのが、要因の一つではないかと思うわけです。

いわゆる経済発展を一定程度終えた先進国で生まれ育った人材は、どうしても発展途上国で生まれ育った上記のような人材に比べて、自分のミッションを明確にしづらい環境にあるでしょう。しかし、その中でも、自分のミッションを明確化し、高い理想を掲げて社会に大きな影響を与える人材が輩出されているのも事実です。先進国で生まれ育ってもそれは可能だということです。ただし、相応に意識的・計画的な取り組みをしないと、自分のミッションの明確化は難しいと思います。

<まとめ>
自分のミッションの明確化は、社会の発展に通じる。


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