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人・組織・経営の最前線

先週から今週にわたって、「日本の人事部」が主催する「HRカンファレンス」が開催されています。計5日間で数十の講演・ディスカッションのプログラムがあり、そのすべてへの参加は困難ですが、私も一部プログラムに参加しました。

「カンファレンス」は、会議・協議会・相談・協議・連盟などの意味合いがあります。日本の人事部によると、HRカンファレンスは「多くの人が集まり、一つのことについて話し合い、方向性を見出す場。日本の「人・組織・経営」について、多くの経営者、管理職、人事担当者が集い、共に考える、日本で唯一の場」と説明されています。確かにその通りで、毎年参加するたびに人・組織・経営の最前線と、その変遷を感じます。

実に様々なテーマのプログラムで構成されていましたが、一連のプログラムを通して私なりに感じたことが4点ありました。以下に整理してみたいと思います。

1.コロナ禍の環境における新常態を前提とする
昨年までとの違いで最も目立つ要素が、やはりコロナ禍の環境を踏まえているという点です。特に、テレワークをはじめ、メンバーが同じ場所に集まらない(集まっても限定的にしか集まらない)前提でプロジェクトマネジメント、チームマネジメントで成果を上げていくにはどうしたらよいか、という視点が、どのプログラムでも盛り込まれていました。

既に各所で言われていることですが、「仮にコロナが収束してもコロナ前の就業環境には戻らない」という前提で、採用から退職に至るまでの人・組織・経営マネジメントについて考えていく必要性を、改めて痛感した次第です。また、コロナ禍の環境で取り入れるべき具体的な方法論について、「採用」「評価」「情報共有」など各分野において専門性を蓄積して対応できるベンダーが相当数存在していることも実感しました。これらのベンダーは、経営・人事部門にとって今後心強い存在となっていくでしょう。

2.ベンダーとの積極的な協業を目指す
人・組織・経営で成果を上げていると話題になり、メディア等でも時々取り上げられる企業があります。そうした企業の事例が同カンファレンスでも紹介されたのですが、外部のベンダーと積極的に協業している印象を改めて受けました。

話を聞く限りは、講演者である経営者や人事部門の責任者も、相当な知見とノウハウをお持ちです。ベンダーの力を借りずとも、自社内で内製してもそれなりに取り組みを進められるようにも見受けられますが、逆にそうした企業ほどベンダーを意欲的に使っているように感じます。自社の人・組織・経営の方針・戦略策定に知見を持ったブレーンとして参画してもらう、方針・戦略が定まった後の各テーマの実行フェーズに参画してもらう、あるいはその両方など、企業のステージや予算等置かれた事情により様々だと思います。その上で、成果を上げていてよい組織状態の企業ほど、目的感を明確にしたうえで外部ベンダーを活用している印象です。

3.各メンバー・チームが果たすべき機能を極めていく
「生産性向上」があらゆる企業・組織の重要課題となっています。その中で、個々のメンバーやチームが、最も強みを発揮し生産性で貢献できる機能を見出し、その機能に活動を集中させていこうという流れを感じました。例えば、自社における定型業務と非定型業務を切り分けて、非定型業務は社内のベテラン正社員に割り当て、定型業務は新入社員、一時雇用の人材や外部の専門会社に任せることです。

あるいは、現場の営業担当は顧客の問題解決機能に特化し、営業事務業務は事務センターに集約して任せる、人事部は人事戦略や人材開発の企画の機能に特化し、ペイロール機能(給与関連業務)はすべて外だしするなどです。

正社員として雇用する人材が、いつまでも定型業務に従事していては生産性が上がりません。人材育成目的も兼ねて新入社員に任せたり、定型業務を正確で速く実行できる派遣社員や外部ベンダーに任せたりする方が、生産性が上がります。派遣社員や外部ベンダーを使えばその分見た目の費用はかかりますが、中長期的な観点では組織全体及び一人当たり生産性は高まります。この点について強化・徹底が急務であるという示唆が、各プログラムで見受けられました。

このことは、各機能が部分最適を追求していくことを意味しません。全体最適を構想し、実現するという機能を果たす人材やチームがあることが前提となっています。

これからの経営・マネジメントにおいては、上記の必要性がますます高まっていくであろうことを、同カンファレンスを通じて改めて感じた次第です。
4つ目については、次回のコラムで取り上げてみます。

<まとめ>
社内外のリソースと協業し、各人が最も貢献できる機能を極めていく。

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