マガジンのカバー画像

小説入れ

49
書いた小説を置いておくところ
運営しているクリエイター

#2000字ジャスト

小説:イグニッションガール 【2000字ジャスト】

「低気圧ぶっころす」と、私は目が覚めると同時に呟いた。 パジャマにしているパーカーのフー…

94

【小説】 ラテ

庭にときどき猫がくる。 餌を与えたりはしないし、名前をつけたりもしない。 ただそこにいるだ…

3

小説 : アフリカの山羊座【2000字ジャスト】

「今朝あなたの星座最下位だったわよ」と、事務所のドアを開けるなり先輩が言った。 殺意とま…

1

小説:絶つ鳥【2000字ジャスト】

階段を一段上るごとに、テキーラの匂いは強くなった。 できることなら胃の中のものをすべて吐…

4

【小説】なし太【2000字ジャスト】

なし太は自分の名前が嫌いだった。 漢字で書けば果物の梨なのだけれど、瑞々しく生命力のある…

4

【小説】花【2000字ジャスト】

時すでに私は発狂していた。 私はそう思うのだけれど、それは誰が決めるのだろう。 周囲が決め…

1

【小説】私が夏になる【2000字ジャスト】

耳を塞ごうかと思ったけれど、よく考えてみればとくになにかの音がするわけではなかった。 止まらない汗、ファンデーションの滝、水分は補給したかな、えっいま私臭くないよね、帰りたい、気温何度だよ、隠す気のない丸出しの太陽、日焼けしたくない、帰ってシャワー浴びたい、ビール冷やしてたかな、帰りたい、はやく帰ってシャワー浴びて半裸でビール飲みたい、営業所に戻って伝票整理してるうちになんとなく涼しくなってしまいたくない、このイライラを保ったままアパートに帰って一気に発散させたい、帰りたい。

【小説】猫のけつの話【2000字ジャスト】

僕がいつものように縁側で天井の木目を数えていると、網戸の向こうから猫の鳴く声がした。 い…

2

小説:クロムレイン 【2000字ジャスト】

夏が始まろうとしていたけれど、私はすでに夏の終わりのことを考えていた。 なぜなのかはわか…

小説:EMBERS

取調室は、映画やドラマで見ていたものとは随分様子が違った。 顔を強く照らすためのライトも…

小説:血の涙たちよ、いま踊れ

「こんな景色なんて」と呟いた僕は、忌々しく積もった雪にスコップを突き立てた。 必要以上に…

4

【Ouka】 最終話.サンダーボルト・ハイパーガール

カフェのテラス席には、モネが描いたかのように柔らかな光が降り注いでいた。 私は時折キーボ…

4

【Ouka】 9.イグナイター

「目にひじき入ったことあるんだよね」 遠くを見つめながらそう言ったナガセを私は二度見した…

3

【Ouka】 8.雷鳴、再び

父が入院してから、私は心というものについて考える時間がすこしだけ増えた。 わからないことは本で知ることにしていたのだけれど、対峙した相手の心について書かれた本は存在しない。 心理学などの本は読みたくなかった。 どうしても人の気持ちをカテゴライズして分析するような事はしたくなかった。 私は身近にいた父の心のことにすら気付けないでいたのだから。 夜、ナガセが眠る前に私にかけてくる電話が楽しみだった。 用事なんてない。 内容もない。 ただ意味のない冗談を言い合ったり、時には会話す