GLIM SPANKYが好きだよという話

GLIM SPANKYの新譜が発売されましたよ!というわけで早速聴いている。
アルバムの詳しい感想はまた次の機会に、ということで今回は僕がGLIM SPANKYをいかにして好きになったかとか、どうやって好きになっていったか、というような話をしようと思う。

初めてGLIM SPANKYを聴いたのは就職活動をしていたときのことだ。出版社の筆記試験対策で、集英社の映像化作品の主題歌を調べていたとき。集英社の『不能犯』の主題歌がGLIM SPANKYの『愚か者たち』だった。
バイト先の館のタリーズのwifiでMVを観た時はそこまで強い衝撃を受けたわけではなかった。でもあの瞬間は今でも思い出せるし、僕の中に深く残されている。その後アルバムを聴いてみて(それは多分『SUNRISE JOURNEY』だったと思う)それ以来ずっと好きだ。

『SUNRISE JOURNEY』『NEXT ONE』はかなり好きなアルバムだ。全体的に漂う孤独な旅人の雰囲気がたまらない。この頃の曲には、聴いていると旅に出たくさせる効果がある曲が多い。『BIZARRE CARNIVAL』にもこの雰囲気を感じさせる曲が収録されている。
『LOOKING FOR THE MAGIC』は過渡期にあるようなアルバムだ。その後の『Walking On Fire』や、今回の『Into The Time Hole』では、旅先の夕日や海、はたまた荒野、夕暮れ、星空、朝焼け、バス停、駅、港、車、ペーパーバック、ぼろぼろのカバン……そういったものたちはなりをひそめている。代わりに感じられるのは都会の埃やガスの匂いだ。

こうやって並べてみると一人の人間の人生を追っているようである。地元の田舎を飛び出て、かと言って街に向かうでもなくどこか遠くへとあてもなく放浪する旅人。そんな人間が都会にたどり着き、そこで抗っている。
不思議なのはそうやって彼らの環境が変わり(売れたりとか)作るアルバムの雰囲気が変わっても、変わらず好きでいれるアーティストだということだ。
自分の環境が変われば作る作品だって変わるし、ものすごいスピードで移りゆく世間に自分たちの楽曲を聴かせるためにはそれに合わせて変化することも必要である。そして彼らもその例に漏れず常に変化し続けていて、アルバムの雰囲気もそれに合わせて変わっている。
だから前までは好きだったけど最近の〇〇の曲はあんまり好きじゃないんだよね、なんて離れていくファンがいて、逆に新しいファンを獲得したりしていくのだろう。僕もそういうタイプである。
ところがGLIM SPANKYのアルバムは、七年間のうちに発表された六枚全てが好きだ。それはきっと、曲の雰囲気こそ変わっても、曲自身が持つメッセージに一貫したものがあるからだと思う。
それは何かに対する反抗の姿勢であったり、自分自身を一番に考えろという喝であったり、過ぎゆく時間や移ろう景色、季節を慈しむ心であると思う。

曲の雰囲気だけで見れば、初期は旅先のテントや安宿で煙草の煙と一緒に聴きたいような曲が多い。最近の曲はどちらかというと夜の渋谷を歩きながら聴きたくなる。しかし歌詞は一貫して、先に述べたような考え方を変えない。だから僕は、すべての曲が好きなんだと思う。

学生時代にバイクに乗っていた理由の一つには、確実に彼らの楽曲がある。彼らの曲が歌うような場所を探して色々なところに行った。彼らの曲を聴きながら、九州の海沿いで沈みゆく太陽を眺めていたあの時間を忘れることはないだろう。船が出るまでのあのワクワクする時間、深く強い孤独に耐えていた時間、あらゆる時に彼らの曲があった。
僕は一旦都会の争いから身を引くけれど、次にまたここで戦わなくては行けないときにはきっと彼らの曲を聴く。眠れない夜にも、早く目が冷めてしまった朝にも。

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