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藤棚
2024年5月23日 20:54
眠りすぎたなきょうは目を逸らしたい色んなことが身体に巻き付いていたずらっぽく顔を覗き込むどこかの国の先住民はわざと髪を切らないってそれは歩みや歴史や考えを失わないためだって長い前髪で前が見えないやこれで太陽から隠れられたいつかはカーテンを開けて空の下歩き出さなきゃいけないよなあ動かなきゃ重たい腕で布団を押して笑わなきゃ嫌いにならないように動かなきゃ逃げる場所
2024年5月17日 23:06
恩師じゃないあの人わたしの笑顔を褒めた「みんなを幸せにします」少し信じててほとんど疑ってる親友じゃないその子わたしの笑顔を信じた「楽しそうで良かった」もちろん信じてそうしてほしかった関係ない気にしないなんてことない平凡な日痛くもないつらくもない要らなくないけど必須じゃないほらね平気だよ今日だってご飯も美味しい家族じゃないその人わたしの幸せを案じた「あなた
2024年5月4日 09:10
大雨の公園で20:30君が来てくれてたら訃報を聞いたの18:30君に電話ができてれば真っ赤なお風呂場 14:10君があの時見つけてくれたらわたしたちまだ若いけど10年はそんなに短くないですもしかしてを繰り返してもしかしなかった10年です待てないことは待てないです無口でシャイで臆病だからもしかしない君を許すけどわたしはそんな甘くないですスマホを置いたら洪水20
2024年4月15日 23:00
見たまま映せるらしい話題のカメラで撮ったってこの揺らぎはこの煌めきは残せやしないからこの瞳がレンズで瞼がシャッターならってその横顔やその指先を何度も捉えて目を伏せた陽の当たる縁側がすきだったざらついた木目をなぞって別に可愛がってなかった猫の背中、撫でたりして夏の間、蝉の音秋はオレンジの金木犀冬はストーブの香り春になれば紋白蝶本当にシャッターを切ってたから
2024年4月14日 23:12
約束はきらい階段のてっぺんから緩やかに地下へゆく赤色のスイッチ押したくないの一緒に行こうと言った国これでもう叶わないねいつにしようかあたしが聞いてきみがほら濁したんだよ真っ暗な要塞にひとり蝋燭に 照らされて包むのはあたしの荷物だけもう行くの、新しい空へ指切りはしない買えなくて縫った靴底じんわりと雨滲む青色の信号見えてもないのまっ黒な前髪の裏で白の砂浜
2024年3月10日 22:19
言葉にしなかったこと言葉になったことどちらかでしか褒めてあげられない言葉にできなかったこと言葉にできたことどちらかでしか何も伝えられない誰かの心に響くなにかを伝えられたことなんてほんとにあっただろうかひとつひとつを数えてはあまりにも思い出せなくてその人に心 使えたか今となってはわからないそっと 噛み締めてもしかして 読み返して言葉にしなかったこと言葉にな
2024年2月19日 07:42
誰かのいちばんになりたいんだってそろそろどうだい誰かに夢中になれたかい誰のいちばんにもなれないから閉じた氷の心 またみんなを好きなふりばかだねこっちを向いてみほら ぼくのものだよ全部置いて笑ってみほら ひとりじゃないよ誰かのありがとう浴びるほどほしいってそろそろどうだいあの子はそっちを向いたかい誰のありがとうを届けても満たないみたい底無しのポスト
2024年2月14日 09:03
銀色の龍に跨ってビルの間をすり抜ける朝黄色い模様が近づいて時速90kmで追い越す車窓に額近づけてガラス越しの肖像勝手に鑑賞して分析中分かった気になってまた分からなくなりそうで人のこと考える暇あるなら参考書でも開こうかもしも人生が物語なら始まりはいつも勘違いで届けられなかった呟きが頭の中でカッコ書きになってもしも私が主人公ならヒーローがきっと助けそびれて吐き
2024年1月12日 01:35
君の痛みを知ってる気がする僕もむかしねなんて言わないけど鼓膜から剥がせないセリフがあるんだ君の笑顔が引き攣ってるから行ったり来たり定まらないからきっと見えてるのは机だけだよね要らない役に立たないろくでもない必要ない聞こえないそうじゃない君はさ望遠鏡で見えた星しか信じられないんだろう届きやしない空の向こう掴もうとしてるんだろう僕はさ君の手を取り
2024年1月10日 23:31
柿の種みたいな下瞼泣いたからじゃないヨモギ花粉の季節なのだから目を擦っちゃったわけ昨日チャージしたモバイルSuica電池切れで通せんぼ 後退り冷ましたはずの麦茶熱いまま吐き出せなくて痺れた舌もう日が傾いてるのに胃が音を上げる午後3時絡まった糸解けないし脳働かす糖も足りない頭のなか日本語でいっぱい捨てても戻ってくるゴミみたいちょっと退いて1時間だけわたしそのソファ
2023年12月19日 11:29
わがままを言って好き勝手にしてくるくる回る目輝かせ気ままに愛してやがて捨て去る自由なマリーに見えるのね今日だって無表情枕に頬押し付けて笑顔の絵文字つきで実と嘘の労い送る唄えない夜肋骨が心臓を刺すひとりにしないでここにいてうまく息が吸えないから誰かが笑って相手も笑ってキラキラ揺れる目が眩しい望んだもの全部手に入れ安堵する強かな人ほど繊細今日だって無表情
2023年12月6日 10:13
ここはまるでニューヨークおそらく夢が叶う場所すれ違うひとを品定めあの子はきっと花開く歩いてみても走っても辿り着く場所ひとつだけ追い抜いてきたひと横目に息をついても続く道毎日がメリーゴーランド交わらない円周は平行線私の馬車には乗らないであのひとは薔薇であのひとは雑草だって関係ないうるさくてもう充分だよここはまるでラスベガスおそらく星が変わる場所勝ち続けるひ
2023年11月13日 22:51
もう痛くないよもう思い出さないしもうこれ以上きっと悩まないよ日曜の昼にテレビから流れる甲高い声が100年変わらない味だって嬉しそうに言ってる1ヶ月後の僕でさえ僕はわからないのにきみに出会ってから知った心臓に入ったヒビの痛み誰にも教えられないからきみにぶつけていたけれどもう良いかなって思うんだ今送ったらきみは読むかなもう話さないよもう思い出せないよもうこれ
2023年10月23日 23:29
白い息凍える爪先ポケットの中空っぽの手濡れた黒を踏みしめて街路樹の先へ明日のこと明日の自分に任せて今日はあの歌を口ずさむの冷たい風頬を掠める2月の東京まだ春は来ない黒い渦心に広がる開いた口塞いで飲み込む声光る画面また閉じて人波を泳ぐ今日この日をどう生きても日はまた昇るこの歌に救われるから月の明かり夜を照らす2月の東京まだ春は来