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#47 約束の効用

 みなさん、こんにちは。英語講師のふえです。
 みなさんはこれまでにどれくらいの約束をして、そのうちのどれくらいを守ってきたでしょうか?大切な約束もあれば、軽い約束もあります。相手と自分でその重みが違うなんてこともありますよね。
 さて今日は、学習や教育現場での様々な「約束」とその効果について考えていきます。


宿題という約束

 これは、多くの場合教員から生徒に対して一方的に取り付けられる約束ですね。「この日までに、この問題集のここからここまで、このようにやってきてください」という連絡事項について、生徒側の都合や考えが入り込む余地は一切ありません。となると、これは約束なのか?という疑いも生じてきますが、社会人になってもこちらの都合は完全無視で飛んでくる仕事はあるので…ね笑
 さて、以前の記事でも書いた通り、主に全員一律で出される宿題の学習効果は極めて限定的だと私は考えています。

 ただ、たとえ理不尽なものであっても期限を守るという練習にはなりそうです。そして、学校教育ではそういうところもある程度大事だったりしますね。

テストで〜点取ります!という約束

 これは以前勤めていた学校でのエピソードです。それまでの定期テストでは平均点に5〜10点及ばなかった生徒がある日、「次のテストは55点取ります!」と前触れもなく宣言をしてくれました。確かに、直前のテストは平均点を低く設定したこともあり、この生徒は45点くらいでした。私はこの宣言に対して「本当に50点でいいの?年度最後のテスト、もっと点数取りたくない?」と返し、「60点を取ります!」という約束に変更となりました。結果として、この生徒は平均55点のテストで68点を取ることができました。
 私としては、この生徒が実際に点数を取れるかよりは、そこに至るためにどんな努力をするかが気になっていました。観察していると、それまで以上にワークブックに取り組んだり、質問したりするだけでなく、授業内の活動にも精力的に取り組むようになりました。それを見ていたからこそ、私としてもこの結果はとても嬉しかったです。
 この約束の効果は、自分から宣言したことで引き下がれなくなったという部分にあります。教科担当にこれを宣言するということは、ある程度勇気がいることです。そして、この生徒のよかったところは、その達成のための行動を考えて実行できたというところです。達成できたという結果よりも、このプロセスには大きな価値がありますね。また、いつもより頑張らないと達成できない、ちょっとヒリヒリするような約束だったのも、行動に結びつける要因となったのではないかと思います。

三者面談における約束

 三者面談…あまり嬉しい言葉ではない人も多いですね。これもまた、約束が生まれる場所です。「夏休みの生活は…」とか「来学期は…」とか、今後の行動についての約束が、教員、生徒、保護者の間で交わされます。これがなかなか果たされないんですが、なぜだと思いますか?
 それは、この約束が安心のための約束だからです。生徒が今後の行動を宣言することでひとまずこの面談の場を丸く収められるのは、教員や保護者が安心できるからです。生徒のための面談ではあるのですが、実は教員や保護者が安心したいだけ、というのは深層心理としてはよくあるものです。
 お金がかかる塾や習い事を始めるとき「本当に続けられるの?」と子どもに問う保護者も多くいると思いますが、子どもの本当の答えは「わからない」のはずです。それでも保護者は安心するために「絶対続ける」という約束を聞きたいですし、その期待に応えるために、子どももそのように答えるわけです。空虚な約束なんですよね。
 この場面での約束は、良いか悪いかは別として、人を安心させる効果があるということです。

まとめ

 今日はいろいろな角度から約束について考えてみました。約束は時に強制であり、時に宣言であり、時に安心材料でもあるわけですが、自発的な宣言としての約束こそが、最終的な結果に結びつくと思われます。職業柄、様々な約束と関わることがありますが、強制しすぎず、自発的なものとなるように、生徒から引き出していきたいものです。また、その約束が果たされるのを見守ること、プロセスについて肯定することも必要不可欠ですね。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。みなさんの勉強に関する約束や宣言、それに関するエピソードもぜひコメントやインスタのDMでも教えてください。noteも引き続き毎週投稿していきますので、フォロー等もいただけると喜びます!

次回投稿は10月3日(木)正午の予定です。




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