月影筆理

プロの小説家を目指して奮闘中! 小説投稿サイト『ノベルアッププラス』にも小説を投稿して…

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プロの小説家を目指して奮闘中! 小説投稿サイト『ノベルアッププラス』にも小説を投稿しております。宜しければご一読ください。

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溢れ出るモノ

蒸し暑い夏の夜。俺はいつものようにベッドで寝ていた。幸い俺の部屋にはクーラーが付いているので、タオルケット一枚被れば程よい体温を保つことができた。俺は心地良い眠りを満喫していた。  深夜二時を少し回った頃、尿意を感じて目が覚めた。上半身だけムクっと起こし、無言のまま睡魔と闘う。数分の後、今にも爆発しそうな膀胱の悲鳴を聞き入れ、俺は自室を出た。  一階にあるトイレへ向かう為、階段の手摺りを掴んだ時、下の階から物音が聞こえた。 「……なんだ、夜中だぞ。まさか、泥棒か」  半信半疑

    • 『創作大賞2024』に応募しました!!

       お久しぶりです。月影筆理です。この度、私はnoteが開いている『創作大賞2024』にて、虎の子である『法善厳一郎』を応募する事にしました!!  こちらの作品は小説投稿サイト『ノベルアッププラス』にて連載していた『本格推理小説(自称)』となっております。まあ、あれです、初めて書いた本格推理小説なので形なっているか不安ではありますが、温かい目で見守って頂ければ幸いです。  それにしても……皆さんレベルが高いですね。圧倒されっぱなしです。でも、プロになる夢は諦めていません!!

      • 『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第六話 全容 【完】

         一通り警察の事情聴取を終えた三人は和田家の大客間で紅茶を嗜んでいた。天井から吊るされた豪華なシャンデリアが白漆喰で誂われた壁や天井を明明と照らし、腰高窓から差し込む橙色の夕日が絹製の白いカーテンと重厚感漂うダークブランのアンティーク家具を優しく包み込む。まさに癒しの空間である。 「やはり紅茶は良いね。心が落ち着くよ」  礼儀作法に倣い持ち手を摘むように紅茶を一口飲んだ厳一郎は、気品漂う仕草でカップをソーサーに戻し、ゆっくりと時間を掛けて開いた茶葉の香りを楽しみつつ、ホッと一

        • 『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第六話 反響

           地下シェルターは建築当時の面影を色濃く残していた。劣化した天井から吊り下がる白熱電球。染み出した水により所々変色した打ちっぱなしのコンクリート壁。郷田はスマートフォンのライトだけを頼りに、一歩踏み外したら一気に下まで転げ落ちてしまいそうな急勾配の階段を慎重に降りて行った。  十段から十五段ほど降りると、スマートフォンの明かりが平面のコンクリート床を捉えた。郷田は階段の一番下で立ち止まり、スマートフォンのライトを動かして周囲を確認した。目の前には見慣れたコンクリート壁が聳え立

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        溢れ出るモノ

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第六話 本題

           それから二週間後の六月上旬。梅雨前線が日本列島の南で猛威を奮っている頃。厳一郎の呼び掛けにより、関係者一同が時田家のリビングに集められていた。紺色のパーカーに黒のジーンズを履いた霧野文和と、可愛いクマのキャラクターが描かれたピンク色のTシャツに白いデニムを合わせた和田優希の二人は、顔を見合わせそわそわと身体を動かし、黒いスーツに身を包んだ東署の郷田刑事とその相棒の女性刑事──山田五月は、威風堂々とした佇まいで、花柄のワンピースの上に水色のカーディガンを羽織ったこの家の主、時

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第六話 本題

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第五話 遅くばせながら 三

           霧野は今日あった出来事を可能な限り順序よく厳一郎に話した。河川敷公園で和田優希に会ったこと……その後とんでもない相談を受けたこと……時田真奈の家に行き調査したこと……特に相談内容と調査報告に関しては漏れがないように注意を払った。 「……という事なんだ。何かわかったか?」  一通り話し終えた霧野は不安げな表情を浮かべ、厳一郎の顔を覗き込んだ。 「ああ、大丈夫だよ。ちゃんと順追って話してくれたから、何があったかは大方理解できた。それにしても……なんともまあ 判別の難しい案件だな

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第五話 遅くばせながら 三

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第五話 遅くばせながら 二

           霧野と厳一郎は駐車場の一辺に佇む竹垣の前へと辿り着いた。 「いつ見ても竹垣は風情があっていいねえ。まさに和そのものだ」  霧野は端から端まで続く竹垣を見て穏やかな口調で呟いた。 「この竹垣は竹を隙間なく紐で結んだ遮蔽垣と呼ばれる物なんだ」 「このってことは、他にも種類があるのか?」 「僕は専門家じゃないから全てを把握している訳ではないが、まず『透かし垣』と『遮蔽垣』の二種類に分けられて、そこから更に作り方や柄によって十五種類ぐらいに細分化されるらしいんだ」 「マジで! そん

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第五話 遅くばせながら 二

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第五話 遅くばせながら 一

           住宅街は帰宅を急ぐ車で溢れ返っていた。ミニバンや普通車や軽自動車が次々と現れては、各々の家に車を停めるため、路上で一旦停止し、ハザードランプを点けバックをする。その度に霧野は車を止め、様子を見守り、最後に互いに軽い会釈をして別れる。これを幾度となく繰り返した。  その後、長い下り坂を進み、住宅街の出入り口であるT字路を右折し、ようやく幹線道路に戻れた霧野はその様相を見て思わず、 「マジかよ……」  と情けない声を漏らしてしまった。無理もない。なんせ目の前の幹線道路には無数の

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第五話 遅くばせながら 一

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第四話 確証とは 四

           ここまで来たらやるしかない。よし、押そう。優希は意を決して黒いインターホンのボタンを押した。家の中でチャイムが鳴る。 はーいと言う聞き慣れた声が廊下に響き渡る。正直なところ、優希の心臓は今にも破裂しそうなぐらい、強く、早く、脈打ち、思考はとっくに活動を停止していたが、もう後戻りすることはできない。声出るかな? ちょっと不安。優希は喉の辺りを軽く抑えながら小さく咳払いをし、玄関が開くのを待った。  一方優希の後ろに立っていた霧野は家の外観をチェックしていた。瓦を用いた屋根に

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第四話 確証とは 四

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第四話 確証とは 三

           優希とともに西洋風門扉を出た霧野は、T路地になっている生活路を前に足を止め、周辺の建物を見回した。二階建ての家に和風の平屋、アパートやマンションに月極駐車場。みな生活路に沿って規則正しく並んでいる。だが、形式や外見は違えど共通している点も数多く見受けられた。あらゆるモノから愛車を守るために造られたガレージ、屋外で使用する道具がしまわれているであろう物置、木の温もりと色合いが調和するウッドデッキに見栄えの良い芝生が横たわる庭。 念願叶って夢のマイホームかあ。すげぇな。霧野が一

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第四話 確証とは 三

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第四話 確証とは 二

           霧野の車は優希の指示通り迷路のような住宅街を右へ左へと進んで行った。屋根も外壁もガルバリウム鋼板で出来た家屋や、まだ補助輪が付いた三輪車が置いてある二階建て住宅、庭によく手入れされた花や樹木が並ぶ平屋などを次々と通り過ぎ、やがて住宅街の端へ差し掛かった時、突然白く高い塀が姿を現した。 「なんだ? この大きな塀は?」 「それは私の家の塀です。そこを右に曲がってください。あとは塀沿いに進んで行けば入り口が見えてきます」  霧野は呆気に取られながらも、言われるがまま、Tの字で一旦

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第四話 確証とは 二

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第四話 確証とは 一

           小高い山の頂きを少し過ぎた辺りに十字路の交差点がある。左手には桜並木が続いており、昼間は陽光に舞う桜吹雪を、夜は提灯でライトアップされた夜桜を楽しむことができる。  右手には昔ながらの住宅街が広がっている。生活路も当時の様相をそのまま引き継いでいる為まあまあ狭く、車同士がすれ違う時は電柱の位置も気にしながら互いに譲り合い避けなければならない。これだけでも相当危険なのだが、更にまずいのは生活路の一つが県道とバイパスを結ぶ抜け道になっていることだ。その為にここは意外と交通量が多

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第四話 確証とは 一

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第三話 嵐の前の静けさ

          「じゃあ、待ち合わせ場所は、えーと、おばちゃん家に行くから、私のお家の近くにあるコンビニでいいですか?」  二人は大きなカフェオレ色の水溜りが散見する駐車場で、今後の予定を話し合っていた。 「コンビニは構わないんだが、最近そっち方面は行ってないんだよなあ。どの辺だっけ? 」  優希は身振り手振りを交えながら、河川敷公園から住宅街までの道のりと、そのコンビニが住宅街のほぼ中央に建てられていることを説明した。その甲斐あってか、以前行った時の事を思い出したらしく、霧野もだいたいの場

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第三話 嵐の前の静けさ

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第二話 悩み事

           おいマジか。思ってたよりもガチの案件じゃねえか。優希の話しを聞き終えた霧野は、顔を引き攣らせ呆然と立ち尽くした。優希の相談内容は次の通りである。    優希の家族は地元でも有名な高級住宅地に住んでいる。その向かい側に六十代になったばかりの時田真奈と同年代の夫、時田一男、四十代前半で一人息子の時田大輔の三人家族が住んでいた。優希は兄弟がおらず両親も共働きだった為、幼い頃から時田家に通い詰め、息子の大輔とは一緒にゲームをしたり、宿題を教えてもらったりと、本当の兄のように慕ってい

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第二話 悩み事

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第一話 巡り合わせ

          【あらすじ】  五月下旬のある日のこと。雨上がりの河川敷公園で日課であるジョギングを終えた霧野文和は、見ず知らずの女性──和田優希に声を掛けられ、ある相談事をお持ちかけられた。聞けば兄のように慕っていた近所の男性が行方知れずになってしまい七年の月日が流れたのだが、つい最近夜中に近所のコンビニに出掛けた時、その家の前を通ったら兄のように慕っていた男性の声が聞こえたと言うのだ。霧野は幽霊だと決めつけ怖気付いたが、優希を放っておく事はできず、二人で調査に向かった。しかし、結局何もわ

          『法善厳一郎 拾うは生者の反響』   第一話 巡り合わせ

          その可能性もあるか(*´Д`*)

           先程上げた『違うのよ(^_^;)』に関してですが、よくよく考えると、純粋に私の書いた小説を面白いと感じて『フォロー』や『すき』を押してくれた人もいるはず。  そうなると『フォローバック』しないのは失礼にあたるのでは? と思ったのですが、こういう時、皆さんはどうされていますか。    うーん……難しい。取り敢えず私は静観しようと思います(^_^;)  以上、困惑中の筆理でしたヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3

          その可能性もあるか(*´Д`*)