ルールとやる気と自主性と。
#20230927-242
2023年9月27日(水)
「今日は習い事があるから無理です」
きっぱりそう返すと、ノコ(娘小4)が私を睨んだ。
「ヤダ!」
首を激しく左右に振る。
「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!!」
小学3年生の冬まで、遊ぶのは宿題を終えてからだった。
まずは宿題。それが我が家のルールだった。
それを変更した。下校後、先に外遊びに出てもいい。ただし17時(冬は16時半)には帰宅し、すぐ宿題に取り組むこと。
変えた理由は、3年生になり、下校時刻が遅い日が増え、宿題の量も増えたからだ。遊びながら下校するので――そこですでに遊んでいるのだが!――家に着くのは16時。すぐ暗くなる冬の帰宅時刻は16時半。16時からおやつを食べ、宿題をするとすぐに16時半なんて過ぎてしまい、外遊びができない。
「ちっとも遊べない! つまんない!」
ノコの不満が爆発した。
確かに休み時間はあるものの、朝から夕方まで学校で子どもは気を張っている。次は国語、次は算数、次は体育……と次から次へとすべきことが目白押しで、気が抜けない。学校から帰宅して、すぐ宿題で、暗くなったから外遊びはできませんでは、鬱憤がたまるのもわかる。
大人にとってはたかが20分ほどでも、学校での長めの休み時間がそのくらいだからか、子どもには十分らしい。気分が切り替わり、宿題に向き合えるのなら、遊んでから宿題でもよいと判断した。
ただし、習い事のある日は宿題優先で、外遊びに行けないことも伝えた。
もし宿題がはやく済み、習い事に出掛ける時間まで余裕があれば外遊びに出てもいいことも伝えた。
今日は習い事、学習塾の日だ。
学校の宿題だけでなく、学習塾の宿題もノコお得意の先延ばしをしたため全部終えていない。少なくとも学習塾の宿題は済ますべきだろう。
「塾の宿題だって終わってないよね」
「遊んだらやる」
ルールはルールだと外に行かせず、宿題をさせるべきか。
だが、「やらない」といい張っている人間を机につかせてもやるのだろうか。怒って怒鳴って部屋に閉じこもれば、時間だけが過ぎてしまう。そもそも何故本人に出された課題なのに、親が無理強いせねばならないのだろうか。
あぁ、でも習い事の日でも先に遊んでいいという例外を認めると、すぐ「このあいだは外遊び先だったのに」というノコが目に浮かぶ。
何がノコにとって最適かわからない。楽ではなく、最適か、だ。
私は深いため息をつくのを長めに目を閉じることへ変換する。「はぁ」というため息すら、ノコの反抗心を刺激するからだ。
「じゃあ、塾に行く時間までどうするか計画を書いて」
「書くの、時間かかるし、面倒くさい」
「ママが書くから、いってみて」
「今から20分公園で遊ぶ。帰ってきたらすぐ塾の残ってる宿題を半分する。それから学校の漢字ドリルをやって、また塾の残ってる分をやる。そんで学校の計算ドリルと自主学習と音読をやる」
「でも、5時になったら、宿題が途中でもお夕飯だよ。塾の準備はいつするの?」
「うーん、5時20分かな」
日頃のノコを見ている限り、40分で残っている学習塾の宿題と学校の宿題全部を終えられるとは思えない。学習塾の宿題だけでも家を出るまでに終えればよしとしよう。
「ママは厳しいと思うけど、あなたはこうしたいのね?」
「うん。できるし」
「それなら、行ってらっしゃい。時間までに帰れるように公園の時計をよく見てね」
ノコがいった通りに書いた計画表を眺めてから、私はノコの机の上に置いた。
ノコは計画通りに帰宅し、宿題に取り掛かったが、まずは筆箱にある鉛筆を全部削りはじめた。それから机の上にある物の配置をあれこれいじり、牛乳を飲んだり、暑い暑いといっているうちに夕飯時刻になってしまった。
学習塾の残っていた宿題の半分を終えたところだ。
「はい、食べてね」
ビーフンをノコの前に置く。
「なんか塾の日っていつもコレじゃね?」
「塾の日はいつもビーフンにしてっていったじゃない」
食欲に波があるノコの希望を少しでも叶えようとしているのに、拍子抜けしてしまう。
結局、学習塾の宿題は終わらず。学校の宿題にいたっては、習い事から帰った後になってしまった。
ノコが眠そうな傾いた姿勢で学校の宿題をやっている。
何が最適なのか、やっぱりわからない。
その小さな背中を眺めながら思う。
――無理強いせず、学ぶことが嫌いにならないように宿題を進めることがこんなに難しいなんて。
ママは思わなかったよ。
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