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何度も読み返したい素敵な文章の数々 vol.3

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#読書

自分の書くものにはなくて本にはあるもの

自分の書くものにはなくて本にはあるもの

小説を読んでいると、気付くことがあります。それは、「情景」が自分の書くものにはあまりに少ないということ、それに、固有名詞ばかり使っているということ。

ここ最近読んだ作家さんで言うと、恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」はすごかった。個性ということばを説明するのに、こんなに情緒たっぷりに語れるというのが、とてもすごいなぁと思う。

しかも、凄いのは、やっぱりどんな道具を使っても、マーくんの演奏にはマーくんの

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愚直に読み、愚直に書く

愚直に読み、愚直に書く

本は比較的読む方だと思う。
極端に多いとは思わないが、まあまあそこそこ読んでいるのだろう。

分厚い本が好みなので冊数は多くない。読みにくい本が多いので尚更だろう。
分厚く読みにくい本が好きなのは、厚さと読みにくさ故では本当はない。単に読みたい本にそういう本が多い傾向にあるだけだ。

例えば、今年になって読んだのは何だろう?
昨年から読み続けていた本では、ホイジンガ『中世の秋』、ジョルジョ・アガン

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"隠蔽"の恐ろしさを知る一冊

"隠蔽"の恐ろしさを知る一冊

企業や組織が起こした不祥事のニュースを見るたびに思い出す本があります。

それは「半沢直樹」シリーズでも有名な池井戸潤が書いた「七つの会議」。

中堅メーカー・東京建電を舞台に、不可解な人事や取引先とのやりとりから徐々に紐解かれていく、ある秘密。

会社の雰囲気の描写や登場人物たちの会話が妙にリアルで、どこかの会社で起きたことをそのままルポルタージュにしたのではないかと感じるほどです。

読んだの

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