二重川統光
落書き以上、論文未満の論考を投げていくよ!
新刊の情報誘惑 過多なれど、古本もまた無限に多い。その中のほんの一部を紹介するね。
「平泉澄氏の猛省を促す」という強烈なタイトルの論文が『大日』(大日社)1939年10月号に掲載された。筆者の村上素道(西暦1875~1964年)は曹洞宗の僧侶で、長崎の皓台…
昨今、放置に放置された皇位継承問題がようやく危機感をもって議論されるようになり、「女系天皇は易姓革命だ」「いや、臣籍にある皇裔が即位することこそが王朝交代だ」…
はじめに 戦時中、「肇国の精神」「肇国の大精神」という言葉が頻繁に使われた。意味はよくわからないが、何か深い意味がありそうで凄そうな言葉である。それがどんな「…
同時代に起きたフランス革命を批判する論陣を張った英国の政治家・思想家エドマンド・バークは、「保守主義の父」と称され、日本では明治時代に受容された。明治には自由…
2024年6月22日 23:09
「平泉澄氏の猛省を促す」という強烈なタイトルの論文が『大日』(大日社)1939年10月号に掲載された。筆者の村上素道(西暦1875~1964年)は曹洞宗の僧侶で、長崎の皓台寺住持である。現代仏教家人名辞典刊行会編『現代仏教家人名事典』(現代仏教家人名辞典刊行会、1917年)には「実に師が十年一日の如く教運の興隆に力めるの功労は著しく、徳聞日に弥々高し」(331頁)とある高僧だ。猛省を促されている
2024年5月25日 21:50
昨今、放置に放置された皇位継承問題がようやく危機感をもって議論されるようになり、「女系天皇は易姓革命だ」「いや、臣籍にある皇裔が即位することこそが王朝交代だ」などという主張を目にする機会が増えた。それらの議論に立ち入るのは、本記事の目的ではない。ある戦前の歴史学者の歴史叙述が、たまたまこの問題に結びつく(無理やり結び付けられる)ため、その議論を紹介したい。はじめに 日本の歴史上、臣下の身であ
2024年4月20日 23:04
はじめに 戦時中、「肇国の精神」「肇国の大精神」という言葉が頻繁に使われた。意味はよくわからないが、何か深い意味がありそうで凄そうな言葉である。それがどんな「精神」なのかは、ここでは問わない。 本稿で取り扱うのは、「肇国の精神」の「精神」ではなく、「肇国」の方である。 そもそも、「肇国(ちょうこく)」とは「国をはじめる(肇める)」の意である。言葉の古典的典拠は『書経』(『尚書』)の「文王肇
2024年3月30日 22:45
同時代に起きたフランス革命を批判する論陣を張った英国の政治家・思想家エドマンド・バークは、「保守主義の父」と称され、日本では明治時代に受容された。明治には自由民権運動家に「バークを殺す」(植木枝盛「勃爾咢(ボルク)ヲ殺ス」)という論文を書かれたりもするが、本書はバークを「殺す」のではなく、「復活させる」意図で書かれた。 東大西洋史学科出身の著者・上田又次の歴史観・革命観は、本書に序文を寄せた