二重川統光

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二重川統光

僭フランツ・ヨーゼフ帝/二重帝国の人https://twitter.com/frantuyozehu 論考や書評などを載せていきます。

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    新刊の情報誘惑 過多なれど、古本もまた無限に多い。その中のほんの一部を紹介するね。

最近の記事

道鏡を肯定する? 喜田貞吉『日本歴史物語』における「日本民族」観と皇位窺窬者の間接的肯定

 昨今、放置に放置された皇位継承問題がようやく危機感をもって議論されるようになり、「女系天皇は易姓革命だ」「いや、臣籍にある皇裔が即位することこそが王朝交代だ」などという主張を目にする機会が増えた。それらの議論に立ち入るのは、本記事の目的ではない。ある戦前の歴史学者の歴史叙述が、たまたまこの問題に結びつく(無理やり結び付けられる)ため、その議論を紹介したい。 はじめに 日本の歴史上、臣下の身でありながら、皇位を窺ったり、新皇を自称する不届き者が現れたのは周知の通りである。そ

    • 「肇国」と「建国」の相剋/『國體の本義』・中村直勝・上田又次

      はじめに 戦時中、「肇国の精神」「肇国の大精神」という言葉が頻繁に使われた。意味はよくわからないが、何か深い意味がありそうで凄そうな言葉である。それがどんな「精神」なのかは、ここでは問わない。  本稿で取り扱うのは、「肇国の精神」の「精神」ではなく、「肇国」の方である。  そもそも、「肇国(ちょうこく)」とは「国をはじめる(肇める)」の意である。言葉の古典的典拠は『書経』(『尚書』)の「文王肇国在西土」(文王国を肇むること西土に在り)であり、また『日本書紀』には第十代・崇

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      • "英国護持"と"皇国護持"の距離/上田又次『エドモンド・バーク研究』

         同時代に起きたフランス革命を批判する論陣を張った英国の政治家・思想家エドマンド・バークは、「保守主義の父」と称され、日本では明治時代に受容された。明治には自由民権運動家に「バークを殺す」(植木枝盛「勃爾咢(ボルク)ヲ殺ス」)という論文を書かれたりもするが、本書はバークを「殺す」のではなく、「復活させる」意図で書かれた。  東大西洋史学科出身の著者・上田又次の歴史観・革命観は、本書に序文を寄せた国史学者・平泉澄の影響を大きく受けている。平泉は日本史上の「忠臣」「先哲」の精神

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      道鏡を肯定する? 喜田貞吉『日本歴史物語』における「日本民族」観と皇位窺窬者の間接的肯定

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