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露がなぜ英外相の訪問に応じたのか?

ここ数日間、露のプーチン大統領、ラブロフ外相、なんならショイグ防衛相まで、トップ会談等で大忙しだった。
2月10日は英トラス外相、カザフスタンのトカエフ大統領、15日は独のショルツ首相ポーランドのラウ外相、16日にブラジルのボルソナロ大統領を始め同国の外相と防衛相等が露を訪問。他に、米バイデン大統領やブリンケン国務相との電話会談、仏マクロン大統領との電話会談、ベラルーシのルカシェンコ大統領との電話会談等々。 

オリンピック開会式序にアルゼンチン大統領との会談から間を空かずにブラジルとの2+2を実施している露の南米での狙いも気になるが今日は英トラス外相の話しをしたい。 

そもそもトラス氏(Liz Truss)といえば、学生時代(1996年まで)は英自由民主党、1996年以降は保守党に所属し、2006年辺りから地方の議員としての活動を始め2014年から環境相、法務相、財務相、貿易相等を歴任して2021年から英外相に就任。政治家として確かな腕前を持っていると言っても過言にならないだろう。BREXITに関して当初は否定的だったが、途中から気が変わっている模様。一方、私生活でも中々の冒険家で、2004∼2005年頃は同じ保守党に所属するマーク・フィールド議員との不倫関係が公となった。トラス氏は、夫に許され、その後子宝に恵まれて幸せな家族生活をその後も続けている一方で、フィールド議員が離婚を余儀なくされた。 

それはそうと、露を訪問する目的は?
ジョンソン首相が1月25日に庶民院会合に向けて送ったステートメントを見ると、露との協議が現実的でないのは一目瞭然。トラス外相の訪問結果を見ても、露のラブロフ外相の言葉を借りると『聾者と唖者の会話』の如しだった。会談中に、トラス氏がヴォロネジ州ロストフ州に対する露の主権を認めないというアクシデントもあり、英外相の外相としての適正が問わることにまで至った。一言でいうと、時間の無駄だった。 

しかし露が、英外相来訪を承諾する前に、トラス氏の適正も、結果的に時間の無駄となるのも分かっていたのだろう。
ではなぜ承諾したのか?ここが面白いどころで、上述の様な私生活がらみのネタを提供してきたトラス氏ですが、実はジョンソン首相の後任として最有力候補と言われている。諸般の事情で支持率が落ちているジョンソン首相の座を虎視眈々と狙っているといった方が正しいのかもしれない。露が当然、この事情も良く理解しているに違いない。 

そんな露が、英外相の程度を示す以外に、ジョンソン首相にこのような形でメッセージを送ったのではないかと。要は、次期首相となる可能性がある人物と協議可能な姿勢を示して、ジョンソンの立場を更に揺さぶっているのではないかと思えてくる。つまり、露の動きを受けてNATO諸国間の不一致だけでなく、同一国内(今回は英国)に於いてもバランスを崩すという高度な技を見せようとしているのではないのか?まさか露があの英米が入っているあのNATOの分断工作を狙っているのではないのか? 

この辺の動きを今後も注視していたい。が、今日はここまで。

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