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国連安保理2022年5月13日会合とWHOパンデミック条約とサル痘

過去に触れてきたウクライナ生物兵器研究所の件の続きとして、5月13日に露の要求で開催された国連安保理の会合で、またもや同件について話し合われた。報道ではやはり表面的に、断片的に取り上げられている事案だったため、当日の議事録を一度自分の目で確かめ、要点をハイライトしたい。

国連は何も知らん!

お断りを入れておかないといけないのは、この会合の議長を務めたのは米のリチャード・ミルズ副代表だ。従って、議長の発言は中立の立場から発されていない。従って議長コメントの趣旨もここでは割愛する。
最初に国連の中満軍縮担当上級代表の代理で、トーマス・マークラム副代表が担当機関であるUNODAの見解を述べた。その要点は以下の通り:

  • 国連は、ウクライナでの生物兵器プログラムの存在を把握していない(何も知らん)

  • 国連として、露の主張を確かめるための権限も技術的能力も持っていない(放っておいてくれ)

  • 露、米、ウクライナの何れも1972年の生物兵器禁止条約を承諾しているので、UNODAを通さないで直接協議できる様になっている(だから、放っておいてくれ)

  • 2022年11月∼12月、生物兵器禁止条約の見直しが予定されている(動いて欲しいなら権限とカネをくれ)

つまり、国連の生物兵器専門機関であるUNODAとしてこの件に関わりたくないというスタンス。

露の言い分

冒頭にもある様に、そもそもこの会合が露の要求で開催されている。同内容での会合は過去も、同じく露の要求で2度招集されており、今回で3度目。当然、この会合で何等かの結論、決議が出ると、露も思っていない筈。だとすると会議招集の目的は情報発信と記録なのではないかと推察する。では、そんな露の言い分、要点のみを伝えると以下の通り:

  • 露は、ウクライナでの生物兵器研究に米防衛省が直接関与していた証拠を多数入手

  • ウクライナでのこれらの活動は、露を始めとする周辺地域全体、全世界のバイオ安全にとって脅威

  • ウクライナの米も生物兵器の研究に関する然るべき手続きを踏んでいない、UNODAへの報告も怠っている

  • ウクライナと米研究者は、定期的に川水(ドニプロ、ドナウ、ドニエストル、北クリミア・カナル)のサンプリングを実施、水媒介伝染病の研究を実施。やがて入手済みサンプルは米に転送。なぜだ?

  • キエフ・レジームは、病原体の空中拡散の手段(トルコ産ドローンを検討)を模索していた証拠あり。ドローンの仕様と運送可能要領を鑑みると露への病原体運送が可能(要領:20リットル、飛行可能距離:300キロ)。3月9日、露軍がヘルソンにこの様なドローンを3台発見、4月にカホフカに10台発見している。

  • 米によってウクライナで人体実験が行われていた。被実験者の死亡が予め想定されていたことは資料から解読可。

  • ブラック&ヴィーチメタビオタが参画。メタビオタの幹部(バイス・プレジデント)が『ウクライナの露からの文化的そして経済的独立』が自社の目的だと主張している資料あり。バイオテクノロジー企業にしては不思議な目標。

  • 米防衛省傘下の防衛危機低減局がウクライナ国内バイオラボを直接管理。キエフ、オデッサ、リヴィフ、ハリコフ、ドネプロペトロフスク、ヘルソン、テルノポリ、ウジゴロド、ヴィンニツァそしてマリウーポリを拠点にバイオラボのネットワークを構築。中でもマリウーポリ拠点は、コレラ病原体の採取と実証を担当

  • ハリコフ第3精神科病院の患者が、危険薬物の被実験者となっていた。その他多数同様事例あり。

  • 米の他に、独、ポーランドの軍事機関も研究に参画

  • 一方、米は生物兵器禁止条約の範囲、権限の拡大と明確の提案も2001年来、阻止してきている。

世界中が把握していながらも誰も公に発言出来ない事を露が発信してやる。ウクライナだけでなく世界中にバイオラボを設けて病原体を研究したり作ったりする必要はなぜあるのか?皆さん良く考えよう!という呼びかけに見える。

WHOパンデミック条約

露が上述の如く、ウクライナでの生物兵器研究所について3度目の警鐘を鳴らしたとの時を同じくし、サル痘があちこちで確認され、そして今まで割と静かに準備されてきたWHOのパンデミック条約の話しが急に浮上してきた。偶然にしては都合が良すぎる。偶然ではないのだとすると、露によるウクライナ生物兵器研究所も関するアラートは、世の中の秩序が変わってしまう前に全世界への合図なのか。生物兵器の話しまでしか触れていないが、このタイミングだからこそ、その先(露がまだ触れていない部分)を各自で察して欲しいという期待の表れなのか。飛躍している様に見受けられるかもしれないが、しかし露のメッセージを正しく理解している国もある様た。上述の国連安保理の会合でもインド、中国(安保理常任理事国)から、名指しこそは少なかったものの、米に対する厳しい発言は送られた(武漢研究所の研究者集団が、米NIGと共同で、大量のサル痘病原体のサンプル採取をしているので、裏があって強く言えないのではないかという疑いは残るが)。また、ブラジルのボルソナロ大統領は、ブラジルはWHOパンデミック条約に参加しないと断言した。
一方では、これと正反対の動きもある。東京都内に米CDCの東京拠点の開設(少なくとも2020年から計画されていた)を発表

この件はこの辺で。。。

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