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【もはや他人事じゃない】増え続ける日本の「空き家問題」を総ざらい

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
少子高齢化も相まって空き家問題がいよいよ本格化しています。「空き家問題」は自分には関係ないと思っている方もいるかもしれませんが、すでに現時点で10人に1人が空き家所有者であるというデータが出ており、今後さらに加速するといわれています。
 
今国会でも「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定。行政でもさまざまな動きを見せています。

不動産なんて無縁だった人も、ご両親が亡き後は実家が空き家になり、望まなくても空き家オーナーになってしまう可能性が出てきます。もはや「空き家問題」は他人事ではなくなってきているのです。
 
その詳しい状況については、2月に文春新書から発売された『負動産地獄』(牧野知弘・著)にも書かれています。
 
では、自分が空き家所有者になると、何が大変なのか?
社会的にどのような問題が出てくるのか?

 
社会人ならば、最低限知っておきたいところです。
 
1月末に発売された新刊『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』では、【増え続ける日本の空き家問題】について、経済アナリスト馬渕磨理子さんとマーケティングアナリスト渡辺広明さんがそれぞれの立場からわかりやすく解説しています。
 
今回は、同書から【増え続ける日本の空き家問題】に関する該当箇所を、このnote限定で全文公開します。

【TOPIC3】増え続ける日本の空き家問題

☑日本の空き家数は849万戸で、7戸に1戸が空き家。
☑空き家は建っているだけで費用がかかる。たとえば、固定資産税。その他にも近隣住民に迷惑をかけないために雑草などの処理など。
☑そのまま放置しておくと、行政による撤去が実施され、その撤去費用を所有者が負担することになる。

 
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総務省によれば、2018年の空き家数は848万9000戸で、前年比3.6%の増加。空き家率は13.6%で過去最高となった。空き家は20 年間で約1.5 倍に増加しており、住宅の除去・減築が進まない場合、民間シンクタンクの予測では2033年頃に空き家数2000万戸・空き家率30%に達するという。
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空き家の4つの種類

渡辺 少子高齢化と人口減少によって、空き家問題が深刻になっています。
馬渕 2018年の空き家数は約849万戸、空き家率は13.6%でした。日本の住宅は、およそ「7戸に1戸が空き家」という状態です。
渡辺 日本の住宅総数が約6200万戸であるのに対し、総世帯数は約5400万戸。世帯数は増えているんだけど、その理由は核家族化や未婚率の増加ですからね。高齢者の単身世帯も多く、孤独死が社会問題になっているなか、今後も空き家は増え続けるでしょう。

『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』p23より

馬渕 空き家は大きく次の4種類に分けられます。
 
 ・賃貸用の住宅…販売中の空き家(不動産会社が管理)
 ・売却用の住宅…入居募集中の空き家(不動産会社が管理)
 ・二次的住宅…別荘など(所有者が管理)
 ・その他の住宅…上記以外の空き家(所有者が管理)

 
一番の問題は利用目的が曖昧な「その他の住宅」で、その数はなんと約349万戸。実に空き家の約4割を占めています。
渡辺 僕も故郷の浜松で持て余していた空き家があったのですが、幸運なことに買い手が見つかり、処分することができました。でも、周囲には空き家の管理に困っている人が少なくありません。どうしたらいいと思います?
馬渕 上手にリノベーションして「古民家カフェ」のように店舗として利用するなど、上手く商売に結びつけている例は増えていますけどね…。
渡辺 でも、それって空き家の立地に一定の価値があるから可能なプランなんですよね。
馬渕 そうなんですよ。中古住宅市場も都心の話題ばかりで、地方の物件についてはほとんど注目されていません。

日本人は新築信仰が強すぎる!?

渡辺 日本は中古住宅を活用する意識が低いんですよね。全住宅流通量に占める既存住宅の割合は、2018年で14.5%でした。一方、アメリカは81.0%、イギリスは85.9%、フランスは69.8%です。

『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』p24より

馬渕 海外と比較すると、大きな差がありますね。
渡辺 日本は地震大国ですから、中古よりも新築を求める傾向が強いのかもしれません。ただ、それを差し引いても日本人は“新築信仰”が強すぎるんじゃないかな? もちろん、新築が欲しくて、新築を購入できるだけの余裕がある世帯は、新築を購入すればいい。その分だけお金も動きますから。しかし、予算的に新築住宅が難しいという人は、もっと中古住宅に目を向けてもいいんじゃないかな。ホームインスペクション(建物状況調査)の義務化やリフォームに伴う補助金など、行政も施策を巡らせています。
馬渕 何かと「サステナブル」が注目を集めている昨今ですから、中古住宅のリフォーム・リノベーション市場も盛り上がるといいですね。

POINT

◎活用されていない空き家が全国に349万戸もある。
◎日本は海外と比較して中古住宅の流通が少ない。中古住宅の活性化が求められる。
◎リフォームや二次活用に対する補助金など、制度面のさらなる整備や周知が大切。

※今回ご紹介した『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』の内容やデータは、2022年12月1日現在のものです。
※本文中の(●ページ)という表記は、今回ご紹介した『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』の中で連動したものになっており、そのテーマについて詳しく解説しています。詳しく知りたい方は、同書で直接ご確認ください。

【著者プロフィール】

馬渕磨理子(経済アナリスト)

イラスト:中川画伯

日本金融経済研究所代表理事/経済アナリスト。ハリウッド大学院大学 客員准教授。公共政策修士。京都大学公共政策大学院修士課程を修了。トレーダーとして法人の資産運用を担った後、金融メディアのシニアアナリスト、FUNDINNOで日本初のECFアナリストとして政策提言にかかわる。またIR(インベスター・リレーションズ)について大学と共同研究を行う。現在、経済アナリストとして、フジテレビの夜のニュース番組「FNN Live News α」読売テレビ「ウェークアップ」のレギュラーコメンテーターをはじめ、各メディアでの出演多数。経済アナリストの知見を活かしたセミナーや講演会も好評を博している。ポリシーは「自分の意志で人生の選択ができる世の中を」。誰もが自分の価値観でしなやかに生きることができる社会を目指して活動中。

渡辺広明(マーケティングアナリスト)

イラスト:中川画伯

マーケティングアナリスト。流通ジャーナリスト。1967年静岡県浜松市生まれ。東洋大学卒業後、株式会社ローソンに22年間勤務し、店長・スーパーバイザーを経て、約16年間バイヤーを経験。コンビニバイヤー・メーカー勤務で約770品の商品開発を行なった経験をもとに「FNN Live News α」「ホンマでっか!?TV」(以上、フジテレビ)のコメンテーターとして出演中。その他に、静岡県浜松市の親善大使「やらまいか大使」就任。ニュース番組・ワイドショー・新聞・週刊誌などのコメント、コンサルティング・講演など幅広く活動。2019年3月、(株)やらまいかマーケティングを設立。なお、共著者・馬渕氏とともに、Tokyo fm「馬渕・渡辺の#ビジトピ」のパーソナリティも務めている。

いかがでしたか?
 
『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』では、今回ご紹介した【増え続ける日本の空き家問題】をはじめ、私たち消費者が知っておきたい身近な政治経済関連のテーマ、計45本のTOPICを取り上げて、オールカラーの図版データを交えながら、わかりやすく解説しています。
 
2023年のニッポン経済がどうなっていくのか?
そのためにはどのような生活防衛策をとっていけばいいのか?
 
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