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【社会人なら知っておきたい】アメリカのFRB とFOMC は、日本にどんな影響を与えるの?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
日々流れてくる経済ニュースで、頻繁に登場する「FRB」「FOMC」
 
どちらもアメリカに関連するキーワードですが、
もしわが子に

「FRBとFOMCって何?」

と聞かれて、あなたはちゃんと答えられますか?
 もし答えられたとしても、

「なんで、アメリカの話題をわざわざ日本のニュースで取り上げるの?」

と、さらに聞かれたとしたら???
 
「FRB」と「FOMC」というキーワードは、社会人だったら、ビジネスパーソンだったら、最低限知っておきたい重要キーワードの1つと言えるでしょう。

日本経済にも大きな影響を与えている、FRB とFOMC とは何か?
それは、具体的にどのような影響を与えているのか?

 
ぜひこの機会に、インプットしておきたいところです。
 
1月末に発売された新刊『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』では、【「FRB」と「FOMC」が与える日本への影響】について、経済アナリスト馬渕磨理子さんとマーケティングアナリスト渡辺広明さんがそれぞれの立場からわかりやすく解説しています。
 
今回は、同書から【「FRB」と「FOMC」が与える日本への影響】に関する該当箇所を、このnote限定で全文公開します。

【TOPIC39】アメリカの金融政策を握るFRB とFOMC が与える日本への影響とは?

☑FRB は、アメリカの中央銀行。日本でいう「日本銀行」。
☑FOMC は、FRB メンバー計7 名に地域の銀行5 名を合わせ、計12 名で行なっている金融政策の会議。年に8回開催される。

日本のニュースでも頻繁に登場する「FRB」と「FOMC」。どちらもアメリカの話題だが、日本経済にも大きな影響を与えている。FRB とFOMC とは何か? しっかりと理解することで、他人事だったニュースが自分事として捉えられるようになるはずだ。

FRBは、日本でいえば「日本銀行」

馬渕 経済や金融のニュースに必ず出てくる言葉として「FRB」と「FOMC」がありますので、みなさんにもぜひ覚えていただきたいと思います。
渡辺 アメリカの話ですよね?
馬渕 そうです。アメリカの経済・金融用語ですが、現代はリアルタイムで世界の経済情報が手に入るじゃないですか。このため、アメリカで起きたことも、すぐに日本に影響が出る。
渡辺 タイムラグがない時代になっています。いいことかもしれないけど、せわしない時代になっちゃいましたね。
馬渕 かなりせわしないと思います。例を挙げるとすれば、第2章で取り上げた円安(83 ページ)です。アメリカの利上げが円安に大きな影響を与えるという話をしましたよね。では、そもそもこのアメリカの利上げを決めているのは誰なのか……という話で、それが「FRB」なんです。Federal ReserveBoard の略で、アメリカの中央銀行のことです。
渡辺 日本でいう日本銀行(日銀)のことですね。アメリカ版日銀がFRB。
馬渕 その解釈で問題ありません。日本語では「アメリカ連邦準備制度理事会」とも呼ばれます。
渡辺 アメリカ連邦準備制度理事会もニュースでよく聞きますよ。これ、FRB のことだったんですね。
馬渕 そうなんです。FRB の役割は2 つあって、「アメリカの雇用を最大化していくこと」と「物価を安定させること」です。
実はここが日銀と違うんですね。日銀は「雇用の環境を良くする」という責任を負っていません。
渡辺 なんで日銀は雇用の責任を負わないんですか?
馬渕 日本では、雇用の責任は政府の役割なんですよ。日銀は「物価の安定」だけを担っているので、ここは、日本とアメリカの大きな違いです。
渡辺 でも、為替介入で開催される三者会合(日銀、財務省、金融庁)のように、分業こそしているけど、政府と日銀の間で雇用と物価に関する話し合いは行なわれているんですよね?
馬渕 もちろん、大事なことですから話し合いを行なっています。ただし、日本の失業率はコロナ禍でも2%台ですが、アメリカは8%近くまで上がりましたからね。日本よりも雇用問題は深刻なんです。ですから、アメリカの経済動向、金融政策を見るときにも「雇用と物価」の責任を担うFRB が非常に大事なんです。

『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』p.221より

FOMCは、FRBによる金融会議

渡辺 FRB のほうが決断が重いですね。日銀トップの黒田さんよりもパウエルさんのほうが大変ということですか?
馬渕 今、渡辺さんが名前を出したパウエルさんは、FRB のトップ(議長)ですね。日本で言えば、パウエル議長は黒田総裁に当たるわけです。パウエルさんの発言は為替や株価に大きな影響を与えるので、世界中の方が注目しています。
とは言え、さすがに議長1 人に責任を負わせるのは大変だし、独裁の危険もあります。そこで、アメリカの利上げをどうコントロールするかを決めるため、FRB には7 名のメンバーがいます。さらに、地域の銀行5 名を合わせ、計12 名で金融政策の会議を行っているんです。この会議が「FOMC」です。年に8 回開催されます。
渡辺 FOMC は会議のことだったんですね。
馬渕 そうなんです。FOMC はFederal Open Market Committeeの略です。Committee は「委員会」なので、会議を行なっている機関なんですね。2022 年11 月末現在、アメリカの物価上昇率が止まらないので、「利上げしたほうがいいよね?」などとみんなで議論して決めているんですね。
渡辺 アメリカのCPI が2022 年6 月に9.1%になったとき、馬渕さんTwitter でつぶやいてましたよね。
馬渕 「CPI9.1」とだけつぶやきましたね(笑)。それだけ衝撃的だったんですよ。
渡辺 その後、CPI は下がっていますが、2022 年11 月(12 月発表)でも7.1%。依然として高い。だから、FOMC は何とかインフレを抑えようと利上げを続けている、ということですか。
馬渕 そのとおりです。

POINT

◎FRB はアメリカの中央銀行、FOMC はFRB による金融政策を決める
会議。
◎FRB は「雇用と物価」に責任を負い、日銀は「物価」のみに責任を負う。
◎アメリカの金融政策は、世界経済に大きな影響を与える。なかでも、日本経済にはすぐに影響が出る。だから、FRB とFOMC 関連のニュースは、日本人も注目する必要がある。

※今回ご紹介した『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』の内容やデータは、2022年12月1日現在のものです。
※本文中の(●ページ)という表記は、今回ご紹介した『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』の中で連動したものになっており、そのテーマについて詳しく解説しています。詳しく知りたい方は、同書で直接ご確認ください。

【著者プロフィール】

馬渕磨理子(経済アナリスト)

イラスト:中川画伯

日本金融経済研究所代表理事/経済アナリスト。ハリウッド大学院大学 客員准教授。公共政策修士。京都大学公共政策大学院修士課程を修了。トレーダーとして法人の資産運用を担った後、金融メディアのシニアアナリスト、FUNDINNOで日本初のECFアナリストとして政策提言にかかわる。またIR(インベスター・リレーションズ)について大学と共同研究を行う。現在、経済アナリストとして、フジテレビの夜のニュース番組「FNN Live News α」読売テレビ「ウェークアップ」のレギュラーコメンテーターをはじめ、各メディアでの出演多数。経済アナリストの知見を活かしたセミナーや講演会も好評を博している。ポリシーは「自分の意志で人生の選択ができる世の中を」。誰もが自分の価値観でしなやかに生きることができる社会を目指して活動中。

渡辺広明(マーケティングアナリスト)

イラスト:中川画伯

マーケティングアナリスト。流通ジャーナリスト。1967年静岡県浜松市生まれ。東洋大学卒業後、株式会社ローソンに22年間勤務し、店長・スーパーバイザーを経て、約16年間バイヤーを経験。コンビニバイヤー・メーカー勤務で約770品の商品開発を行なった経験をもとに「FNN Live News α」「ホンマでっか!?TV」(以上、フジテレビ)のコメンテーターとして出演中。その他に、静岡県浜松市の親善大使「やらまいか大使」就任。ニュース番組・ワイドショー・新聞・週刊誌などのコメント、コンサルティング・講演など幅広く活動。2019年3月、(株)やらまいかマーケティングを設立。なお、共著者・馬渕氏とともに、Tokyo fm「馬渕・渡辺の#ビジトピ」のパーソナリティも務めている。

いかがでしたか?
 
『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』では、今回ご紹介した【「FRB」と「FOMC」が与える日本への影響】をはじめ、私たち消費者が知っておきたい身近な経済関連のテーマ、計45本のTOPICを取り上げて、オールカラーの図版データを交えながら、わかりやすく解説しています。
 
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